「早春吹雪」
時は春先
告げる鳥あり
穏やかな風にそよめく花
時は春先
過ぎる日早く
柔らかな日差し受けていた
雪が溶けたなら
春になったなら
描く情景は無限の螺旋
だけど
その螺旋が逆周りに進んでゆく
春を待っていたのに
吹き荒れてゆくこの吹雪
青く優しいはずの空は割れ
一瞬に冬へと逆戻り
春になったはずなのに
突き刺さってゆくこの吹雪
叩き落された梅の花が
無残に地面に積もってゆく
二度と
その螺旋の向きは戻らないのか
春を待っていたのに
止まりそうも無いこの吹雪
二人の間を吹きぬけた風が
わずかな微熱さえ奪っていった
春になったはずなのに
激しさを増すこの吹雪
叩き落された花びらは
もう積もった雪の中に消えてる
早春の吹雪が
真っ白に染めゆく
早春の吹雪が
春を遮り続ける
春はいつ来るのかな