2003年11月26日更新

生活編

Back to the Home
旅のヒント」追記(11/26)・「在外選挙」追加(11/4)
    

【目次】
イントロダクション(2002年7月) British Gas(2002年11月)
バスに乗る(2002年7月) 運転免許証(2002年11月)
銀行口座を開く@(2002年7月) 車検(MOT)(2002年11月)
携帯電話(2002年7月) 歯医者(2002年11月)
(2002年7月) 理髪店(2002年12月)
御飯用土鍋投入(2002年7月) 道路使用税(2002年12月)
5分以内に揃わないと(2002年7月) 日本食通販(2003年1月)
お寿司とお箸(2002年7月) 銀行口座B:共有口座(2003年2月)
意外な英語:Tamagochi(2002年8月) 車そのA(2003年2月)
買い物シリーズ:テレビ(2002年8月) 賃貸契約更新(2003年3月)
買い物シリーズ:プリンタ(2002年8月) ナショナルトラスト(2003年6月)
家探し(2002年8月) 旅のヒント(2003年7月)
シェイクスピア(2002年8月) TVライセンス(2003年8月)
銀行口座A・ネットバンキング(2002年8月) 在外選挙(2003年11月)
語学学校(2002年8月)
ローカルパブ(2002年9月)
労働許可証Work Permit(2002年9月)
引越し(2002年9月)
ケーブルテレビ・電話・ネット(2002年9月)
海外送金(2002年10月)
入国審査(2002年10月)


1.イントロダクション
(1)3つの変化 Top
あくまで夏に東京からイギリスに移動したという前提でのお話。
@時差と日照時間
 これは言うまでもないでしょう。イギリスと日本の時差は9時間(日本が9時間早い)。ただし,夏は夏時間が適用されているので,時差8時間。最初の2,3日はつらいけど,僕の場合は木曜日に現地に着いて,すぐ土日に入ったので,週明けには完全に順応しました。
 それよりも驚くのはやはり日照時間。夜10時くらいまで明るいです。夕飯食べてても全然そんな気がしません。
A気温差
 最初着いたときはびっくり。寒い寒い。掛け布団に加え,毛布も被ってました。東京が30〜35℃のとき,こっちは20℃以下。さらに,太陽が出ないものだから体感気温はもっと下。ただ週明けにはこちらの梅雨も明けたようで(笑),カラリと晴れれば「北海道の夏」といった感じ。ただ,紫外線は強いです。「紫外線が当たると色がつく」メガネをかけてますが,なかなか透明にならないのでわかります。
B都会→田舎
 都会といっても練馬区の住宅街に住んでいたのでそれほどの都会でもないのだが,夜に何の音もせず,寮の窓からは牛・羊,そしてベール(牧草を丸めたもの)がたくさん見え,リスやウサギがうろちょろ,鳥がチュンチュン。イギリスに住む日本人はたくさんいても,ここまで田舎に住むやつはそうそういないのではないかと思わず自慢したくなるような場所に住むのはかなりの環境の変化でした。「イギリスに来た」というより「田舎に来た!」と実感。
(2)語学 Top
 さあ,これが問題です(笑)。ちなみに僕の英語力は,英検準1級,TOEIC830点,ベルリッツのレベル5(笑)くらいが目安になりますが,直接言われることはまあわかります。わからない場合もありますが,7割方は大丈夫です(わかるかわからないかは内容ではなく人、つまり話し方に依存する)。話すほうも,こっちが多少間違っていても相手は結構わかってくれます。問題は現地人同士の会話に入ったとき。フォローできることもありますが,難しすぎる話や俗っぽすぎる話はフォローできません。ということで,自分の用を足す分には大丈夫ですが(これじゃ観光客とあまり変わらない),これから3ヶ月,6ヶ月過ごしてどこまで改善されるかをまた報告します。
(3)物価 Top
 そんなに安くないです。東京と同じくらいでしょうか? 日本人はドルの感覚はあってもポンドの感覚はないので,1ポンドといわれると一瞬1ドルのような気がして「安いなあ」と思いきや,1ポンド大体185円くらいなので,実際にはあんまり安くない,ということがしばしば。
<参考までに価格例(1£=185円で計算)>
・ガソリン:近隣の最安値リッター73.9p(137円)
・コインランドリー:洗濯1.20£(222円)/乾燥60p(111円)
・牛乳(Whole Milk):1.136リットル54p(100円)←容量が中途半端なのは「2pint」のため:牛乳は安い。
2.バスに乗る Top
 タクシーは日本と同じなので簡単でしたが,バスに乗るときはちと緊張(笑)。まず,バス停はあるが時刻表がない。寮の同居人に「毎時40分」と聞いた(つまり1時間に1本)ので8時35分くらいからバス停で待っていると,意外なことに8時40分きっかりにバス到着(電車と違ってバスは正確かも)。先払いか後払いかもわからず,運転手に「Should I pay the fee now?」と聞いたら「Yes」。「How much?」「Day Return or Single?」「Single」「£1」ということで解決。歩いて50分の道のりもバスだと15分(笑)。1ポンドで一瞬安いじゃんと思ったけど,200円くらいだから東京とそんなに変わらない。
>後日談:正確には「fee」ではなく「fare」です。それでも通じたんだけど(笑)。今後も,僕がしゃべった英語表現は正しい保証がないのであしからず。
3.銀行口座を開く Top
 ガイドブックに「米国で口座を開くのは簡単だが,英国では審査が厳しく開設を断られることもしばしば」と書いてあるのでちょっとびびりながらロイズ銀行へ。ロイズにしたのは知ってる名前だったというだけ(ゴルゴ13に出てくる?)。「I would like to open a current account」とお決まりの台詞を言うと,パスポートや身分証明の教授からのレター(自分が大学に客員研究員として滞在していること,および現在の住所をこっちの教授に書いてもらった)の提示を求められ,書類的に問題ないとなると別室へ連行。そして質問攻め。給料はいくらか,あなたの雇い主は誰か,今クレジットカードを持っているか,その月毎の利用上限はいくらか,日本で主に使っている銀行はどこか,日本に預金はいくらあるか,家族構成...そして自分の母親の結婚前の苗字まで聞かれた(後で大学のスタッフに聞いたら,「母親の旧姓」はパスワード的によく使われるのだそうで)。とはいえ,質問への回答をコンピューターに入力すると,すぐに自分の当座預金のステータスが決定。貸越限度はいくらですとか,いろんな機能がついたカードを発行します(キャッシュカードだけでなく,小切手機能とかもついてる)とか,限度額いくらのクレジットカードを発行できますとか,その場で説明してくれた。思ったより進んでる(笑)。小切手帳やらカードやらは後日郵送(カード3営業日後,小切手帳とかは7〜10日後)とのこと。最後には「Thank you for choosing our bank」と言われめでたしめでたし。
>後日談:カードは2日後には届きました。早い早い。
>後日談:小切手帳は9日後,Paying-in book(入金帳)は10日後に届きました。
>後日談:クレジットカード(ゴールドカード(笑))は3週間後に届きました。そのままでは使えなくて,トールフリーに電話し,氏名・支店コード・口座番号・誕生日などを答えたところ,使えるようになった(らしい)。何言ってるかよくわからなかったので,「You mean that now I can use this credit card?」と聞いたら「Yes」といわれた(笑)。
続編:ネットバンキングに申し込む Top
こちらにもネットバンキングのサービスがあります。最近ロイズのページをチェックして初めて知った次第(笑)。ロイズ銀行の場合,ネットバンキングの申し込み方法は,@ウェブ上でフォームに必要事項を入れて送信,Aロイズに電話し,いくつかの「security question」に答える,B5営業日後までにPINコードが郵送されるので,それを使えばWEB上でログイン・サービス利用が可能,という手順。
 @は必要事項を書くだけなので簡単。送信するとReference Numberと電話番号が画面に表示される。Aその電話番号に電話する。オペレーターにReference Numberを伝えると,こちらを認識してくれる。誕生日・住所・電話番号とかお袋の旧姓とか(笑),そういう質問をされると予想していたのだが,最初の質問は「あなたはロイズ以外に銀行口座を持っているか?」「日本にはいくつかのAccountを持っているが,Englandではロイズだけだ」と回答。そして「Security Question」へ。
 その1「○○(無茶無茶な読み方だがうちのかみさんの名前)からRemittanceがあったが,これは誰?」「送金目的は?」「正確な送金額を教えてくれ」などと質問される。彼女はMy Wifeで,生活費を送ってくれている,正確な送金額は覚えていないが,恐らく○○£くらいだろう」と答えると「正確な金額を言え」とのこと。かみさんは,家賃分(6ヶ月+デポジットで7か月分)を送金したと言っていたので,計算して答えたら合っていたらしい(笑)。
 その2「あなたはStanding Order(日本でいう口座振替)を利用しているが,何の支払いに使っているか教えてくれ」「あなたはDirect Debitのことを言っているのか」「Yes」「今は1つだけ使っていて,それはVodafone」。
 この2つの質問でオペレーターは満足してくれたらしく(笑),あとは「あなたはロイズ銀行のサービスに満足しているか」とか「どのようにしてこのサービスを知ったのか」とか,そういう質問をされたので適当に「満足している」とか「Web Searchをして見つけた」と回答。最後に,5営業日以内にPINコードが届くのでそれでログインすれば云々という説明を受ける。オペレーターがとにかく早口で,こっちは何度も「Pardon?」「Please speak more slowly, I'm Japanese, not English(笑)」と言う羽目に。電話はマジで大変。改めて考えると,Security Questionとは最近の取引のことを聞かれるらしい(電話をするときは,小切手帳・預金帳・最近のCashpointのレシートを準備しろと書いてあったし)。とにかく結果的には無事に第2段階突破(笑)。第3段階はまた来週書きます。

>後日談:火曜日に手続きをしたら,木曜にはPINコードが届きました。で,さっそくログイン。ログインそのものは日本のネットバンキングと同じ。最新の残高や取引履歴が見られる。小切手がきちんと落ちているか確かめられるのもありがたい。当座だけではなく,新たに作ったクレジットカードの状況も一目でわかる(もっとも,今まで一度も使ってないし,今後も使う予定はないからゼロ)。新たな発見は,貯蓄口座への資金移動が簡単にできること。シティバンクのネットバンキングを利用している人は,あれと同じものだと考えてもらえばよい。利息表を見ると,250£以上預金すると日本風にいう1ヶ月定期で3.0%ほどの年利。日本の状況からすればこれは画期的。ということで,さっそく当座から貯蓄口座へ一部移動。当然ながら,長く多く預けるほど利息は高いが,自分の場合は1年単位はちょっと無理なので月単位。
そのB:共有口座への変更
 銀行口座を開設してから半年後,2003年1月にかみさんが合流した。英国では小切手・バンクカードがないと買い物もまともにできない。かみさんの個人口座を新たに作ってもよいのだが,かみさんはこちらでは稼ぎがないし,収入口が1つなのに口座を別々に管理するのは不便。ということで,自分の口座を夫婦共有にすべく手続きすることにした。ちなみに日本では「夫婦共有口座」は開設できないのではないだろうか。
 ということで,銀行に出向き,口座開設時と同じように個室にて尋問。といっても,口座を開設する時よりは質問項目も少なく,用紙に必要事項を記入するだけ。ただし,我々が生計を共にしていることを証明する文書が何もないため,一筆したためることに。いきなり白紙とペンを渡され,自分の住所・氏名・口座番号およびかみさんが同居していることをコンファームしてくれという。いきなり英作文の時間である(笑)。普段は「PerfectでなくてもUnderstandableならばよい」と割り切っているので,文法などあまり気にせずにスラスラ書くのだが(笑),こういうきちんとした文書だと緊張する。というわけで,かみさんと銀行のお姉さんの顔色をうかがいながら作文,署名。
 その時点で,銀行のお姉さんからは,かみさん用のバンクカードは「4日後」に届くとのことだった。これで手続き完了と思ったのだが,ここは英国,そう簡単に話が片付くわけがない。
 銀行に手続きに行ったのが金曜日,そして銀行のお姉さんによれば「来週の火曜日には届く」とのことであった。が,火曜になっても届かない。多少の遅れはあるだろうと思って土曜日まで待ったがやはり届かない。ということで,かみさんが土曜日に銀行に電話(ちなみに英国では土曜午前は窓口も開いている)。すると「送っている」という。可能性としては,郵便事故か銀行がしらばっくれているか(笑),のどちらかである。何はともあれ,送付したカードは使えないように手続きしてもらい,再度カードを送ってもらうことになった。
 これで一件落着と思ったら大間違い(笑)。その次の火曜には予告どおりカードが届いたが,名前のスペリングが間違っている。名前が違うと何かの時にトラブルの元になりかねない。ということで,再びかみさんは銀行に電話。カードを再発行を依頼。ということで,都合約2週間後に無事に届きました。
4.携帯電話 Top
 銀行の近くにボーダフォンがあったので直行。いろいろ説明を受けたけど,まあ日本と同じような感じ。端末もいいのがあったけど俺はタダの端末にして,1年契約60分無料通話つきのコースを選択。20£也(最初の半年は10£らしい)。これに保険が5£,海外通話が半額になるICS(インターナショナルコールサービス)2.5£等で計月30£くらい。6000円弱か。ここの店員,最初は「英国に来たばかりなのに英語がよくできるじゃないか」と言ってくれていたのに,最後は言うことすべて紙に書いてくれていた(笑)。ちなみに日本でどこの携帯を使っていたか聞かれたのでドコモだと答えたら「なぜJ-Phoneじゃないんだ!」(笑)。こんな片田舎の店員なのによく知ってるねえ。
5.車 Top
 ご存知のように,中古車にはLemonの問題があります。キャンパスで車を売りたい人を探したものの見つからず,研究室の同僚の友達の中古車屋へ。車自体は500£(約9万円)からあった(90年製)が,いろいろ考えて1800£(33万円)のDaewooを選択。試乗させてもらったところ,静かだし変なところはなさそう。ちと高いが,命には代えられないし(笑)。AA(日本のJAFみたいなところ,保険もやっている)で調べたところ,2,100£(40万)くらいが相場なのでお得と判断。あとはお友達の紹介で変なものはつかまされていないと信じることにする。
 問題は保険。いろいろ調べてみたが,英国またはEUの免許を2年間持っている/無事故証明がある,の二条件を満たせばそれなりのディスカウントがあるのだが,俺が持っているのは国際免許だし(保険会社的には国際免許は論外らしい(苦笑)),車持ったことないから無事故証明もないし,さらに男だし20代だし(笑),なんだかんだで見積もりをしてもらったら1500£(27万)也! ちょっとびっくりしてかみさんに相談。かみさんは学生時代にオレゴンに留学していたのだが,当時の感覚だとそんなものだというし,米国に研究滞在中の友人に聞いたら半年で900ドルだったという。そうか,俺の保険代は然るべき価格なんだと思い直す。結局,1440£といわれたところと契約。
 次に書類諸々(所有者登録証/保険証書/車検証)を持って郵便局へ。道路使用税88£(半年)を払い,ステッカーをもらい手続き完了。さらにキャンパス登録して大学のステッカーをもらう。
 手続きは滞りなくできたのだが,問題は運転。買ったのはMT車(英国では9割MT)ですが,10年前に卒検を受けて以来MT車には一日しか乗ってません。クラッチの感覚とか完全に忘れてます(苦笑)。ということで,夕方(といっても7時とか8時とか)人気のないキャンパスで黙々と練習してます。運転初日の感想は,「やばい,俺ほんとにMT車で免許取ったんだっけ?」(笑>笑ってもいられない)。
