「ペット」
自分はペットを飼っている。
結構なついてて、いいやつだ。
騒いで迷惑をかけることも無く、
一人暮らしで友達も少ない自分にはぴったりだ。
羽根があるから一応鳥かごに入れてるが、
出しても逃げる気は無さそうだ。
えさをよく食べるので太りぎみで、
本当に飛べるのかは謎である。
羽ばたいてる姿はめったに見ないし。
人間の言葉がちょっとは理解できるらしく、
朝起きると
「オハヨウー」とか
家に帰ると
「オツカレサマー」とか
声をかけてくれる。
なかなか飼い主思いのやつだ。
そんな自分は、
休みの日になるといつも、
ペットをドライブに連れて行ってやる。
たまには大空を見せて、
太陽の光を浴びさせてあげようかなと思うのだ。
実際、結構喜んでいる様子である。
こんな風に、
楽しい日々を過ごしていた。
さて。
ある休みの日。
いつものように自分は車を出し、
ドライブに出かけることにした。
助手席にはペットが、気持ちよさそうに寝ている。
それは突然の出来事。
「キィィィィーーー!!」
突然、対向車線をはみ出してトラックが突っ込んできた。
慌ててブレーキを踏んだが、間に合わない。
「ガシャーン!!」
凄まじい衝撃とともに意識を失った。
どれほど時間が経っただろうか。
気が付くと、そこは見たことも無い世界。
見ると自分の体は透明だ。
自分は事故で死んでしまったのだな、と理解した。
そして考えた。
「ああ、なんてことだ。
こんな死に方をしてしまうなんて。
連れてたペットは無事だったのかなあ。
でもあの事故じゃ助かるわけ無いよなあ」
すると、後ろから淋しそうな声がした。
振り向いてみると、そこには。
「あなたは、今日からもう私の飼い主ではないんですね。
今まで本当にありがとう。楽しかった。
では、さようなら。。。」
と言い残して、
ペットとして飼っていた天使は、
新しい飼い主を探しに旅立ったのだった。