「痩せた人」


ある日偶然、
とても痩せた人に出会った。
それも程度が半端ではないのである。
声をかけて、
話を聞いてみることにした。

「あなたはとても痩せてますよねえ。」

すると彼は答えた。
「そうですね、私は身長129センチですが、
 体重は10キロもないですからねえ」

明らかに痩せすぎだ。
普通の人なら、体重が30キロを切れば
病院送りだろう。

それと同時に気になるのが、
身長の低さだ。
再び尋ねてみた。

「こんなことを言って怒らないでくださいね。
 あなたは身長も低いですよねえ。
 どうかなさったんですか?」

すると彼は答えた。
「いいえ、私はかなり大きいほうですよ。
 私だけ特別に扱いがいいみたいです。」

ますます混乱するようなことを言う。

しばらく考えた。

もっと考えた。

彼は何者?

答えは出ない。

何者?

何者??

・・・

・・・

・・



すると
彼は疑問に答えるように
こう言った。

「私は、
 鉛筆で紙に書かれた
 丸棒人間でございます」