 ちなみに,日本の免許を持っていれば,一定の手続きを踏んで英国の免許を取得することができます。ただ,ちょっと時間がかかるので,今回はあきらめました。あと,保険に関してもTPFT(Third Party, Fire, and Theft)と呼ばれるものとComprehensiveの2種類があり,保険適用範囲はComprehensiveが広いです(自損も入る)。TPFTの範囲は名前を見れば一目瞭然(笑)。TPFTにすれば当然安くなりますが,自分の運転能力からしてComprehensiveを迷うことなく選択しました。
車そのA
 かみさん用の車のお話。当初,かみさんは車を持たない予定だったのだが,公共交通機関が少ないこともあり,かみさん用にも車を買おうということになった。ただし,かみさん車は近場を動ければいいので,小さくて安い(古い)車を探すことに。
 ということで,かみさん到着後すぐに我がDaewooを買った中古車屋(というか修理工場)に電話,小さくて安い車がないか問い合わせ。手持ちにはないが心当たりがあると言われた。翌日には電話があり,さっそく夫婦で現物を見に行った。紹介されたのはFord1989年製Escourt(赤)。1400ccで92,000マイルほど走っている。とりあえず走ればよいというのが夫婦の意向だったので,750£という値段にも納得し,購入を決断。
 前段にも書いたが,車を購入する際には保険に入っておかなければならない。保険に入らないと道路使用税も払えないので,車が運転できないのである。ということで,自分の時と同じ保険屋さんに行き,見積もりを出してもらう。この時初めて知ったのだが(笑),この保険屋さんは特定の保険会社の支店ではなく,代理店としていろいろな会社の保険の取次ぎをしているところであった。かみさんの車の見積もりで最も安いのは,俺の入った保険会社ではなくAXAで,TPFTだと570£台,Comprehensiveだと730£ほどであった。車が古いこともあり保険額もDaewooの半額程度だし,TPFTもComprehensiveもあまり値段が変わらないし,かみさんは1年しかいないので保険更新の必要もないということで,Comprehensiveを選択。その場でお金を支払い,保険証書をもらう。つまり,1年間この車に乗るのに必要な費用が1,500£(約29万円)ということである。
 翌日に車を受け取りに出向く。カードでお金を支払っておしまい。本来なら車両登録証の所有者変更手続きと道路使用税の支払いの2つが必要なのだが,道路使用税は今年3月までの期限が残っていたのでそれまでは手続きは必要なく,車両登録証は前所有者からの引渡しがなかったので,新たな手続きが必要。ただし,申請書類が手元にないのでそれはまた後日ということになり,その日はお金だけ払って,車を受け取ってきました。車を受け取ったのは,かみさんがヒースローに着いてからちょうど1週間後のことであった。
 残された書類の手続きは,その2日後に再び中古車屋を訪れ,書類に必要事項を記入して,DVLA(日本で言う陸運局?)に郵送。これで新たに車両登録証を発行してもらえばすべて完了,である。
 しかし(笑),ここは英国,やはり物事はそうすんなりとは終わらない。3週間ほどして車両登録証が届いたが,所有者の名前がUCHIYAMAではなく,VCHZYAMAになっていた(笑)。間違えた人の気持ちがわからないではない(笑)が,とくかく名前が違うので,その書類を送り返し再発行を依頼。まだ正しい書類はまだ届いていないが,そのうち届くであろう。
 なお,この車はその後エンジンかからなくなる事件なども起こしたが,修理工場に1泊して色々と見てもらった後は好調である(もちろん,この車でスコットランドなどに行ってはいけない(笑))。色が赤ということもあり,かみさん専用「ザク」と名づけられ,交通ルールの逸脱傾向が多少見られるものの(笑),かみさんの足として活躍中である。
(3)保険の更新
 車の保険は1年単位で購入する。最初は2002年7月23日に加入したのだが,保険切れも近くなり(保険が切れる日に旅行を計画していたので),保険屋さんを訪問。期限切れまでちょうど一週間前ということもあり,保険屋には次年度の見積が来ており,見せてもらうと745£。1年目のほぼ半額である。1年間無事故だったこと,30歳になったことなどなどが考慮された結果らしい。もっとも,本来なら200£代で契約できるはずなのだが,英国の居住歴が短いことがマイナス要因になっている。ちなみに745£とはComprehensive(自損も対象)なのだが,安全運転を心がけるし,ちょっとした事故じゃ免責の範囲内になりそうだし,車が大きく損傷したら廃車で残りの期間はかみさんのザクで送り迎えしてもらえばいいし,と考えてTPFTで再見積もりをしてもらった。結果は627£。約12万円。まだ高いが,昨年の半額以下というのはうれしい。
 なお,自分は滞在期間残り半年というタイミングで保険を更新したのだが,保険期間は1年。半年分もったいないという気もするが,保険をやめたいときは,きちんと精算して返金くれるそうだ。手続きに2週間ほどかかると言われたので,自分の帰国がクリスマス休暇にかかることもあり,注意せねば。
6.御飯用土鍋投入! Top
「御飯用土鍋」というのをご存知だろうか? 最近は通販などでよく売られている。炊飯ジャーがあれば便利なのだが,電圧が違うのでそのままでは使えない(日本の炊飯ジャーに対応できる変圧器は高いし,「海外で使える炊飯ジャー」はそもそもの値段が高い)。そこで御飯用土鍋を通販で購入(4,000円),別便で送った。
 20日後に衣類などと共に待ちに待った土鍋到着。梱包を解かずに送ったので現物を見るのはこれが初めて。土鍋と一緒に請求書が出てきて一瞬あせったものの(ネットバンキングで急いで振込(笑))いい感じの鍋です。こっちのこってり料理にそろそろ飽きて,パサパサ御飯にも閉口していた身としては,うれしい限り。
 カリフォルニア米をといで30分ほど寝かせ,強火10分,弱火10分,蒸らし10分。おそるおそる開けてみると,ちゃんと炊き上がってました。お米はこうでなくちゃ。今回はちょっと水が多かったのが反省点ですが,そのうちコツをつかめるでしょう。同居人からは俺が「ここに来てから一番ハッピーにみえる」とからかわれました(笑)。
7.5分以内に全部そろわないと Top
 寮の同居人など4人でご飯を食べに行ったときのこと。4人それぞれ料理を注文したのだが,1人だけ早く料理が来た。他の人の分もすぐ来るだろうからと彼は食べずに待っていたのだが,なかなか来ない。5分経ったらしく「5 minutes」という合言葉と共に料理を持ってスタッフのところへ。「5分経って冷えたから作り直させる」とのこと。うーん,さすがイギリス。
 ちなみにこの後再度出てきた料理を見た本人は「レンジで温め直しただけかも」(笑)。
8.お寿司とお箸 Top
 街最大のスーパーTESCOでお寿司を見つけて思わず購入。お値段はちょっと高めで3.78ポンド(約720円)。一応寿司っぽく見えます。
中身はこんな感じ。玉子,鮭,蟹,海老,カッパ,なぜか赤ピーマン...
お味の方は,思ったよりはまともな味でした。ちょっとご飯がパサパサ。
笑えるのがお箸。一応箸だけど,日本人には使いにくい(笑)。
なんにしても,「SUSHI」が国際語であることを改めて確認。
9.意外な日本語が英語に:Tamagotch Top
寮で同居人から雑誌を借りて読んでいたら,[New Tamagotch from Japan]との文字が。見ると,たまごっちの新製品のレポート。同居人に聞いたら,英国でも2〜3年前にブームになり,その後あっというまに消えてしまったらしい(日本と同じか)。一応「tamago」はeggであることと,「tch」はニックネームを呼ぶ際に後ろによく付加されるもの,つまりTamagotchとはeggの愛称であると説明しておきました(合ってる?)。
10.買い物シリーズ Top
(1)テレビ Top
 大手家電チェーンCurrysで購入。1年半しかいないから21インチと最初は思っていたのだが,実物をみて「やっぱ25かな」と考え直し,最後は「多分広い家に住むから28でしょう」(笑)。229£也(42,000円)。28インチにしては安いけど,当初の予算150£を大幅にオーバー。
 日曜日に買いに行ったのだが,日曜はほとんどの店がお休みで,開いているお店も6時間しかやってません(そういう規制があるらしい)。我が街のCurrysは当然お休みなので,20分ほど車を走らせ隣町TorquayのCurrysへ。我が街のCurrysは異常に小さい(個人商店並)のだが,隣町のはそこそこの大きさ。とりあえず研究に必要な機材は購入可能なことを確認できたのも収穫。
 いまさら知ったTeleTextは便利。字幕サービスもやっている。耳の不自由な自分にはありがたい。

28インチ
CRUNDIG製
2.プリンタ(オールインワン型) Top
 これもCurrysで購入。自宅ではなく研究室用。研究室は手狭なのでプリンタ・スキャナ・ファックス・コピー一体型を選択。LexmarkのX63で149.99£(28,800円)。WinXpでOKと書いてあるから買ったのに,インストール中に「動作保証できない」と警告が。マニュアルをみるとWinXPユーザーはこの警告が出ても「Anyway, Continue」を選択しろと書いてある。日本版OSでいえば「継続」なんだけど,この「Anyway,Continue」という表現にちょっとびびりました(笑)。
11.家探し Top
(1)はじめに
 家探しは,時系列で書きます。さて,まずどういう家を求めているかというと,夫婦で住める家(当たり前)。よく聞く話で,「世界一の幸せ者の男」は「アメリカのサラリーをもらい,日本女性と結婚し,中華料理を食べ,英国の邸宅に住む」らしいので,あまりケチケチせずに,東京に住んでいた時と同程度の家賃は出してもよいかな(ケチケチしてる(笑))と。余談だが,「世界一の不幸な男」は「中国のサラリーをもらい,アメリカ人女性と結婚し,イギリス料理を食べ,日本の邸宅に住む」らしい。話を戻して,日本人向けに書かれている英国生活ガイド(「地球の暮らし方」など)は,ロンドン周辺を対象に書かれているので,田舎における住宅事情がよくわからず,若干の不安もあり。
 また,家探しの戦略は,渡英後最初の1ヶ月は大学寮に住み,かみさんがお盆休みに遊びに来たときに2人で家を見て回って決めようというもの。
 なお,以下の価格は全て月毎の値段です。こちらでは週毎の家賃も珍しくないのですが,書くときは月毎に直しています(週家賃を52倍して12で割る)。
(2)リストアップ
○渡英直後:どこから聞きつけたのか,とある大家からこちらのボス宛に,「Visitingで来る方にぴったりの物件あり」との手紙が届いていた(ボスはその人を知らない)。9月中旬から入居可能,2ベットルーム/庭付きなどなどで450£(83,000円)。広さ・場所・価格的には十分だが,9月中旬は遅いという気も。また,こちらの同僚が貸家を持っていて,8月末で現在のテナントが退居するので,よかったら9月からどうかとの話をもらう。商店街まで徒歩5分というロケーションで,カップルには十分な広さ,予算的にも問題なしということは聞いたが,詳細は不明。とりあえず8月中旬にかみさんと一緒に物件を回り,うまく決まらなかったらということにしてもらう。というわけで2件キープ。
○7月29日:かみさんがこちらに来るまで2週間を切ったので行動開始。街の不動産屋(Estate Agent)を回る。やり方は単純。商店街(?)の隅から隅まで歩き,ショーウインドウに賃貸物件がかかっている不動産屋があったら中に入って,賃貸の家を探しているのでリストが欲しいとリクエスト。8軒ほどの不動産屋があったが,賃貸を扱っていたのは3軒。うち1つは「今はAvailableなのがない」と言われたので結局2軒の不動産屋からリストをゲット。リストを見ると,下は350£(65,000円)から上は1,300£(24万円)までさまざま。ただし,400£台(8万〜10万)の物件が最多価格帯で,予算内に収まりそうで一安心。とりあえずそれぞれのリストから4〜6物件ほどを選んでみる。
○7月29日:キャンパスのAccommodation Officeへ。ここは,大学寮の管理と共に学生向けに民間物件を紹介しているので,カップルに適当な物件はないか聞いてみる。大抵の物件は学生向けなのだが,よさげなものを3軒教えてもらう。3軒のうち2物件は300£(56,000円),1物件は600£(11万)とちょっと高めだが,値段のせいか全然人が入らないので交渉次第で下がるかもしれないとのこと。2物件の値段が不動産屋に比べ妙に安い。不動産屋を通すとピンハネされるということか,それとも学生くらいしか借りないようなボロ物件ということなのか。これは実際に見ないと分からないのだろう。
(3)アレンジ
○8月5日:かみさんがこちらに来るまで1週間を切ったので,不動産屋2軒に出向き,物件を見せて欲しいとリクエスト。かみさんが来る来週12・13日に回れるようにアレンジしてもらう。
○8月5日:キャンパスのAccommodation Officeで紹介してもらった3軒の大家に電話してアポを取る。1軒は連絡がついたが,もう2軒(大家は同じ人)は連絡がつかなかったので持ち越し。それにしても電話での交渉は難しい。
○8月6日:昨日連絡がつかなかった大家に電話。ガーッと早口でまくしたてられてよくわからなかった(笑)が,要は借家は通常学生に貸しているが年度末(6月末)で退去してもらい(学生も年度が終わったらいる必要ないし),9月までの夏期間は旅行者向けに貸し出しているので,俺のように18ヶ月借りたいという人間には不向きだということらしい。ということで断念。この物件,例の300£という奴だったのだが,そういう裏事情があったのかと納得した。ということで,家探しのアレンジはこれにて終了。不動産屋を2軒と直接大家に行くのが1軒。各不動産屋で3軒ほど見せてもらうとして,7〜8件から選ぶと予想。
(4)探索
○8月12日:不動産屋その1へ。予算の上限とキャンパスから遠くない所という2つの条件しか出さなかったのだが,候補は2軒のみ。うち1軒(物件B)は現在まだテナントがいる(月末に空く)ので改めてアレンジが必要とのこと。よって実際に見に行ったのは1軒(物件A)。商店街まで歩ける距離だし,いい感じの高台の住宅街にあるし,すぐ近くには公園もある。ベッドルーム2つ,ダイニング,キッチン,ストレージルーム,ランドリー部屋(?)と広さも十分。大家のおばあちゃんもいい人そう。ただ,風呂にシャワーがない,南側に窓がないので暗い感じ,Unfurnished(家具なし)なので一から家具を揃える必要がある等が難点。家賃は450£也。不動産屋には借りたい場合は明後日までに連絡すると伝えて別れる。その後かみさんがドライヤーを買いたいとのことで家電屋に行ったのだが,その近くに物件Bがあることがわかり,車でうろつき発見。こちらは新興住宅地の中にあり,大学からは少し遠いが新しくきれいそう。ということで不動産屋に電話し,物件Bを見たいとリクエスト。14日(水)に見せてもらうことに。
○8月13日:午前に大学から紹介してもらった大家のところへ(物件C)。ベッドルーム3つ,当然シャワーつき。学生向けということもあり家具がほぼ全て揃っているのがよい。なんといっても大家さんがいい人である。聞くと我がキャンパスのOBで学生を教えたこともあるらしい。難点は周りの環境。下水処理施設が近くにあるらしくちょっと臭う(大家さんは滅多に臭わないと言っていたが)。また,周りを森が囲んでいるのだが,正直気味が悪い(手入れをしていないためと思われる)。住宅街から離れているし,かといって自然環境に恵まれているわけでもない。あと家賃も高い(600£弱)。
 午後は不動産屋その2へ。3軒を見せてもらう。一軒目(物件D)は,住宅街にありスーパーにも近い。目の前が公園。家の中もきれいで明るい。基本的にはUnfurnishedだが洗濯機と冷蔵庫は備え付け。家賃が525£と予算をオーバーしているが,冷蔵庫と洗濯機を買う必要がないこと,街中にあるのでかみさん用の車を買う必要がなくなること(自転車は必要でしょうが)を考えると,逆に安くあがるかもしれない。難点は9月上旬にならないと入居できないことだが,大学寮への滞在を延長すればよいので大きな問題ではない(寮気に入ってるし(笑))。二軒目(物件E)は,同じく街の住宅地にあるが,(かなりの)高台にある。新しいフラットで,防犯アラームもついている。ただしちょっと暗い(建物の北側にある部屋なので)のが難点。あと,かなりの坂を上ってくるので自動車は必須。500£也。三軒目(物件F)は,街から5マイルほど離れた住宅地にある。古い建物だがそんなに傷んでないし,435£という低価格が魅力。ダートムーアを望む景色もよい。ただし,街から遠いのでかみさん用車はやはり必須。
 ここで我々の考えをまとめ,第一希望:物件D,第二希望:物件Fというオーダーとなる。不動産屋に戻り,Council Tax(住民税みたいなもの:場所と家のグレードにより額が決まる)の値段を確認,あと実際に契約する際に必要な手続きなどを聞く。特に我々の場合,外国人だし商社の駐在員などと違って立場を一般人に理解してもらいにくい(ロンドンならともかく,田舎なのでAcademic Visitorはほとんどいない)。そこら辺が心配だったのだが,聞くと家賃を6ヶ月前払いしてもらえればOKだという。正確には家賃1か月分のDeposit(敷金)と手数料112.5£がプラスされるので,3,600£以上(70万円)が必要ということ。我々は共働きなので何とかなるが,学振の給料だけでこれだけのお金は調達できないかも。この国にて改めて自分の立場の不安定さが身に染みる(笑)。
 なお,不動産屋その3を発見し,水曜午後に物件を見られるよう手配したので,探索編は明日も続きます。
○8月14日:朝に不動産屋その1から電話あり。午前に見に行く予定だった物件Bにオファーが入ったとのこと。つまりキャンセル。2日前にはそんな気配はなかったし,9月1日以降でないと入居できないのであまり人気のある物件ではないだろうとタカをくくっていたので驚く。午後に不動産屋その3に行くと,見たいと希望していた2軒のうち1軒にオファーが入ったとのことで1軒のみ見に行く(物件G)。街とキャンパスのちょうど中間に位置しロケーション的にはよいし,周りの住民の感じもよい。家賃も475£とお手頃。ここで物件Gが第二希望に浮上。
 これで,A〜Gの7軒が候補に挙がり(物件Bは見ずに終わる),第一希望:D,第二希望:G,第三希望:Fとなる。
(5)申し込み
○8月14日:朝に物件Bが「消えた」ことに驚いた我々は,物件Dを押さえるべく早めに動くことにする。ジモティである研究室の同僚に物件Dの話をして意見を聞く。すると物件Dは彼の家から徒歩3〜4分の距離で,何も問題はないとのこと。その他入居前に確認すべきことを色々とアドバイスされる。そのまま不動産屋その2に向かい,物件Dを借りたい旨申し出る。不動産屋によると,昨日の時点で大家には我々の話をしてあり概ね了解を得ているとのこと。昨日もらった「テナントの義務」みたいな冊子を読んで理解した旨伝え,また申し込みの際に記入するように渡されていたフォーム(年収・銀行口座・勤務先・居住履歴など)に記入したものを提出する。ちなみに夫婦それぞれが書いた。俺の場合は,こちらの大学でVisiting Staffとして受け入れられていること,日本でフェローシップを受けており3年間有効であること,こちらへはStudentでもWorkerでもなくAcademic Visitorとして入国していることなどを追記。かみさんは年末まで東京で働き,年明けからこちらへ来ることなどを追記。それを見て不動産屋はその場で大家に電話して我々の身分,年収などを伝え,改めてOKをとる。
 Administration Feeを納めればその時点で他のTenantには渡らないとのことで,Chequeを切る。初めてのChequeでちと緊張(教えてもらいながら書く)。
 その場で聞いたことは,水道・ガス・電気・電話などの支払い方法(全て請求はテナントに直接来るとのこと:電気などはプリペイド方式の場合もある),庭の手入れの責任は誰にあるか(テナントとのこと:通常は庭師?を雇うらしい),雨漏りの修理などのメンテナンス・コストはどうなっているのか(大家が負担),湯沸し方式(瞬間湯沸し式:タンク式などもある)など。
 なお,念には念を入れて,フェローシップの証明書とこちらの教授に書いてもらったレターを見せ,必要ならコピーして欲しいと申し出ると,そそくさとコピーしていた。
(6)契約
○8月15日:不動産屋に行くと契約書一式が揃っていた。大家・テナントの義務などが書かれた文面が10ページ。我々の具体的な契約条件が書かれた文面が1ページ,署名が必要な契約書が3ページという構成。契約書はきちんと読もうということで,英和辞書を片手に夫婦で10ページを読み,分からないところは不動産屋に確認して理解する。また,我々の条件は6ヶ月契約(家賃は6ヶ月分前払い),その後の延長は契約が切れる1ヶ月前までに話し合うが,延長する場合は月毎の支払いとなるというもの。我々としては,こちらが延長を希望しているにもかかわらず半年後に大家から追い出される可能性を心配していたのだが,テナントとしての義務を守る限りその可能性はないとのこと。また,逆に長期の契約にしてしまうと途中で契約を解除したいときに困るだろうとも言われた。契約書によれば,契約期間が終了するまで,もしくは新しいテナントが入居するまでは,テナントが住居に責任を持つとなっている。我々が途中で契約を解除しても新しいテナントが入らない限り,住居に関する責任がついて回るということになる。ここら辺はかみさんがかなり的確に質問していたのでとりあえず安心。そして,テナント用・オーナー用・エージェント(不動産屋)用の3つの契約書にそれぞれサイン。本来はテナントとオーナーがサインすべきなのだろうが,オーナーの書名欄は「Landlord or his agent」となっていて,エージェントである不動産屋がサインし,テナント用の契約書をもらって無事終了。我々が外国人ということもあり,不動産屋がかなり気を使ってくれて,「こういうことを言うと失礼かもしれないけど」と前置きをしつつ,「外国からやってきて色々大変だと思うから,わからないことがあったら何でも言ってくれ,できるだけ助けたい」とのこと。地域柄,あまり外国人を相手にしたことがないようなので,我々としてもいい前例になろうと思う。
 最後に,実際の入居に際し必要な手続き(支払いやインベントリーチェックなど)を聞いて不動産屋を出る。とりあえず一仕事終えてほっと一息。ふと気がつくと,不動産屋に入ってから1時間が経過していた。
(7)払い込み
 通常,家を借りるときは,テナントの信用調査が行われる(主に銀行の取引履歴がチェックされる)。我々の場合は,口座を開いてから1ヶ月しか経っていないので,担保となるものがない。そこで解決策として「家賃前払い」ということになる。契約書では,入居日の前日までにお金を払い込むとなっているが,小切手の場合は現金化までの時間を考えて1週間前までということで,早めに(といっても10日前)に不動産屋へ。
 不動産屋でもう一度金額を確認してから小切手に記入。それから,@住所の確認(不動産屋で言われた住所と郵便コードをネットで確認したら住所が微妙に違っていて気になった),A保険の話(家財保険など),B家具のレイアウトを考えたいのでもう1度物件を訪れて部屋の大きさを測りたい,の3つをリクエスト。@に関しては,大家が使っている住所を不動産屋も使っているので問題ない,A不動産屋では保険の取り扱いはしていないが,加入が義務なのでどこかの保険に入るべし(探さないと),Bアポを大家にとって連絡する,という回答を得る。
 なんにしろ引越しまであと10日。家具を買ったりとかいろいろしないと...
(8)引越し前最終確認
 (7)で書いたように,部屋の大きさを測りたいというリクエストを出して,日を改めて物件を見に行った。居間にテレビ・ダイニングテーブル・ソファーを置こうと考えていたのだが,それだけ置くと狭くなってしまうかもしれないと危惧して(というか東京からかみさんにせっつかれて(笑))のこと。ソファーは新たに調達しないといけないので,部屋の大きさに合わせねばと考えていた。
 が,いざ物件に入った瞬間,測る必要がないことを悟る(笑)。ここら辺は日本人感覚が抜けていなかったようで。一応測らないと格好がつかないので測ったら5m×6m。
 という感じで,各部屋の大きさを把握。不動産屋が立ち会っていたので,@引渡し当日の詳細について再度確認,A家財保険を再度確認(この前聞いたときと180度異なり,不動産屋で手続き可能,引渡し当日にフォームを持ってくるのでそこにサインをしてもらえばOKとのこと),B庭の手入れが面倒なので大家さんから庭師の手配をしてもらえないか要望,の3つをして別れる。
 通常,英国で家探しをするときは,すぐに入居できる物件を探すので自分のように契約してから入居するまで3週間以上もあくことはまずないだろう。ただ,このようなパターンでは,1回見ただけのイメージが実際と異なることが十分ありうるので,もう1度物件を見るのは有意義です。何らかの事情により,契約から入居まで間が空いてしまう場合は,適当な理由をつけてもう1度中を見せてもらうことをお勧めします。
12.シェイクスピア Top
 シェイクスピアなど見るような柄ではないのだが,研究室の面々に誘われて試しに行ってきました。場所は車で30分ほどのところにあるExeterというこの辺で一番大きな都市。7時半開演で3時間ほど上演。劇場ではなく野外ステージでやるという。寒そうな感じがしたので,セーターを着た上に,上着・ひざ掛けを持参。
 着いてみると,公園の中に仮設の客席ができている。写真(上)を見てもらえばわかるように,公園の谷間を利用して,ずーーーーーっと奥まで舞台がある。チケットは12.50£(約2300円)。そして演目は「ロミオとジュリエット」(笑)。まあストーリーが分かっているからよかったかも。
 そして開演。第一部は喜劇タッチ。舞台の奥から人が歩いてきたり走ってきたり。また劇中周りからいろんな声や音が聞こえてくる(雑音ではなくストーリー上必要なもの)。「遠くで鳴っているように聞こえる」のではなく,「本当に遠くで鳴っている」ので,臨場感はさすが。開演時はまだ明るかったのだが,第一部終了時には日も落ちて照明が舞台を照らす(写真下)。なかなか幻想的。第二部は悲劇タッチになることもあり,何を話しているのかよくわかりませんでした(笑)。でもそれなりに楽しめたのでよし。寒かったけど。
13.語学学校 Top
(1)イントロダクション
 ネイティブでない以上,語学のレッスンは不可欠でしょう。大学関係者の場合,大抵は大学内に留学生などを対象にした語学コースがある。こちらの大学にももちろんあるが,うちの田舎キャンパスには1つのコースしか実施されないし,メインキャンパスも読み書き用コースばかり。また,これらのコースは学期の開始に合わせ10月に始まり12月に終わるのだが,自分は10月に一時帰国せねばならないためあまり出席できないし,読み書きにはさほど不自由を感じない(書くときは辞書必須だが(笑))から,読み書きコースは必要ないだろうと判断。余談だが,こっちのボスから読み書きコースを勧められ,ちょっと切れかかった(というか切れた)。通常,海外からの留学生は英語を「話せるけど読み書きが苦手」であるらしく,語学コースは読み書き用が多い。これはつまり,会話が苦手=英語ができないとみなされることを意味する。日本人にとり不利な状況である。
 まあ機嫌を直して(笑),自分の場合(というか日本人一般にも通じるが),会話を中心としたコースを大学外に求めた方がよいと判断。単純にネット検索で近郊に2〜3の語学学校を発見。ラッキーだったのは,観光地Torquayが近くにあり,語学学校が簡単に見つかったこと。そして自分に都合のいいコースをやっている学校を選択。月に1〜2週間程度通えるのがもっとも都合がよく,一日みっちり缶詰になったり,3ヶ月単位の学校などは大学にいけなくなるのでペケ。ちなみに情報収集源としては公共図書館もあり,また教会系だと家庭教師を申し出てくれる人も多いみたいだが,言っちゃ悪いが語学というのは「英国人なら英語を教えられる」的な単純なものではないので,きちんと語学をプロフェッショナルに教えてくれる所がよいと判断。これも余談だが,たとえば「いただきます」をローマ字で「Itadakimasu」と書いたときに音的には「Itadakimas」であって最後のUはいらないと質問されても答えられない俺は日本語を教えられない(笑)。
(2)偵察
 そこで選んだのがある語学学校。コースは1週間単位で,授業は朝9時〜12時半(休憩30分)。つまり週によって行く行かないを決められるし,授業に出たとしても午後は大学に行ける。生徒は1クラス最大6人(夏季は増員)。授業料は105£/週。15時間で2万円だからまあ安いものか。
 ただし,きちんと話は聞いておこうと思い,実際に学校をたずねて先生に話を聞く。生徒はどういう国から来ているのか(たとえば日本人が大挙おしかけていたりしたらやめるべし→日本人は3人:許容範囲か),俺のような通い方(月に1〜2週間飛び飛びで通う)でも問題はないか(問題ないという),などなど。授業の中身については実際に出てみないとわからないので判断を保留。
 俺の相手をしてくれた先生から,以前に語学学校に通ったことがあるかと聞かれたので,東京でベルリッツに通っていたと答えたら,その先生も語学教師としてのキャリアはベルリッツで始まったという。それを聞いてなんとなく大丈夫なような気がしてとりあえず1週間通ってみようと決断。このときに先生から「君は中級」と言われ,中級コースを申し込む。
(3)初日
 語学学校は車で30〜40分ほどのところにあるのだが,朝の通勤ラッシュと重なるので8時頃出発。8時30分頃に近くの駐車場へ。駐車代金を見ると1時間1£(185円)。自分は4時間ほど駐車するので4£(740円)。おいおいそれって高すぎないか?と思いつつも,仕方なく支払う。学校に行くと,俺と同じく今日が初日という人が他に3人。それぞれスイス男,イタリア女,ドイツ男。まずはテストを受けろと言われ別室へ。見ると100問の4択ペーパーテスト。高校時代にタイムスリップ。文法などは簡単だが,慣用表現とかは知らないのでわからない。結果は81点。ただし,他の3人は2人が50点台,1人が75点。おいおい,お前ら俺よりペラペラしゃべってるくせになんで50点?と思ったが,向こうもこいつあんまり英語しゃべれないくせにどうして点数がいいんだと思っただろう(笑)。ということで,俺のクラスは上級へ変更。もう少し詳しく言うと,この学校には5つの段階があるらしく,Basic/Pre-Intermediate/Intermediate/Upper-Intermediate/Advancedに分かれているが,UpperとAdvancedは統合されて1クラスになっている。俺はここに放り込まれた。
 でクラスに入る。俺を含めて生徒は9人。もう1人日本人がいたので日本勢は2名,他はスイス人/ロシア人/ドイツ人/イタリア人など。年齢層は,1人おばさんがいたが,あとは10〜20代前半か。授業はベルリッツと同じ感じ。文章を読ませ(俺も読まされ,案の定Lの発音を直された(直らなかった(笑)),単語の意味を英語で説明させる。そして,あるTopicについて議論をさせる。みんなしゃべりたがりで圧倒される。俺の出る幕といえば,みんなが知らないのでだまっている単語の意味を答えるとか(笑)。よくよく見ると,よくしゃべるのは2〜3人。こいつらを制さなければ俺のしゃべる時間がないと頑張ってみるが不発(笑)。必死になっていると授業終了。
 授業は1時間半×2なのだが,前半の授業の時間にテストを受けていたので,今日は後半のみ参加。しんどい。疲れた。先生は今日の様子を見てクラスの入れ替えをするようなことを言っていたが,もう少しリラックスして英語を話せないものか? まあ,みんながエキサイトしている中に入りこんで自分の意見を聞かせる訓練とすれば非常に有効なのだが(笑)。
(4)一週間終えてみて
 とりあえず1週間が終わりました。日常では多少間違った文法やおかしなアクセントで英語を話しても周りの人は分かってくれるが,語学学校ではそれが通用しない。文法が間違っていたらダメ,合っていてもアクセントがおかしかったらダメ,という世界。一方,生徒は結構でたらめな英語をしゃべっているにもかかわらず,自信満々。自分がまだまだ修行が足りないことを痛感。何度も書いているように,正直しんどかったが,しんどい分だけやり続ければためになる(と思う)。
 あと,日本人は日本人なりに「読み書きはよくできる」という長所をもっと自慢してよいのでは。事実,自分もディスカッションでは全然歯が立たなかったものの,読み書きは一番できがよかった。受験英語サマサマ(笑)。
 真面目に語学学校に通ったら相当英語は上達するのでは? 問題は,授業をどれだけ真面目に受けるかでしょう。俺は1週間だけなので集中できたけど,これが何週間・何ヶ月も続いたら集中できないかも。その意味では,俺のように月に1〜2週間通うという方法は集中力が持続していいかも(先生はいたり消えたりで扱いにくいみたい(笑))。普通はこんな通い方はしないだろうけど,ポスドクで海外に滞在する人にはお勧めの方法かもしれません。
 あと,一応1週間のコースを修了したということで,修了証明と自分の英語力についてのReportがもらえるんだけど,修了証明はともかく,Reportは読む方が恥ずかしくなるような美辞麗句が並んでいる(字面通り受け取ったら,俺は語学学校に行く必要などない(笑))。これにもう少しきついことを書かれる(もっと具体的に課題をあげてもらうとか)ようになれば,英語が上達したということなのだろう。
(5)2週目を終えてみて(2002年9月27日)
 前回から中3週間を経て,再び語学学校に通いました。慣れてきたこともあり,「きつい」と感じるのはなぜかがちょっと見えてきました。これは,語学学校一般の話ではなく,あくまで「ポスドクの野郎が変則的に語学学校,しかもビジネス英語というより一般英語を習いに行った場合」の話。
 @授業内容が先生の好みにかなり左右される。例えば性別による好みがもろに出る。自分の場合,毎日3時間の授業のうち,前半が男性,後半が女性の先生だったのだが,前半の男性が世界地理の話などを持ち出すのに対し,後半の女性は美容整形の話をしたりする。世界地理だったら自分も嫌いではないので「メキシコの南隣にある国は何か」「シンガポールは南半球に属するか?」などといったオタッキーなネタをすぐ思いつくのだが(笑),「美容整形についてどう思うか」などと聞かれても,正直に言えば「I don't care」(笑)。これでは議論にならないから無理に何かを考えるわけだが,研究者は「長期的な視点で見た場合の副作用をどう評価するか」とかそういう話にしてしまうので,周りと歩調が合わない(笑)。もっと言ってしまえば「この先生頭悪いなあ」と感じる瞬間も少なくない(もちろんこれは男女関係ない)。先生にあまり多くを期待してはいけないのだろう。
 A「周りと歩調が合わない」話からつながるのだが,生徒は女性が多い。女性陣の会話の中に男性陣が少数,という展開は,もはや語学の問題ではない。日本でもそういう状況だと居心地が悪いのだから(笑)。
 B語学学校に通う生徒は,年齢・職業などバラバラだが,「英国滞在中は語学学校がメインであり,近隣にホームスティしている」という点で共通している。うまく説明できないのだが,要するに語学学校自体が「語学学校以外に生徒にはすることがない」という前提で動いている。俺のように語学学校は副,主は大学,しかもちょっと遠いところから通ってくる人間には時間の流れが合わない。もっとも,これは「昼間は仕事,夜は語学コース」というタイプの学校ではだいぶ状況が違うのだろう。
 ということで,普段大学にいれば,いわば同質の人間が集まっているわけだから,多少語学が足りなくてもあまりストレスは感じないのは納得である。裏を返せば,語学学校のこういうシチュエーションこそためになる(もちろん英語力を向上させることも大事だが)と捉えればやはりいい機会だといえる。
14.ローカルパブ Top
 英国といえばパブである。が,自分はあまり縁がなかった。最大の理由は自分があまりお酒が得意でないことにあるのだが,別の理由もある。ロンドンから遠く離れた田舎ならではの事情というべきか。
 以前にも書いているが,この街は有色人種がほとんどいない。昼間に商店街を歩いているとよく振り返られる。夜になると,ちょっと危険な目にあうかもしれない。人種差別というと大げさだが,有色人種が珍しいのは確か。ちなみに同僚はスコットランド出身なのだが,こちらに来た頃はスコティッシュ訛りのせいでパブでは怪訝な顔をされたという。俺の場合は訛りはもちろん,見てくれまで違うのだからなおさらである。さらに注意すべきは,この地域は英国の中でMildestな地域であり,老後を過ごす高齢者が多いこと。つまり第二次大戦の経験者が多いということ。これ以上は書かなくてもわかると思うが,日本人であることは彼らに特別な感情を抱かせるに十分である。昼間は気にしなくてよくても,夜にお酒が入る場所となると話は別である(日本人などいなくてもパブではしょっちゅうけんかがある)。ちなみに,この地域で最も有名な日本人は「Hirohito」である。以上は同僚と話した内容であるので,自分の思い過ごしではない。いきなり真面目な話になってしまったが,日本人として,これくらいの自覚が必要となる。
 というちょっと厳しい条件下で,同僚に連れられパブツアー開始。ツアーの方法は簡単で,パブに行き1杯飲んで次に行く,というもの。パブでは注文ごとにお金を払うので,「1杯だけ」が簡単にできる。これを使って,まず街にある4軒ほどのパブをはしご。同僚が,あまり危なくないところというチョイスをした4軒だったのだが,どのパブに入っても,自分がやたら注目を集めているのがわかる。単純に珍しいのだろうが,あまり気持ちのいいものではない。
 最後に,同僚のいきつけのローカルパブへ。街からは少し離れた住宅街にあり,お客はみんな互いに顔見知り。俺も同僚の友達として快く受け入れてもらう。金曜の夜ということもあり,お客がたくさん。そして,11時を過ぎたあたりから暴走開始。一人のおじさんが,はさみで自分の洋服を切って遊び始め,皆が受けていたら調子に乗って切り続け,最後は全裸。巻き添えになったおばさんがひとり。こちらはポロシャツが切られてブラだけに(苦笑)。どちらもふとっちょで全然卑猥な感じはないのだがそれにしても(笑)。パブを出るときに,周りの人から「いつもはこんなんじゃないからまた来てくれ(笑)」とか言われたけど、これに対抗できる日本の芸といえば,もはや野球拳しかない(笑)。
 ということで,全てを含めていい経験をさせてもらいました。まあパブといっても,ロンドンのような人種のるつぼではこんなことは気にしなくていいだろうし,その他の地域でも,観光地などはほとんど問題ないでしょう。ここでも最後のパブはクレージーではあったが楽しませてもらったし。
15.労働許可証(Work Permit) Top
(1)イントロダクション
 ポスドクやサバーティカル(sabbatical)で英国に滞在する「Academic Visitor」は,以下の条件を満たせばビザは必要ない。
・英国内の機関から収入を得ない
・英国において職につく意思がない
・英国外での研究に付随した,又はその準備のための滞在である
・滞在期間が12ヶ月を超えない
 自分の場合は,最後の条件がひっかかる(実際には日英間を行ったりきたりなので,連続して12ヶ月滞在することはないのだが)。12ヶ月を超えるとWork Permit(労働許可証)を取得しなければならない。Work Permitとはいわば就労ビザであり,英国内で収入を得ない自分がどうしてWork Permit?という疑問もあるのだが,東京の英国大使館でもらった案内に「英国での滞在期間が12ヶ月を超える場合はWork Permitの取得が必要です。これは英国で給与を得ない場合も該当します」としっかり明記されており,Work Permit取得が必要であることは疑いがない。
 今から考えれば,7月の渡英前からこっちのボスをつっついておけばよかったのだが,どうせ3ヶ月で帰国するから入国できないことはありえないし,渡英後に手続きできるし,と油断をしていた。まあなんにしても,Work Permitは雇用側(俺の場合大学側)が申請するものであり,本人は何もできない。
 7月の入国審査では,滞在目的を「Research」,期間を「3 months」と申告したので何の問題もなく通過(というか事実だし(笑))。こちらに着いてからボスにWork Permit取得の手続きをとるように依頼。ボスはホームオフィス(Work Permit発行機関)の案内を見てもよくわからないので,問い合わせのファックスを送り,3週間の休暇に出かけていった。
 ボスは8月中旬に休暇から戻ったので,ホームオフィスから回答が届いたか尋ねたところ,届いていないという。まあそろそろ届くだろうと思っているうちに,ボスは多忙な人で学会などで大学にいたりいなかったり,気がつけば9月が目前という状態に。さすがにまずいと思い(三都主の一件もあり)ボスを強力につっつく。
(2)申請手続き始動
 さすがにボスもまずいと思ったらしく(そりゃそうだろう,海外から研究者を受け入れる際にビザの手続きは最低限の責任なのだから),ホームオフィスに電話,該当するフォームを入手,俺の個人情報に関する部分を記入するように言って来た。これが9月2日(月)也。名前だのパスポート番号だのといった基本情報に加え,「Qualification」欄(学歴を書くしかないので学部・修士・博士の学位を記入),「Work Experience」欄(仕事といえる仕事は,博士1年のときのTeaching Assistantと博士2年冬以降の学振のReseach Fellowだけ)などを埋めてその日中に教授に送信。ちなみにWork Permitは,英国人ではまかなえないタスクをこなせる人に発給するという大前提がある。英国人もできるタスクは英国人がやるべきなのであり,外国人がその機会を奪うべきではない。だから,俺の場合は,この大学で走っているプロジェクトの一部(日本のデータを加え,さらに分析を進める)は俺でないとできないとホームオフィスを納得させないといけない。納得させられなかった場合,俺にはWork Permitが下りない。(以下つづく)
(3)続・申請手続き
 申請手続きが始動したのは9月頭でしたが,実際に申請手続きが終わり,Home Officeから申請受付通知が発行されたのは9月24日。自分の手を離れてから,うちのボスと大学のアドミニとの間で色々とやりとりがあったようだが詳細はわからない。前にも書いたが手続きはあくまで雇用側(大学側)がやるもので,本人はタッチできない。また,申請が受付されたといっても,WorkPermitが発給されたのではなく,あくまで仮措置として「審査中の就労を許可する」もの,つまり「申請が届きました。一見問題なさそうです」と言っているだけ。ところがこの文書をうちのボスは「WorkPermitが発行された」と解釈していたのでその誤解を訂正するのに一苦労。具体的には文中に「We have considered the application against the work permit criteria and are able to approve this employment for 15 months.」とあるので,一瞬WorkPermitが下りたように読んでしまうのだが「are able to」がミソ(笑)。実際,以下に続く文章では「The Work Permit in Country Decision Team will now consider whether Mr Uchiyama's leave to remain can be extended and notify you of the decision in writing. If leave to remain is refused, Mr Uchiyama should cease employment immediately as they no longer have permission to work」となっている。ちなみにleave to remainとは「滞在許可」のこと。今の俺は6ヶ月までの滞在しか認められていないので,延長しないといけないわけだ。(以下つづく)
(4)ついに発行! しかし・・・
 その後,HomeOfficeからは何の音沙汰もなかったのだが,忘れた頃に何とやらとはまさにこのこと。
2003年1月のある日,大学の自分宛郵便物入れに大学のアドミニからの封筒が。開けると,労働許可証(WorkPermit)と滞在延長の証明書(2004年3月24日まで)が入っていた。これで晴れて労働許可証が正式に発行されたわけだ。申請時は「2003年12月まで」の滞在申請だったのだが,なぜか3ヶ月ほど余分についている。あくまで予想だが,これは再入国時にもらった2002年10月24日から1年間の滞在許可をさらに半年間延長した,というもののようである(入国スタンプに押された番号と同じ番号が滞在許可証明書にも記してあったし)。
 これで解決だといいのだが,まだ終わっていない。かみさんの滞在許可である。かみさんが入国した時に,自分はまだ労働許可証の申請中だったので,かみさんはその旨申告したのだが(というかその旨を記した手紙を持参させたのだが),入国審査官が事情を理解せず,俺を「労働許可証取得者」とみなし,かみさんが労働許可証取得者の配偶者としての申請をしていない,という理由で,観光時と同様の半年間の滞在許可しかくれなかったのである。確かに,自分が労働許可証取得者の場合は,かみさんは東京の英国大使館で事前にビザを取得してから渡英しなければならないのだが,当時の自分は労働許可証を取得していないため,その申請はできなかったにもかかわらず,である。
 これには伏線がある。労働許可証の申請は,本人ではなく雇用側が行わなければならない。したがって,自分の場合は(本当は雇用主ではないのだが)プリマス大から申請をしてもらった。そのときに,かみさんが合流予定である旨を話すと,かみさんの申請も合わせて行う,とのことで,申請に必要なかみさんの個人情報も聞かれた。さらに,「かみさんが入国時には何らかの手続きが必要だと思うが」と問い合わせたところ,「あなたのワイフの申請も合わせて行ったので心配ない」と言われていたので安心してしまったのである。
 こういう事情もあったので,かみさんが入国審査で6ヶ月の滞在許可しかもらえなくても,労働許可証が下りればかみさんの問題も解決するだろう,と思っていたのだが,労働許可証や滞在許可延長の証明書には,かみさんのことは一切記載されていない。おかしいと思い大学のアドミニに問い合わせると,「あなたのワイフのことは労働許可証とは関係がないので,別途HomeOfficeに聞いてくれ」との予想せぬ答えが。おいおい,前にお前からもらったメールは手元にあるから,今のその発言は明らかに矛盾かつ無責任だ,外国人の受入れを何だと思っているんだ! と怒りがこみあげたが,無能な英国人をつるしあげたところで時間の無駄(日本じゃ絶対こういう思考はしないのだが)とさっさとあきらめ,自力で問い合わせをすることに。
 とはいえ,こういう特殊な事例は,HomeOfficeのHPを見ても分からない。念のため日本の英国大使館と英国の日本大使館にも問い合わせてみたが,英国大使館は「HomeOfficeでの手続きになります。詳細は直接お問い合わせ下さい」,日本大使館は「わからない」との回答。ということで,HomeOfficeに問い合わせの手紙を出すことに。どうやら,滞在延長手続きは滞在の残り期限が少なくなってから(1ヶ月を切ったあたりから)行うもののようなのだが,何にしても,何をすべきかは早めに明らかにしておかねばなるまい,ということで,現在は手紙の返事待ち,という状態である。
(5)HomeOfficeからの回答
 HomeOfficeからの回答は,3週間ほどで届いた。意外に早かった。曰く,これこれのフォームに必要事項を記入し,云々の証明書類と共にHomeOfficeに送れ,とのこと。そのフォームは,「配偶者用」のもの。通常は,英国人もしくは滞在許可を得ている人間と結婚した人(「結婚している人」ではなく)が申請するためのもの。まあそんなには困らない。
 この申請は,滞在許可の切れる5週間前から受付開始するとのことなので,我々が申請できるのは5月末であるのでしばらくは何もすることがない。(というわけで,まだまだ続く)
(6)予定変更,日本で取得
 ということで,6月になったらHome Officeに滞在期間の延長を申請する予定だったのだが,かみさんが5月に一時帰国することになった。一時帰国中に日本の英国大使館で手続きできないか問い合わせたところ,「問題がなければエントリークリアランス(ビザみたいなもの)は即日発行される」との回答をもらったので,日本で手続きすることにした。
 いくつか必要な書類があったので,英国で揃えられるものは用意し(雇用者からのレターなど),残りの書類は日本で調達し(戸籍抄本や証明写真など),かみさんは英国大使館で手続き。無事に即日発行を受け,再渡英は無事にエントリークリアランスを提示して入国審査を通過したそうです。ということで,ようやくこの項了。 
16.引越し
(1)イントロダクション
 前にも書いたように,通常はこちらに来てすぐに家を見つけるものだが,自分の場合は色々と事情があって大学寮に2ヶ月も滞在したので,少し事情が違うところがある。家探しから引越しまでの過程は「家探し」で書いたので,ここでは実際の引越しに関わる話を書きます。
(2)家財保険
 家を借りる場合,建物そのもののダメージは大家の責任だが,住居のContents(中身)はテナントの責任である(例えば,カーペットを汚した場合,その修復費用はテナントの責任)。普通はEstate Agentが保険を取り扱っている(保険会社もやっているので,別にEstate Agentでないといけないわけではない)。うちは,10£/月で7,500£までカバーできるタイプ(免責75£)に加入。手続きは簡単で,Estate Agentに相談したら,引渡しの時にフォームを持ってくるので,それにサインしてくれればよい。
(3)家具調達
 Furnished(家具つき)の家を借りれば家具を調達する必要はないが,この地域にはFurnishedの物件はほとんどない。あくまで推測だが,Furnishedタイプがあるのは人の出入りが活発な地域に限られるのではないか。その証拠に,学生向け物件はFurnishedタイプが多かった。自分の物件は,洗濯機と冷蔵庫,ワードローブはついているが,その他は新たに調達しなければならない。
・大学関係者だったら,大学寮の担当部署に聞いてみるべし。大学寮には多くの家具が必要で,担当部署は必ずスペアを持っているはずである。場合によっては処分寸前のものもあるかもしれない。もらえないにしても,格安で売ってくれたり貸してくれたりするかもしれない。自分の場合は,「あなたは学生ではなくスタッフなので,(学生のための)家具を使わせられない(この大学には学生寮はあるがスタッフ用の寮はない)」と一蹴されてしまったが,場合によってはうまくいくかもしれないので試す価値あり。
・次の選択肢は,大学のスタッフなどに,余った家具がないか聞いてみることである。自分の場合,幸運なことに,同僚が家を貸していて,(我々が借りないために)売りに出すことにしたので家具を処分したい,欲しいのがあれば売りたいとの申し出を受けたので,ありがたく乗らせてもらうことになった。
・第三の選択肢は,市中から調達する方法。Secondhandの家具屋をあたるか,安物の新品をあたるかがある。Secondhandの家具屋は思ったほど安くない。「いいものがお得な値段で買える」というものである。値段だけ見れば,新品の安物の方が安い。なお,これはこの地域だけの話で,ロンドンなどではまた状況が違うかもしれない。さらに言うと,通販の方が安い。ここら辺の事情は日本と同じようだ。
 ということで,自分の場合,まず同僚から家具を譲り受け,足りないものは市中から調達するという戦略をとることとする。
 引越しの2日前,同僚が処分するという家を見に行く。その中から欲しい家具をピックアップ。ベッド×2,ワードローブ(小)×1,テーブル+チェア×4,ちょっとしたソファ×2,作業用デスク,鏡台,ちょっとした台×2。これにソファ・レンタル(いらなくなったら返す)を加え合計280£(ちょっと同僚が良心的過ぎかと思ったので,その晩ちょっと高級なレストランでおごらせてもらいました)。
(4)住所変更手続き
 これは通常は必要ない作業。自分の場合,大学寮を住所にして登録したものがいくつかあるので,住所変更の手続きが必要。挙げてみると,銀行・車の所有登録・車の保険・携帯電話・スーパーのポイントカード(笑)くらいか。こちらでは住所変更の手続きをしてから,実際に変更になるまで時間がかかるので,事前に「○○日からこの住所に変わります」と申請をするものらしい。特に重要である銀行と車の保険は1週間ほど前に届け出。残りは引っ越してから手続き予定。
○後日記:車の所有登録は,登録証に住所変更記載欄があるのでそれに記入し担当部署に郵送。携帯はVodafoneの店舗に行き住所変更の旨伝える(どうやらカスタマーセンターに直接電話してもいいらしい)。スーパーのポイントカードは,WEB上で住所変更手続きが可能であった。
(5)引越し当日
 引越し当日は,まず自分の部屋の荷物整理。一応前の晩に一通りは片付けておいたので,当日の作業は車への詰め込み作業。あまり物を買ってないので大した量じゃないだろうと思っていたのだが,荷物が意外に多くてびっくり。引渡しの手続きは,新居の前で10時半に大家さん,不動産屋と待ち合わせという約束だったので,10時15分頃に出発。出発前に退寮記念に写真を1枚
 新居には10時半前には到着。「時間に正確な日本人」像を守ることができ一安心(笑)。まもなく大家さん到着。大家さんと会うのは初めてだったので挨拶。10時半の時点で不動産屋が来なかったので,大家さんと2人で物件の中身を確認。鍵の受け渡しの後,ガスの使い方(特にセントラルヒーティングと暖炉),ごみ収集の曜日などを教えてもらう。こちらからはケーブルテレビと契約してもよいかを聞く。すると,すでにラインは来ていることが判明。ただし,端子がベッドの部屋に来ているので,これをリビングに引きなおしたいというと,その工事をするときは連絡してほしいと言われた。あと,同じ建物に住んでいる人がどういう人かを聞く。大家さん曰く,独身のおばあちゃんの一人暮らし,独身の若い男の一人暮らし,それに3人同居(どういう3人かは不明)の3世帯とのこと(つまりこの家は自分を含め4世帯が居住)。あと,大家さんから自分とかみさんの素性やら英国滞在予定やらを再度確認されたので,きちんと説明。ついでに,大家はトイレットペーパーをつけるやつ(?)を取り付けて帰っていった。
 次に不動産屋が到着。物件の内容はすでに写真を撮影済み。ただし,CD-RWが壊れたのでCDは持ってこられなかったとのこと。また,家財保険も書類が準備できなかった,ということで,結局何もなし(笑)。不動産屋からは,鍵の管理(大家は2つの鍵のうち1つしか使わないと言っていたが,不動産屋はきちんと2つかけろとのこと),ボイラーのタイマーの使い方(冬はタイマーをセットしておかないと大変)などを教わる。あと,やはりはきちんと管理しないといけないらしい。
 不動産屋が帰り,いよいよ引越し作業開始。その前に同じ建物に住んでいるらしき人が出てきたので挨拶をする。さきほどの大家さんの説明にあった独身のあばあちゃんと独身の若い男性。おばあちゃんは「耳が悪いのでテレビの音が大きいかもしれない」とのこと(事実,夜は2階からテレビの音が聞こえた(笑))。で,まずは車の荷物を家の中に運び込む。
 続いては,同僚から購入した家具の運搬。バンをレンタカーで調達,同僚と共に2往復。同僚のワイフ(法的には結婚してないらしい)も手伝ってくれて,3人で家具を搬入。レンタカーの返却時間がせまっていてあせっていたこともあり,同僚がバンの側面をゲートにぶつけるアクシデント発生(こすった程度ならともかく,バンにかなりのダメージあり)。修理代£200。まあ仕方ないか。
 まあそれはともかく,その後布団を買いに行ったりして,7時頃には同僚夫妻が帰宅。事故ったこともあり悪いと思ったのか,かなり手伝ってくれた。その後は,家具のアレンジメントなどをして,その日の作業は終了。
(6)引越し後
 引越しの翌日の朝に,上の階に住むおばあちゃんが部屋に来て,ごみの分別表のようなものを貸してくれた。テレビの音は確かに大きいが(笑)とてもいい人で感謝感謝。ただし,その後の1週間は日本からの研究者の受入れで忙しく,大学寮に泊まったり,家に帰るときも夜11時過ぎに帰宅,その後翌日の準備をして,1時頃就寝,7時には起床,8時にはキャンパスで仕事を開始,というサイクルだったので,ほとんど引越し作業ができず。1週間後の土曜に日本の先生方が帰った後に,本格始動(するはず)。
17.ケーブルテレビ・電話・インターネット
(1)イントロダクション
 前提条件として,英国には地上波チャンネルが4つしかありません。寂しいと思ったときはケーブルテレビとなります。ただし当然ながら,ケーブルテレビのサービスエリア内でないとサービスは受けられません。サービスエリア外の場合はアンテナを買って衛星放送という手段があります。この地域は田舎のためエリア外の可能性の方が高いですが,自分は田舎の中でも街中のためサービスエリア内でした。電話については,ケーブル電話を使わなくてもBT(British Telecom)で十分だと思います。BTとそれ以外とどちらが安いか,という話は不毛なのでやめます。自分の場合,携帯しか持っていなかったので加入電話はどうでもよかったし,ケーブルテレビを申し込むならついでに電話もやってしまえ,と考えて電話もケーブルにしました(日本へ安く国際電話をかけたい場合,別に専門会社と契約したほうがよく,その場合,加入電話からトールフリーに電話しキー操作で日本に電話する形になるので,電話会社はどこでもよい)。インターネットについては,この地域ではダイヤルアップがまだまだ主流です。ADSLサービスも普及しつつありますが,まだまだです。僕の場合,ネットのヘビーユーザーであること,ブロードバンド環境ならMessengerを使って電話もどきがタダでできること,などなどを考えてブロードバンドを希望していましたが,ADSLサービスエリアかどうかは電話番号を持ってみないとわからないので,面倒になってここでもケーブルインターネットを選択。
(2)申し込み
 引越し当日(9/7)に大家にケーブルテレビを引いてもよいかを確認(これはテナントの必須事項)。大家さんの答えは当然OKで(前居者が使っていた,というか大家自身が前居者だし),親切にもその場でケーブル会社を電話帳で調べてくれたのだが,その時は見つからず。思えばこれがケチのつきはじめ。
 引越し翌日から1週間仕事が忙しくて中断。次の土曜日(9/14)に(電話帳にないので)ネットで調べこの地域のケーブル会社を発見,WEB上の申し込みフォームに記入し送信。これで週明けには連絡が来るだろうと考える。
 が,翌週になっても連絡は来ない。ケーブル会社のWEBページに記載されている電話にかけてもいつも話し中でつながらない。木曜(9/19)にようやくつながる。すると,「あなたの家は違うケーブル会社だ」と言われる(笑)。これには理由があって,ケーブル会社の中に2種類あって,ブロードバンド対応地域だけ別会社になっている(しかもホームページを共有している)。俺はブロードバンドでない会社の方に申し込んだり電話したりしていたらしい。で,教えてもらった「正しい」番号にかけなおしたら,今度は「ここはビジネス用でホーム用は別の電話番号にかけてくれ」と言われる(ありがち)。そしてようやく正しい部署につながる。
 と思ったらまた問題発生。住所を告げると「残念だがあなたの家はサービスエリア外」だという。ちょっと待ってくれ,我が家にはお宅のケーブル会社のコードが来ている,もう1度確認してくれ,というともう1度調べてくれて,今度はサービスエリア内との回答をもらう(苦笑)。次に,テレビ・電話・ネットすべて申し込みをしたいと言うと,いろいろなプランを提示される。まあ手元でWEBページを見ながらだったので簡単に選択。ブロードバンドについては,「あなたはブロードバンドを知っているか?」という超初歩的な質問に愕然となったものの(これがこの地域の実情なのだから仕方がない),パソコンのスペックなどを聞かれ,OKとなる。もっとも,512KBを「ブロードバンド」と自慢されるのは閉口。ここでも自分が英国居住者でない(正確には3年以上の居住履歴がない)ことを理由に200£のデポジットを要求される。仕方なくOK。その後2時間くらいたって向こうから改めて電話があり,もっとも早い日程で来週の火曜(9/24)午後と言われ了承。ごねれば早くなったのかもしれないが,ここまで来ると来てくれるだけでありがたいという心境(笑)。
 その後,土曜日にネットのID・パスが,翌週月曜に契約書が郵送されてきた。契約書は前もって読んでおいてサインしておけということなのだが,ここで俺の名前が「Ughiyami」になっていることが判明(正しくはUchiyama)。デビットカードからはきちんと引き落としがされているのにこの名前はなんだ! と思いつつももはや笑うしかない。
(3)設置工事
 ということで,設置工事。12時〜16時の間に来るとのことで,11時45分くらいに一旦帰宅。英国人の気質からいって,昼飯時に仕事をするわけがないと思い,昼ごはんを作っていたら意外にも12時40分頃にサービスマンが3人やってきた。土足のままあがろうとしたので,靴を脱いでもらうようにお願い。快く脱いでくれたのだが,作業で外に出るときも靴をはかないままでした(笑)。
 作業は1時間弱で終了。元々ラインが来ていたこともあり,作業は淡々と進む。インターネットは日本のようにくモデムだけ置いて「あとはご自由に」となると思いきや,インストールまできちんとやってくれました。ただし,俺のPCが日本語OSなので,作業は「マイコンピューターはどれだ」「ハードウェアはどれだ」などと聞かれ,俺が答えつつ進行。
 ということでめでたくデジタルTV,電話,ネットの設置が完了。デジタルTVはPCのように時々フリーズするのが難点だが総合評価としては合格。電話は普通の電話と同じなので当然合格。ネットはまあ我慢できるスピード。ネットは一部地域で1MBサービスが始まっているらしいが,1MBにしたところでねえ(苦笑)。
 ということで,今回からHPのアップは自宅から「ブロードバンド」でやります。
18.海外送金
(1)イントロダクション
 自分の給料は日本の銀行(シティバンク)に振り込まれている。ポスドク留学の場合,現地でフェローシップを受ければ送金の必要はないし,国内でも海外向けフェローシップを受けた場合は,スポンサーが現地通貨建てで送金してくれることもある。したがって自分のようなケースはあまり多くないのかもしれないが,日本の銀行に給与が振り込まれて,それを現地の銀行に移動させなければならない場合のちょっとしたコツを。
 なお,シティバンクもそうだが,日本の大手銀行ならば,一定の手続きを経て,現地口座を持つことなく海外のATMで現金が引き出せるサービスをやっている。だから,英国内に口座を持たず,日本の口座を英国から利用するのも手である。ただし,この場合にネックになるのは,@現金を引き出したときのレートで円ポンド換算されるので,引き出すタイミングによりレートが左右される,A引き出し手数料が取られる(「シティバンクは手数料無料」を鵜呑みにしている人がいるが,あれはレート自体が悪いので要注意),B引き出し金額に上限がある(もっとも,これは英国内の銀行でも同様),などである。
 一方,現地に口座を持つメリットといえば,@口座に入金した時点で円ポンドレートが確定しているので,お金を使うときにレートを気にする必要がない,A引き出し手数料が無料,B小切手およびデビットカード(日本のデビットカードと違い,こちらのは短期決済のクレジットカード:いわば小切手をカード化したもの)が使える,C各種支払いにDirect DebitやStanding Order(日本でいう口座振替)が利用でき,しかもDirect Debitを利用すると割引になったりする,D日本と違いまともな利息がつく,などである。
 ということで,特殊事例を除き(例えば,学生は口座開設を拒否されたり,開設できてもデビットカードを発行してくれなかったりするらしい(「地球の暮らし方」情報)。その場合は日本の銀行のサービスを利用する他ないだろう)現地で口座を作るほうがよい。もっとも,日本の銀行の海外向けサービスを否定する気はさらさらない。最後の手段として日本から持参したカードで現金が引き出せるというのは心強い。事実,自分もシティバンクのカードはしっかり持参してきている。
(2)為替レートと送金手数料
 海外送金を行う場合,気になるのは為替レートと送金手数料の2つである。
 為替レートに関しては,送金の度にレートに一喜一憂したくないのが人情。実際,こちらに来てから最初の1ヶ月だけで円ポンド相場は10円動いた。1£が180円と190円ではエライ違いである。したがって,こまめに為替レートをチェック,レートがいいときにネットバンキングを利用してシティバンクの円口座からポンド口座に振り替え。これでレートを気にする必要はなくなる(とはいえ,為替相場の動向など読めないから,ポンドがどんどん高くなっているときに「もっと上がるから今のうちに買っておけ」と思うか「今は高いからやめておこう」と思うかはそのときの気分次第なのだが)。
 送金手数料については,まず送金回数を限定するのが一番。月1回とか。シティバンクのネットバンキングは1回2,000円で,ロイズ側の「受け取り手数料」はなし。かみさんにみずほ銀行から送金してもらったところ,手数料が5,500円かかった上にロイズ側の「受け取り手数料」が7£引かれたので,シティバンクの方がお得である。なお,なぜシティバンクからだと受け取り手数料がタダなのか理由は不明。自分の場合,円高ポンド安時にポンド預金を積み増しておき,月1回を目安にシティバンクからロイズ銀行に送金をしている。さらに裏技を言うと,シティバンクでは,ポンド預金から送金をするときは手数料2,000円もポンド建てで取られるので,円預金からポンド預金への移動は円高時がよいが,送金はポンド高時がお得である(笑)。
 海外送金では,ロイズ銀行東京支店がゴーロイズという送金サービスをやっている。これは,日本国内の銀行からロイズ東京支店の指定口座に振込みをすると,事前登録してある英国の銀行口座に自動的に転送してくれるというもの。国内銀行からロイズ東京支店への振込みは国内扱いになり,転送サービスは2,000円+7£(英国のロイズ以外の銀行口座へ振り込む場合はもうちょっとかかるらしい)。少なくともみずほ銀行から英国のロイズに直接送金するよりは断然お得である。シティバンクよりもペイオフを信用したい人はこちらもお勧め。
(3)余談
 これを書いている10月2日現在,円ポンド相場はポンド高で推移している。7月10日の渡英以来,ポンドの最安値は180円,最高値は192円。幸いなことに181円の時に一気にポンド預金に積み増ししておいたので,今のところ為替レート的にはお得な対応ができている。ただし,こちらのロイズの口座残高とシティバンクのポンド預金の合計額からして,あと2ヶ月は生きていけそうだが,その後は再び為替リスクにさらされる。ポンドは150円台だったのが2年間で190円まで値上がりした。この調子だと英国滞在中に200円突破なんてことも十分考えられる(考えたくないが)。なんにしても為替相場は頭の痛い話である。
 上に利息がお得という話を書いたが,これも為替相場如何で利息など吹っ飛んでしまうかもしれない(外貨預金に共通する話)。ただし,現地滞在中にこちらの口座に送金したお金は全て使い切るのであれば,為替相場は気にしなくてよい。要は「使う分だけこちらの口座に送金し,賢く運用する」のが一番。ただし,「どんどん送金しても大丈夫。現地で使っちゃえばいいんでしょ」となってしまうと本末転倒なので要注意(この一文を一番読んで欲しい人の本HPアクセス歴はわずか3回らしい(笑))。
19.入国審査
(1)イントロダクション
 このタイミングで入国審査というのも変なのだが,7月に渡英した際は滞在期間を3ヶ月と申告したため,何の問題もなくすんなり審査を通ったのに対し,今回は滞在期間1年ということで,多少面倒な点があった。まず大前提として,
A.6ヶ月までの滞在はノービザでOK
B.学術研究者は,一定の条件を満たせば労働許可証なしで12ヶ月まで滞在可能
C.学術研究者でも滞在が12ヶ月を超える場合は労働許可証が必要
 俺の滞在は2003年12月までを予定しており1年を超えるので労働許可証の申請をしたわけであるが,労働許可証の審査中に帰国してしまったので,こっちのボスにとりあえず1年滞在予定のインビテーションレターを書いてもらい(というか俺が文面を書きボスが修正してサインした(笑)),それを持って入国審査に臨んだ。どちらにしても来年の10月までにはもう1度帰国しないといけないので,決して嘘はついていない(笑)。
(2)審査の実際
 本来自分は上記Cのはずなのだが,とりあえずBとして入国審査へ。必要なのは,「自分が学術研究者として滞在し,その期間が12ヶ月を超えないことを証明する文書(ボスからのレター)」と「英国内で収入を得ないことを証明する文書(日本国内での所得証明書)」の2つであるとされる。逆にいえばこの2つの文書があれば大丈夫と思って審査に臨んだ。審査官はこの2つの文書をしっかり読んだのだが,これだけで即OKとはならなかった。
 審査官が一番気にしたのは,「英国内で収入を得ずに本当に生活できるのか」という点。具体的には所得証明書に日本円で示されている所得が£換算でいくらかという点。「この給与は何£なのか」「そもそも1£は何円か」という2つの質問に対する答えに矛盾がないかチェックしていた。次に「給料は日本と英国どちらの銀行に振り込まれるのか」>「日本の銀行」>「どのように英国に送金するのか」>「英国にすでに銀行口座を持っている」>「いつ作ったのか」>「7月から3ヶ月間英国にいた」>パスポートをチェック,前回の入国日を確認>「住居はどうするつもりか」>「すでにフラットを借りている」>「家賃はいくらか」>「約500£」>「英国の銀行口座にはいくら入っているのか」>「今は3,000£位入っている」>「クレジットカードは持っているか」>「持っている」>「利用限度額はいくらか」>「3,000£」>「それで家賃は払えるのか」>「既に6ヶ月分前払いしている」>「領収書を持っているか」>「領収書は持っていないが,『来年の3月以降は毎月この口座に家賃を振り込め』という文書を持っているから,6ヶ月分払ったことがわかるはず」>不動産屋からのレターをチェック,納得してくれたらしい>「いつ帰国予定か? 帰りの航空券を持っているか」>「(航空券を見せ)持っているがまだ帰国日は決めていない。来年の10月までには帰国する」>「(俺が英国大使館でもらった学術研究者用の案内(日本語)を持っていたらそれを指差し)あなたが持っているそのレターは何か」>「これは東京の英国大使館でもらった学術研究者用のガイドで,自分の滞在にビザはいらないことが書かれている」>(納得したらしく)「OK。ではあなたの滞在を来年10月末までにしようと思うがそれでよいか」>「OK」
 ということで一件落着。文章にすると5分くらいで終わったような感じだが,実際には10分以上かかった。アドバイスとして,自分のことを証明できるもの(とくにお金に関するもの)はできる限り持参したほうがよさそうです。また,審査官はそんなに嫌な感じではありませんでした。実際、正確には12ヶ月以上の滞在許可をくれたわけだし(2002年10月24日〜2003年10月31日まで)。
20.British Gas
(1)請求書が届くまで
 入居の際に,大家と不動産屋に水道光熱費の払い方を聞いたのだが(前にも書いたかもしれないが,プリペイド式キーを差し込んで電気・ガスを利用するというパターンも多い。この場合,郵便局でお金を払い,払った分だけ使えるようにキーを調整してもらう),そのときは「そのうち請求書が届くからそれにしたがってお金を払えばいい」と言われていた。入居した時からそのまま使用できたこともあり,特に何もしなかったわけである。
 さて,10月下旬に一時帰国から戻ると,郵便物がたまっていたわけであるが,その中にBritish Gasからのレターもあった。読むと,居住者(Occupier)あてに,請求書の発行に必要な個人情報をBritish Gasに連絡してくれと書いてある。ケーブルテレビの申し込みの際に,電話で名前を伝えたら「Ughiyami」にされた苦い経験から(笑),せっかくFaxもつけてるし,とFAXで連絡。
 これで一安心と思いきや,翌週にまた同じ内容の手紙が。前回と違うのは「先日レターを出したがまだ返答がない」とある点。おいおいと思いながら,この国ではこういうことを放っておくと痛い目にあうので,早速電話(この電話の話は雑記帳にも書きました)。すると「Faxは確認できていない」という。まあFaxの話をこれ以上言っても仕方ないので,その場で質問に答え登録完了。Direct Debitで支払いたいと言うと,「3営業日後に必要書類が届くのでそれに記入して返送してくれ」とのこと。
 これでようやく一安心かな,と思ったらそうもいかない。3営業日たっても何も届かず,5営業日後にようやくBritish Gasからのレターが。見ると宛名が「Occupier」になってる。嫌な予感がしつつ開けてみると,やはり前2回と同じ内容。違うのは「至急連絡してくれ」とある点。おいおい,と思いつつまた電話。「連絡したはずなのにまた手紙が来た」と文句を言うと,「こちらのミスです。謝ります」と素直な応対。まあ許してやる(笑)ということで電話を切った。
 ちなみになぜ入居から2ヶ月近くたってから連絡が来たのかと疑問に思われるかもしれないが,こちらでは四半期ごとの支払いというのが珍しくないので,その点はあまり問題ではないようだ。ただし,「使い逃げ」を防ぐ意味合いもあり,やたらと「居住履歴」を聞かれることになる(そして,居住履歴がない=信用がない=保証金請求というパターンにもなりうる)。
(ということでまだ請求書は届いていないが,つづく)
(2)支払方法の確定
 11月上旬に,British GasからようやくDirect Debitの申込書類が届いた。例の「3営業日後に届く」はずだったもの。実際は1週間後であった。米国調査の直前だったので,速攻で記入して投函。ちなみにDirect Debitとは,日本でいう銀行自動振替のこと。
 それから1ヶ月がたった12月9日にようやくBritish Gasからレターが。実は,Direct Debitでの支払いを申し出た際に,どういう風に払いたいか,と聞かれた。3ヶ月おきに使った分だけ支払うやり方もあるが,生活コストはなるべく見える形にしておきたいと思ったので,毎月支払いを希望。こう書くと一見日本と同じ方式のように見えるが,実はちょっと違う。俺が選択したのは,利用者の居住形態から予想される年間料金を見積もり,それを毎月均等に分割して支払うというもの。使った分だけ払うと夏季は安く冬季は高くなるわけであるが,「地球の暮らし方」などに,「冬のガス代は半端じゃない」と書いてあったので,年間を通じてスプレッドさせた方がよいと判断したため。具体的にはBritish Gasに,居住人数とラジエーターの数を申告した(British Gasは何らかの算定式にしたがって標準料金みたいなのを出したと思われる)。
 そして12月9日に届いた通知には,Direct Debitの手続きが無事完了し毎月22日に引き落とされ,毎月の固定支払い額は34.5£と書いてあった。34.5£×12=414£。つまり年間8万円ほど。ちなみにこの金額は,利用実績を見て半年ごとに改定されるらしい。少なくとも,英国南西部で,夫婦二人でラジエーターが5個ついている家に住んだ場合,ガス代金は年間約400£が相場であるということはわかった。日本(東京)より若干高めで収まっているので一安心。
 ちなみにこちらのスタッフにこの話をしたところ,「British Gasとは契約していないのにメーターを読みに来る」とか「一月の間に3回も違う金額の入った請求書が来た」とか,そんな話ばっかりだった。俺の「3回身分照会の手紙が来た」話も,やっぱりという感じで皆納得していた(笑)。
21.運転免許
(1)イントロダクション
 米国と違い,英国では日本の運転免許証から無試験で英国の免許証に書き換えできる。手順は以下の通り。
(1)ロンドンの日本総領事館で免許証の翻訳証明書を発行してもらう(手数料£25)。
(2)申請書類に必要事項を記入する(用紙は郵便局でもらえる)。
(3)身分証明書(外国人の場合パスポート),申請書類,日本の運転免許証および翻訳証明書をDVLA(Driver and Vehicle Licensing Agency)に送付する(手数料£29)。
(4)15営業日以内に免許証が郵送で届く。ただし,パスポートは返却されるが日本の免許証は没収される。
 ということで基本的には書類さえ整えば免許証がもらえる仕組みである。ただし,翻訳証明書と免許証発行の手数料で54£かかる。1£190円とすると,1万円を超える。高い。しかし,英国で一から免許をとろうとすると教習を受けたり試験を受けたりとでまた高い。
 また,日本の免許証は没収されてしまうが,帰国時に所定の手続きをとれば日本の免許証が再発行される。ゴールド免許もきちんと維持される(と大使館の資料にあった)。一時帰国時は英国で国際免許証を取得すれば日本で運転できる(笑えるが)。
 なぜこのタイミングで免許を取ろうとしているか。最初は手数料1万円強にびびり(さらにいえば帰国後も免許再発行でまた金がかかる),英国の免許を取っても特にメリットがない(英国免許を2年以上保持しないと保険のディスカウントもない)ので国際免許証でいいと思っていたのだが,IDとしての利便性と日本の国際免許証の有効期限が1年のため,国際免許証で通そうとすると再発行のために来年6月に一時帰国しなければならないことなどの諸事情を勘案して,やはりこちらの免許を取ることにした(ちなみに来年6月に一時帰国するつもりだったが,今回の免許申請で6月に一時帰国する必要性が大きく下がったので一時帰国は10月かも)。
(2)「保証人」
 日本の大学にいる人間としては書類書きは苦にならない(笑)のだが,外国人の免許取得の際にはさらに面倒なことがある。免許証に載る写真は日本のようにその場で撮るのではなく前もって撮ったものを書類に添付するのだが,写真が本人であることを証明する「保証人」の署名が必要なのである。しかもその保証人は「英国で公的な地位についている」人でなければならず,さらに「本人を2年以上知っている」ことが条件となる。大学教授も保証人になれるし,「2年」は嘘をついてもらえばいい(俺の場合,実際は知り合ってから1年8ヶ月)ので,ボスに頼むのも一考である。
 保証人が確保できない場合は,DVLAのローカルオフィスに出頭し,その場で本人確認をしてもらうことになる。この場合,手数料が余計に4£かかる。ただし,パスポートは提示するだけでよく,その場で返却してもらえるというメリットがある(通常の郵送申請の場合は,パスポートを書類と一緒に送るのでしばらくの間パスポートが手元にない)。
 自分の場合,再渡英直後に免許証の翻訳証明書の申請をし(10月28日),小切手の不備があったものの11月5日にゲット。もしパスポートがしばらく手元になくてよいならボスに保証人をお願いしたかもしれないが,米国に行く予定があったのと労働許可証の審査中(いつまで審査してんだろ?)ということもあり,ローカルオフィスに出頭することにした。ローカルオフィスに出頭するメリットとしては,このほかに@書類をチェックしてもらえるので,間違いがあった場合その場で修正できる,A(個人的な事情だが)免許証発行まで15営業日(約3週間)かかるので,米国に行く前に出せば時間の節約になる,ということが挙げられる。
 なお,余談だが,「パスポートは手元に置いておきたいが,ローカルオフィスに出頭するのも嫌だ」という人は,日本総領事館で「英文出生証明書」を発行してもらい,これをパスポートの代わりにすることができる。この場合,別途手数料がかかる(7£)のと,総領事館への申請時に6ヶ月以内発行の戸籍謄(抄)本が必要となるので要注意。渡英前の取得を忘れずに(自分も再渡英前に一応取ってきた)。
(3)ローカルオフィス出頭
 というわけで,翻訳証明書が届いた翌日(11月6日)にローカルオフィスへ。最寄のローカルオフィスはExeter(我が街から15マイルほど)にある。25分くらいか。ただし,途中で道を間違えたのと,着いてからオフィスを探し当てるのに多少時間がかかったのとで,40分くらいかかった。道に迷ったとき,ラウンダバウトは便利である。1周して元来た道に戻ることができるので(笑)。
 さて,ローカルオフィスは,ローカルというだけあってこじんまりとしていた。窓口が4つあるが開いてるのは1つだけ。3分ほど待った後,自分の順番に。「日本の免許証から英国のそれに交換したい」と言って必要書類を見せる。係りのおばさんは一通り目を通した後,「サインは英語でしなきゃだめ」。俺が「今まで英語でサインしたことないし,クレジットカードやらパスポートやらは全て日本語のサインなんだけど」というと,「本部に聞いてみる」ということで席をはずし,本部に電話。戻ってくると「英語でなくてもOK!」ということで事なきを得た(彼女も英語以外のサインなんて見たことなかったんだろう(笑))。後は窓口の向こうで書類チェックを続け,その間俺はボーっと待つのみ。しばらくしてOKになり、パスポートを返してもらい,33£(29£+4£)を支払い,領収証と15営業日以内に届かなかった場合の連絡先などが明記された紙をもらって終了。正味15分ほど。あとは免許証が届くのを待つだけ(のはず)。
(4)免許証到着!
 ローカルオフィスでの申請からすぐ渡米したのだが,申請から13日後の11月19日に帰宅すると免許証が届いていた。見ると11月13日発行になっている。申請から1週間後には発行された模様。英国免許は日本と同じくカード型,EU共通フォーマットだったはず。ちなみに10年間有効。これで完全に日本の免許証が失効となった。あっけない。
22.車検(MOT)
(1)イントロダクション
 英国で車を所有する場合,必携の書類が3つある。1つは車両登録証(Vehicle Registration Document:通常Logbook),2つは道路税納税証明書(通称TAX DISC),3つは車検証明証(MOT Test Certificate)である。車両登録証は購入時・売却時・そして登録事項変更時に手続きが必要となる(俺の場合,引越しの際に住所変更手続きをした)が,基本的には放っておいてよい。TAX DISCは半年または1年単位で郵便局でステッカーを「購入(実際は納税だが)」しフロントガラスに貼り付けておく(7月に車を買った際に半年分納税したので次は12月)。そしてMOTは製造から3年以上経過した車は毎年1回の検査が義務付けられている。我がDaewoo購入時についてきたMOTが11月に失効するため,この度車検を受けることになったわけである。
 ちなみに,米国は車検がない。一昔前の日米構造協議で日本の車検制度の規制緩和が取り上げられたのをご記憶の方も多いと思う。この流れからいくとサッチャー政権が長く続いた英国も当然車検制度などないと考えがちだが,ちゃんとあるのだから驚きである。なお,MOTとはMinistry of Transportの略であるが,省庁再編で今はMOTという名称はない。
(2)MOTの実際
 MOTはガソリンスタンド,ディーラー,ガレージなどで「MOT」のサインが出ているところならどこでもやってくれる。自分の場合,車を買うときに世話になったおじさんに依頼。11月初旬に電話し日時を指定,当日そのおじさんのいるガレージへ。ちなみに予約などいらないのかもしれないが,俺の場合11月21日が有効期限,米国から帰ってくるのが11月19日で,何らかのアクシデントで19〜21日に検査を受けられなかったらまずいと思って電話をして予定を聞いたら「ちゃんとノートに書いたから」と言われて,自動的に予約した状態になった。
 車を持っていくと,「1時間くらいで終わるけど,取りに来る? それともどこかに持って来て欲しい?」。このガレージは商店街から徒歩5分ほどのところにあり,銀行などに行く用事もあったので,「1時間くらいしたら戻ってくる」と伝えて商店街へ。
 1時間後に戻ると,ちょうどガレージから車が出てきたところ。検査結果一覧を見せてもらうと全てPass。「ナンバーが汚かったから直しておいた」と言われてみると,前部のナンバーがピカピカに(笑)。そして新しいMOT証明書をもらい,検査完了。
 本来なら検査料として34£ほど取られるはずなのだが,このおじさん「特に問題なかったからいいよいいよ」と言ってお金を請求しなかった。カーオーディオのセキュリティコードの件でこちらに手間かけたからということらしいのだが,まあありがたいお話なのでお礼を言い,来夏にはスコットランドやヨーロッパにドライブに行くつもりなので,その時にはいろいろとチェックをしてね,その時はお金を払うから,と伝えて帰ってきました。
 ということで,MOTと言っても,ガレージまで車を持って行き,1時間後に運転して帰ってきただけでした(笑)。
23.歯医者
(1)イントロダクション
 イギリス生活の本には,必ずといっていいほど,「歯だけは必ず渡英前に治しておけ」と書いてある。@最大の理由は保険が効かないことである。日本で歯医者に行けば保険が適用されるが,英国では国民健康サービス(NHS)に含まれているものの有料だし,海外旅行や駐在用の保険も,歯科は対象外である。また,A英国の歯科は日本と「違う」から不安がある(それ以上は言うまい(笑)),B予約がなかなか入らない,という状況もある。
 俺としても,まあ英国で歯科にかからないに越したことはないので,渡英前に歯科に通い,治せるところは治し,要注意箇所も「きちんと歯磨きしていれば,2年くらいは痛くなったりしないでしょう」と歯医者に太鼓判を押され(6月),さらに10月の一時帰国時も歯科に行ってチェックしてもらったので,対策は万全,のはずであった。
 ところが,である。「しっかり歯磨き」を忠実に守るために,電動歯ブラシ(しかもソニケア)→デンタルフロス(歯間の汚れをとるもの)→リステリンと完璧(と自分では思っている)な布陣で臨んでいたのだが,事件はデンタルフロスを使用している時に起きた。いつものようにデンタルフロスでゴシゴシ歯間を磨いていたら,ポロっと床に何かが落ちた。最初はシャツのボタンかと思ったのだが,拾ってみるとなんと銀歯ではないか! デンタルフロスで歯垢ではなく銀歯を除去してしまったわけだ(笑)。
 若干の動揺があったが,幸い痛みはない。大学に行く直前だったので,とりあえず銀歯を持って大学へ向かった。
(2)歯医者探し
 まずNHSのホームページでNewton Abbot周辺の歯医者を検索。すると,15件ヒットしたのだが,全ての歯医者が「現在新規患者の受付中止」となっている。おいおい,なんだこれは。
 英国の医療は,公的サービス・原則無料である「NHS」と私的サービスでお金がきちんとかかる「Private」の2種類がある。自分の場合,NHSの道が閉ざされた(というか最初から開いてない!)ので,残る道はPrivateの歯医者である。とりあえず電話帳を開くが,どの歯医者がよいのかわからない。日本の経験では,歯医者ほど「当たり外れ」が大きいものはない。こういうときは,人づての情報が一番ということで,何人かの同僚に聞いてみた。
 中には「歯医者には行った事がない(から知らない)」人もいたし「NHSに行ってる」人もいた。で,お勧め歯医者として残ったのが,Torquayにある歯医者とExeterにある歯医者の2つ。地理的にTorquayの方が近い(5マイル)ので,まずはこちらに電話。すると「一番早い予約で1月9日」と言われる。おいおい,それ遅すぎだろうと思いつつ,とりあえず予約。
 次に,Exeterの歯医者に電話。するとこちらは1週間後には予約が入ると言う。ということで,こちらに予約を入れ,Torquayの方はキャンセル。1ヶ月以上患者を待たせる歯医者とは一体? それにしても,痛くないのが幸いである。
(3)いざ歯医者へ
 歯医者までの1週間は,銀歯の抜けた箇所に食べ物がつまりやすく,歯磨きやマウスウォッシュをこまめにすることで対処。そして当日,歯医者へと向かう。Exeterの中心街に行くのは初めてで若干道に迷ったものの,予約の10分ほど前に到着。なにやら書類に記入しろと言われ従う。なんだか難しい単語が並んでいて英和辞書を駆使。要は既往症を問うものであった(病気の名前がずらずら並んでいたので,そりゃわからんわと納得)。書き終わると助手のねえちゃんに呼ばれて診察室へ。
 担当医は,感じのいいおじちゃん。「どうした?」と言われ,「銀歯が取れた(A filling was dropped out)」と説明し,銀歯を見せる。すると,「What is this?」。この問いに思わずとまどい「This is .....a filling」(笑)。「I have never seen this」とか言われドギマギしたが,説明によると,「これは鉄でできているのか。欧州ではゴールドしかない」とのこと。銀歯が本当に鉄でできているのかよく知らないが,「東欧やロシアでは鉄を使うと聞いたことがある」とか言っていたので,まあそんなものなのだろう,日本はロシアの向こう側だし(笑)。
 で「戻してあげよう」とのことで,銀歯を洗浄,銀歯が入る歯も洗浄,で5分ほどなんだかんだやって終了。日本の歯医者と装置等もほぼ同じ感じだった。違いといえば,治療時にゴーグルをかけさせられる(医者がかけているのと同じやつ)くらいか。あと,うがい用の水がピンクだったのも大きな違い(笑)。
 治療後も,歯医者は「ゴールドじゃないFilling」のことを盛んに言っていた。「Different」とかなんとか。まあ,最後は「別に鉄でも問題はないけどね」と言われたのでとりあえず安心。お礼を言い「できればもう来たくない」と冗談も添えてさようなら(笑)。
 御代は44£。高い! が,日本の保険の3割負担で3,000円取られたとき,元は1万円かかっているわけで,44£(約8,500円)もそんなものかと思い直す。
 なお,同僚から聞いたのだが,「予約→診療」とスマートに事を運ぼうとするよりも,銀歯を持ってアポなしで歯医者に乗り込めば,その場ですぐにはできないにしても,その日の中で時間を作ってくれ対応してくれるらしい。
24.理髪店
(1)イントロダクション@
 渡英から5ヶ月,今さらどうして床屋なんだという話だが,今まで床屋にいかなかった理由はこういうわけである。
 日本にいた当時,床屋には2〜3ヶ月に一度のペースで通っていた。一時は3週間に一度くらいのペースだったが,結婚後はペースが極端に落ちた。別におしゃれでなくなったとかではなく,結婚前はダンスの競技会によく出ていたため,それに合わせてこまめに切っていたのであるが,結婚後は競技会に出なくなったので自然と床屋から足が遠のいたのである。
 というわけで,渡英直前に髪を切ったこともあり,渡英後も2ヶ月ほどはあまり髪のことは気にせずに過ごしていた。渡英から2ヵ月半ほど経った9月下旬からうっとうしくなり始めたが、10月上旬に一時帰国する予定だったのでそれまで我慢し,一時帰国中に髪を切ったわけである。ちなみに最後は相当うっとうしくなっていたので,一時帰国するなり成田空港の床屋に行った(笑)。
 そして,再渡英後,しばらくは気にならなかったのだが,2ヶ月が過ぎた12月中旬くらいからまた気になり始めた。クリスマスに突入したらお店が閉まってしばらく髪が切れないかもしれない。というわけで,意を決して床屋へと向かった。
(2)イントロダクションA
 なぜここまで床屋にびびっていたかというと,現在オーストラリアに滞在中の先輩の体験談を聞かされていたからである。
 それは「2センチだけ切ってくれ」と頼んだつもりが,「2センチ」にされてしまった,というもの(笑)。ネタとしては面白いが,当事者としてはたまったものではない。また,別の友人からは「英国だとよほど注意しないとばっさりやられる」とも脅されていた(笑)。というわけで,海外での床屋にすっかりびびっていたわけである。
 しかも,周りを見る限り,床屋に行きたての人の髪型はちょっと,,,,という代物。なんというか「下手くそな床屋だなあ」というか(笑)。もっとも,本人たちはあまり気にしていないのだが。
(3)安い,が...
 とにもかくにも,帰国まで切らないで過ごすわけにはいかない。まずは周りから情報収集。それによると,相場は5〜6ポンド,顔そりやシャンプーなどのサービスは一切なく,5分〜10分で終わる,というものらしい。お勧めの床屋を聞いたりもしたが,しょせん床屋,髪が短くなればいいのでどこでも同じとのこと。髪型にこだわる人はヘアサロンに行くらしい。俺は当然こだわる人ではないので,床屋でよし。本音ではちょっと迷ったが(笑),とりあえず1回行ってみることにした。
 ということで,余裕があった木曜日の昼前に街へ。商店街には何軒かの床屋があるが,一番わかり易いところにある床屋を選択。入ってみると,お店の構造は基本的に日本と同じ。理髪チェアーが3台並んでいて,その後ろに待合椅子がある。日本だったらスポーツ新聞があるところだが,こちらは夕刊紙(Sunとか(笑))。多少待つかと思ってNikkei Weeklyを持っていったのだが,前にやっていた人がすぐに終わったので,数分で自分の順番に。
 ごっついおばちゃんもしくはおじちゃんに切ってもらう絵を想像していたのだが,実際には若いねえちゃんだった。「どういう風にしたいか」と言われ,ふと困った。日本語でも返答に困るのだから,英語ではなおさら(笑)。「普通」といっても通じないだろうなあと思い,「1インチ(2〜3センチ)切って欲しい」とお願い。誤解を防ぐため,「切りすぎないでね」とも付け加えておいた(笑)。
 お姉さんは,わかったということで,さっそく切り始める。英国で髪を切るのは初めてなんだ,とか話してみたが乗ってこないのでおとなしく切ってもらうことに(苦笑)。しゃんしゃんと切り,襟元をバリカンで整え,鏡でチェックしてできあがり。確かに5分。
 お代は5.60£。日本で言う980円といったところか。確かに安いけどお得感はない。日本にある1,000円散髪の方がもう少しマシか。まあ,そんなものだと思えばこれでよい。用心しただけあり,ばっさりいかれることもなく一安心。
 帰りがけ,待っていた別のお客に,「これお前のか」と言われて渡されたのがNikkei Weekly(笑)。「Financial Timesかと思ったら,何か違った」らしい(笑)。こちらでも,NIKKEIという言葉はそれなりに通じます。
25.道路使用税(Road Tax)
(1)イントロダクション
 英国ではいろいろなものに税金がかかるわけだが,自動車保有に伴う税金が道路使用税である。税額は排気量により異なり,1200cc未満では年間105£(半年57.75£),1200cc以上は年間160£(半年88£)である。日本でマイカーを持ったことがないので日本との比較ができないのだが,日本は自動車税やら自動車取得税やら自動車重量税やらなにやら色々とかかるイメージがあるので,日本よりも安いのではないか。もっとも,こちらはガソリン価格が高く(リッター130〜140円),それはガソリン税のせいらしいので,年間支払う税額は英国の方が高いかもしれない。
 話を戻して,道路使用税を納入すると有効期限が明記されたステッカーがもらえる。ドライバーはそれをフロントガラスの左端に掲示しなければならない。まあ感覚としては税金を納めるというよりステッカーを買うという感じである。
 自分の場合,7月に自動車を購入したとき,@車両登録証(車に付随してくるので所有者欄を訂正),A保険証書,B車検証の3つを郵便局で提示し,半年分の道路使用税を支払ったので,その期限は12月末までであった。
(2)そろそろかなと思っていたら
 そろそろ道路使用税払わないとなあと思っていたところ,DVLAから納入案内のレターが届いた。そのレターと保険証書,車検証を持参の上郵便局で支払いをしろとのこと。ならば話は早い。早速郵便局に書類を持っていき手続き。半年にしようか1年にしようか迷ったのだが,1年を選択。窓口で160£を持っていないことに気づいたものの(笑),小切手でOKだったのでセーフ。
 なお,その案内レターを読んで知ったのだが,この税金はその名の通り,道路を使用するための税金なので,公道を走らない車は納税しなくてよいらしい(もっとも,そういう車は指定の書類をDVLAに送れと書いてあっただけなので,割引を受けるとかだけかもしれない)。これで来年末の帰国までの道路使用税は納入完了したことになる。
 また,道路使用税については来年2月からシステムが変わるらしく,車両登録がきちんとされていない場合は道路使用税を支払うことができず,したがって公道を走ることができなくなるらしい。案内によると,英国の中古車の20%はきちんとした車両登録がされていない。つまり,その車の所有者は自分の車の履歴がわからない(盗難車かもしれないし,メーターが改ざんされているかもしれない)。これは犯罪の温床となるので,防犯の観点から道路使用税の納入ルールを厳格化するということらしい。そして,車両登録がきちんとされている人には納入案内のレターが届く→税金が払える→車を引き続き公道で運転できる。車両登録がきちんとされていないと,納入案内のレターが届かない→道路使用税が納入できない,となり,納入したい人は車両登録手続きをきちんとしろという流れ。
26.日本食通販
(1)イントロダクション
 英国でもロンドンをはじめとした大きな都市では日本の食材を手に入れるのはさほど難しくないし,Sainsbury'sなどの大手スーパーでも,しょうゆ・うどん・ひじき・昆布・ガリ(笑)などの主要な食材は手に入る。したがって,通販を使わなくてもある程度の日本の食材は入手可能である。
 このような前提の下で日本食通販を使う理由は2つある。1つは,自分のような田舎暮らしの日本人には通販以外には手に入らない食材があること,もう1つは近所のスーパーよりも通販の方が安い食材があることである。
(2)ネットで検索・注文
 通販を探す直接のきっかけは,最寄のSainsbury'sからお米が消えたことであった。ちなみにここでいうお米とは日本のお米,Japanese Rice(Sushi Rice)のことである。実は,以前から気になっていたのである。夏にお米を買い始めてからというもの,自分が買う度に店頭から米が1つずつ減っていたので。つまり,どうやらこの店でお米を買っているのは自分だけで,しかも在庫が追加される気配がなかったのである。その不安は,最後の1つを買った後商品の補充がされず,それまでお米が置いてあった場所が他の商品に占拠され,店員に聞いたところ「(隣町の)TorquayのSainsbury'sにはあるかもしれない」というつれない回答を聞いたときに現実のものとなった。
 ここで素直に,米を買うときは隣町まで遠征するという手もあったのだが,なんとなく気が向いてネットで検索してみたところ,ロンドン近郊に何軒かの日本食通販店があり,お米もよりどりみどりで売られていることが判明。例えば,カリフォルニア産あきたこまちが19£で売られている。送料などを入れてもSainsbury'sで買うより安いのである。
 ということで,日本食通販はネットで注文,いくら遠くてもグレートブリテン島内ならば(笑)2日後には届く仕組みになっている。主に日本人相手の商売ということもあり,配達日や配送内容も完璧である(日本では当たり前でも,この国では通用しないので(笑))。よく考えてみれば,ロンドンには4万人の日本人が住んでいるそうだから,日本人相手の商売をしても十分成り立つわけである。
 なお,特定の業者の宣伝をここでしても意味がないので業者名は出さないが,検索エンジンで「英国内」で「日本語」で「日本食材」を扱っているサイトを探せば簡単に見つかるはずである。
27.賃貸契約更新
(1)イントロダクション
 現在住んでいるフラットには2002年9月に住み始めた。契約期間は6ヶ月。もちろん,2003年12月まで住みたいという希望を出していたのだが,間に入った不動産屋曰く「大家は2003年12月までOKだと言っている」とのことであった。提示された契約期間が6ヶ月間なのは,不動産屋曰く「融通が利くから」ということであった。我々としては,半年後に「契約が切れた」から追い出される,という可能性が気になったのであるが,不動産屋は「大家がOKと言っているから問題ない」とのこと。まあ,英国では契約更新の際に家賃が値上げされる,という話を聞いていたし,この地域は不動産価格が高騰している地域だから,家賃値上げを見越した「6ヶ月間」なのだろうと考えていた。
 なお,日本では「借地借家法」などで賃借人の権利が強く保護されているが,英国での事情は不勉強でよく分かっていない。農地の賃貸借なら分かるのだが(笑)。
(2)話が違う
 かみさんが2003年1月に合流。契約更新まで2ヶ月を切ったこともあり,大家さんに電話を入れたのが事の始まり。大家さんに我々が年末まで借りるつもりだと告げると,「不動産屋からそんな話は聞いていない」し,「買いたいという人がいるので売却の話を進めている」という。おいおい,これぞまさに我々が危惧していた事態ではないか!
 ラッキーだったのは,大家さんがあっさりした人で,「年末まで住みたいの? じゃあ買いたいという人にはそれまで待ってもらおう」と言ってくれたこと。ただし「家をきちんと扱っているか一度チェックしたい」とのことで,1月下旬に一度やってきた(あっさり見ただけだったが)。まあ,かみさんがきれいにしてくれていたし,家の中では靴を脱ぐ日本人がそうそう家を汚すわけもなく,あっさりOKをもらった。家賃は25£(約5,000円)値上げになったが。契約は「2月になったら連絡する」とのこと。また,今後不動産屋は通さないとのこと。
(3)案外あっさり
 2月になっても大家さんから連絡は来ない。さすがにかみさんが心配になって電話をすると,「心配するな。年末まではそこに住んでていいから」との回答。このやりとりが何回か続き,結局契約更新をしたのは3月8日。実は賃貸契約は3月6日に切れていたのだが,書面上は3月6日に契約したことになっている。新契約では2004年1月6日まで住めることになった。
 ちなみに,最初に契約した時は10数ページにも及ぶ契約書類だったのだが,契約更新は「契約期間を2004年1月6日まで延長する」「新家賃は550£」などの項目が書いてある1枚だけ。あっさりである。なお,今回も家賃は半年分前払いであった。つまり3月からの半年間を更新時に支払い,9月以降の分は9月までに払う,という内容。
 それから,これはたまたまかもしれないが,不動産屋(特に賃貸)のクオリティは相当に低いと言わざるを得ない。賃借人のメッセージを大家にきちんと伝えないのは最悪。不動産屋はきちんと伝えたのに大家が忘れた(もしくはとぼけてる)という可能性もあるのだが,これとは別件で洗濯機が壊れたという話を不動産屋に伝えたにも関わらず,大家には伝わってなかった(大家に直接伝えてようやく話が動いた)。大家も契約更新の際にはあっさり不動産屋を切ってしまったし。
 思うに,英国では大家と不動産屋が長期的関係を築くことは少なく,賃借人を探す際に大家が不動産屋を使うことはあっても,いちど賃借人を見つけてしまえばあっさり切ってしまうのが通常なのではないか。そういう使われ方をするから不動産屋の方もクオリティが低くなる。「売買」だと話は違うのだろうが,「賃貸」では「英国らしさ」を思い知らされた次第。
28.ナショナルトラスト・イングリッシュヘリテイジ
(1)イントロダクション
 日本人がイギリスに来た時,まず感動するのはなんといっても農村風景の美しさ,そして当時の雰囲気を味わうに十分な形で保存された史跡群である。まあロンドンも街としては面白いのかもしれないが,少なくとも日本で言うディズニーランド,USJなどのテーマパークのようなものは英国ではまず期待できない。ああいうものは日本が素晴らしいのであって,投資と費用の区別がつかない英国経営者に日本人が満足できるテーマーパークなど作れるはずがないのである(笑)。
 ということで,英国らしさを味わいたい日本人は,農村風景や庭園,史跡などを管理・保全するナショナルトラスト,イングリッシュヘリテイジなどに加入すべきということになる。
(2)ナショナルトラスト
 ナショナルトラストは日本でも有名な団体であろう。多くの庭園や邸宅などを管理しており,それを見たい観光客は入場料を支払う。ただし,入場料は高く馬鹿にならない。そこで入会ということになる。1年会費(終身会員もある)を支払って会員になると,ほとんどの施設は無料で入場できる(無料ではなく割引のところもある)し,湖水地方のように駐車場代がタダになる場合もある。会費は一人34£(約6,500円)であるが,夫婦や家族単位で加入すれば割引になる(夫婦の場合二人で57.5£(約11,200円))。本当に元が取れるのかと心配になる向きもあろうが,加入して半年の我々でもほぼ回収できている状況であるので,よほどの出不精でない限り大丈夫である。ちなみに,入会はWEBでも可能だし,どこかの施設に行ったときにその場で加入できる。
 アドバイスが2点ほど。その1.ナショナルトラストの多くの施設は11月から3月まで閉鎖されている。この時期にはメンバーになっても行けるところはほとんどなく,実際には1年会費とはいえ,7ヶ月ほどしか実働期間がないことに注意が必要。もっとも,ナショナルトラスト運動の理念に賛同するならば,実際に元がとれなくても意味のある出費だと思うが。その2.上記のように,ナショナルトラストは冬期はお休みだが,早いところだと2月くらいからオープンする。その際に,新規メンバー募集のキャンペーンをやっていることがある。たとえば,自分がみた事例だと,夫婦2人のメンバーシップが44£というのがあった(自分は事前にWEBを通じて加入していたのできちんと通常会費を支払ってしまった)。したがって,ナショナルトラストにはあせって加入せず,渡英後最初に訪れたサイトで加入手続きをするのが一番ではなかろうか。
(3)イングリッシュヘリテイジ
 意外にマイナーな存在なのがイングリッシュヘリテイジである(俺が知らなかっただけか)。厳密に見ればナショナルトラストとの違いもいろいろある(たとえばナショナルトラストは多くの土地を保有する大地主であるが,イングリッシュヘリテイジは城跡などのこじんまりとしたサイトを管理していることが多い)が,一般人からみればあまり大きな違いはない。要は,自分が行きたい場所がナショナルトラストに管理されているかイングリッシュヘリティジに管理されているかの違いである。
 このイングリッシュヘリテイジ,有名どころを結構押さえている。ドーバー城,ストーンヘンジ,ティンタジェル城など。特にお城系に強い。我が夫婦の場合,入会から4ヶ月で元は完全に取っている。会費は一人34£,夫婦で58£と,ナショナルトラストとほぼ同額。入会はおなじくWEBで可能だし,どこかの施設に行った時,その場で加入することもできる(実際,我々はティンタジェル城に行ったときに加入した)。
 イングリッシュヘリティジに関する注意事項は,ナショナルトラストと同じである。ちょっと違うのは,例えば我々が加入した時,「支払いをDirect Debit(銀行自動振替)にすると3ヶ月分無料」というサービスをやっていた。つまり,1年分の料金で1年3ヶ月分のメンバーシップがもらえるというわけである(我々は加入から1年以内に帰国するのでこのサービスはあまり意味がないが)。
 イングリッシュヘリテイジの特殊な点は2つ。その1.その名の通りイングランドがフィールドであるので,ウェールズやスコットランドはサービス外になる。その代わり,提携団体がそれぞれあって,例えばウェールズでは提携団体の施設への入場はすべて半額となる(さらにいうと,半額になるのはイングリッシュヘリティジ加入後1年以内の会員であって,1年を超えるとタダになるらしい)。その2.イングリッシュヘリテイジには「海外ビジターズパス」というのがあり,短期滞在の旅行者用のパスを販売している。お値段は1週間用が一人15£(カップルだと28£),2週間用が19£(35£)である。日本から友人などが訪ねて来た時は,このパスを勧めるとよいであろう。
29.旅のヒント
(1)イントロダクション
 日本人は旅上手である。なんと言ってもガイドブックがすごい(笑)。「地球の歩き方」ほど詳しい海外旅行ガイドは他の国には恐らく存在しない。だから,「地球の歩き方」に書いてありそうなことはここで語る必要がないのだが,日本人として英国内を旅行していくうちに気づいた「より賢い」旅行の仕方を,思いついたペースで書いていきます。
(2)朝一の訪問地がポイント
 旅行中の英国人は恐ろしく行動が遅い。例えば,宿で朝食を取っているときに宿の主人から「今日の予定は?」と聞かれたら,日本人ならすぐに答えるだろうが,英国人は8割方「まだ決めてない」と答える。仮に決めているとしても「せっかくの休日なんだからゆっくりしよう」と考えるので,出発は遅い。
 そこでポイントになるのは朝一の訪問場所。英国人はまだ動き出していないので大抵の場所は空いている。したがって,朝一の訪問地は人が少ない方がよい場所を選ぶとよい。さらに,例えばウェールズのSnowdon登山列車は朝一の列車は運賃が半額だったりする(朝一は乗客が少ないためだろう)ように,お値段もお得ということもある。
 ただし,問題がひとつ。ホリデーを楽しむ英国人の朝が遅いことに対応して,宿の朝ごはんも遅いことが多い。朝早くから動き出すプランを立てても,朝食の時間と合わなくて予定を変更せざるをえなかったり,泣く泣く朝ごはんをスキップしたり,ということもありえるのでその点は注意が必要。
(3)夕食は予約を
 定説のように語られるのは,「英国の食事はまずい」である。これを特に否定はしないが(笑),だからと言って油断していると,まずい食事どころか,そもそも食事にありつけないことがある。
 英国には,レストランチェーンがあまり発達していない。日本と比べると街にあるレストラン数が少なく,ほとんどが小規模である。つまり,外食の供給は底が浅い。
 ということもあり,こちらの人は夕食に行く時は必ずといっていいほど予約をする。「予約は高級レストランだけ」と思う人もいるかもしれないが,カジュアルなレストランでも同様。パブに予約を入れることもある。こういう状況なので「街を歩いてよさそうなレストランに入ろう」と思っても,飛込みでは入れないことしばしばである。したがって,旅行中の夕食は予約をお勧めする。
 「旅行先のレストランの状況すらよくわからないのに予約なんて」と思われるかもしれない。そこで利用すべきは宿の主人である。B&B(ベッド&ブレックファスト)の主人は大抵親切で,ジモティ歴が長い。したがって,宿の予約の際もしくは到着日の昼間あたりにお勧めレストランを聞くとよい。また,街によってはレストランが多く予約があまり必要ないこともあるが,そういう点も含め宿の主人は教えてくれる。なお,予約は大抵の場合当日でOKである(「当日の予約は受け付けない」所もあるがごくまれ)。
 留意点が2点。その1:ロンドンは事情が違うかもしれない(人気レストランは同じく要予約だと思うが)。その2:宿によっては非常に不親切な場合もある。特にフロントを雇われ人がやっているような宿はその可能性が高い。その点,B&Bはほとんどの場合オーナーが直接応対をしてくれるし,B&Bの名のごとく,(自らは夕食を出さないため)宿泊客から夕食について聞かれることも多いのでお勧めレストランについてのノウハウも蓄積されている。
(4)クレジットカードの落とし穴
 英国もカード社会であるが,注意が必要なのは,クレジット・カードとバンク・カード(デビットカード)の違いである。英国ではこの2つは厳密に区別され,バンク・カードはOKだがクレジット・カードは不可,というお店もある。しかも,こちらのバンク・カードは,小切手を電子化したもの(小切手を書くのが面倒なので,カードとサインで決済するようにしたもの)なのでサイン必須であり,クレジット・カードと同じように見えるために,事情を知らないと「他の人はクレジット・カードでOKなのに自分だけダメと言われた」ように見えてしまうのだから,余計に始末が悪い。実際,とあるレストランで,我々を日本人だと認識した従業員に,会計の際にバンク・カードを出したら,一瞬「クレジット・カードはダメ・・・」と言いかけて,それがバンク・カードであることに気づき「ああ,これならOK」と言われたこともある。また,宿泊の際も,いい値段をとるホテルならまずクレジット・カードでOKだが,B&Bなどはそもそもカード不可というケースが多い。
 また,クレジット・カードで支払う場合,2%ほどの手数料を上乗せされることもある。もっとも,悪いレートで現金を両替するよりは,2%の手数料を払ったほうがマシかもしれない...これも,バンク・カードなら手数料なし,クレジット・カードは手数料あり,と厳密に分けられているためである。
 したがって,日本から来た場合は残念ながらトラベラーズチェックを多用するくらいしか対策がないのだが,英国内に居住する人は,ぜひとも現地で銀行口座を持ち,バンク・カードと小切手を有効活用すべきといえる。
30.TVライセンス
 英国でテレビを視聴するためにはTVライセンスが必要。まあNHKの視聴料みたいなものである(形としては,ライセンスを購入する感じ)。年間料金は,「地球の暮らし方」には104£と書いてあったが,昨年は112£,今年は116£(約23,000円)であった。いずれもカラーテレビの場合の値段で,学生とか高齢者には割引がある。支払わなくても当然テレビを見ることはできるが,払っていないのがバレると1,000£(約20万円)の罰金が科せられる。自分の場合,学生寮にいた頃は同居人に「誰もこんなところにチェックになど来ない」と言われたので払わなかったが,今のフラットに転居した時にはきちんと払っておいた。支払い方法には色々あるが,うちはWEBを通じて銀行カード一括支払い。
 ということで,この話は一年前に書いてもよかったのだが,今回は,ライセンス更新の話。2002年9月にTVライセンスを購入したので,2003年8月頭に更新のお知らせが届いた。うちの場合,12月末に帰国するので9月から12月までの4ヶ月間が対象になるのだが,1年分払ってしまうのはもったいない。4分割払いもできるのだが,これだと一月足りないので端数が出るし,利息がつくらしいので却下。ということで,かみさんが電話して聞いたところ,払い戻しがあるとのこと。ということで,1年分を支払い,帰国時に払い戻しをしてもらうことに。14日前までに申し出ないといけないらしい。詳しくはまた後日書きます。
31.在外選挙
(1)イントロダクション
 これを書いているのは2003年11月4日だが,日本では衆議院選挙が目前に迫っている。海外に在住する日本人も国政選挙へ投票することができる。俗に言う「在外選挙」である。ただし,この制度あまり利用されていないらしい(asahi.comの記事)。制度が煩雑であることなどが原因として挙げられている。実は自分も登録できていないため,今回は投票できないのだが,制度については触れておいたほうがよさそうだ。
(2)在外選挙とは
 在外選挙とは,海外に在住する日本人が国政選挙に投票するための制度で,2000年5月以降の選挙に導入されている。3ヶ月以上海外に居住している人間(当然日本国籍を持つ20歳以上)には登録資格がある。ちなみに登録される選挙区は原則として最後に日本国内で住民登録していた場所。朝日新聞が指摘するように,手続きが面倒なのだが簡単に書くと次のようになる。
@在外選挙人登録をする:必要書類をそろえ,大使館で登録手続きをする。
A選挙が行われる時は,登録された日本国内の選挙管理委員会に投票用紙を請求する。
B届いた投票用紙に記入し,日本国内の選挙管理委員会に郵送する(投票日の午後8時までに届かないと無効)。在外公館(例えばロンドンの日本大使館)に出向いて投票する「在外公館投票」という制度もあるが,イギリスの日本大使館では取り扱っていないので現時点では,イギリスでは「郵便投票」しかできない。
という手順である。
(3)自分の場合...
 国政選挙は一度もさぼったことがなかったので,渡英後も当然選挙人登録をするつもりだったのだが,これが難しいことがわかった。というのも,@の「選挙人登録」は,ロンドンの日本大使館に直接出頭しないとできないのだ。自分の住んでいる地域からロンドンまで電車で片道3時間半。しかも,窓口は平日昼間しか空いていない。当初は在英中に国政選挙がある保証もなく,丸一日をつぶしてまでする価値があるか疑問に思ったこと,「そのうち平日にロンドンに行く機会があれば,そのときついでに手続きをすればよい」と思ったことなどもあり,そこでやめてしまったわけだ。
 この登録の煩雑さの問題は大使館も認識しているようで,6月に「週末にExeter(Devonの「県庁所在地」)で臨時出張窓口を開くので,選挙人登録をして欲しい」と案内が来たことがあった。ところが運悪く,その週末はロンドンにおり(笑),結局選挙人登録ができないまま今日を迎えてしまった,というわけである。
 制度に文句をつけるとするならば,海外に3ヶ月以上居住する場合,現地の大使館に「在留届」を提出することが義務付けられているにもかかわらず,その「在留届」と「在外選挙人登録」がまったくリンクしていない,という点が挙げられる。もっとも,6月に大使館から案内が来たのは,きちんと在留届を出していたためなので,その点からいえばリンクがあるといえばある。
 いずれにしても,ツキにも見放され自分には縁のない制度になってしまったが,海外に長期滞在する人はきちんと手続きをすべきだと思います。


Back to the Top
Back to the Home