企業破綻は誰のせい?

 

私は北海道民である。

その北海道といえば、今月(2002年6月)、AIR-DO(北海道国際空港)が事実上破綻したばかりだ。

破綻直後、報道番組では色々な原因を考えているようだ。

経営見通しの甘さ、航空行政(例えば、国が空港着陸料やカウンター使用をしやすくしなかったり)に大きく分けられそうだが、

私はこれ以外に、トップ(社長や幹部)にも大きな責任があることを、特に強調したい。

 

どうせこの文章はそんな広く見られているわけじゃなさそうだから書くが、私は始めから石子社長が嫌いである。

顔も好きじゃないが、考え方が嫌いだ。トップに備わっているべき人格がない。

前に、道内の経済の専門家たちと交えて、AIR-DOの問題点や解決策を出し合う場が設けられたらしい。

当然、問題点がたくさん出てくる。批判も多い。

実際、AIR-DOは経営的に問題があるのだから、トップはそれを素直に聞いてしかるべきだ。

ところが、そこにいた石子社長のとった行動とは、経済専門家たちの批判に、不快な表情を隠さず、

「我々だって頑張っている」「うちの状態をよく勉強せずに何をいうか」などと反論したからたちが悪い。

社長のこの行動をみた瞬間、「AIR-DOはいよいよつぶれるな」と私は直感した。

そして今、本当に破綻してしまったから笑えない・・・。

 

この社長は道のOBである。彼は、悪い意味で公務員的思考だったのではと思う。

つまり、民間的経営感覚がない。道はよほどでない限りつぶれることはないから、

組織を持続させるために知恵をしぼることが、民間と比べてそうはない。

だから、AIR-DOの経営がまずくなった、はい、税金を投入しましょう、となる。

お金がなくなったときに税金を投入すれば良い、というのは国や地方自治体とかの得意な考え方だ。

(この点、道知事の責任も大きいのだが)

税金つぎこんで経営が立ち直ればいいが、そんな様子もない。道民だって腹が立つ。税金は戻らないのだ。

 

そして破綻した当日、社長が会社で会見を開く前、報道陣に取り囲まれた時に発した言葉が

「会見で話すと言ってるだろ」「どうしていじめるんだ」である。

この期に及んで・・・という気がするが、私はこの発言を聞いて思い出した人物がいる。

雪印の元社長である。

3,4年前だったか、食中毒が発覚したとき、報道陣に取り囲まれた元社長が言ったことが

「私は寝てないんだ」・・・20世紀で最悪レベルの失言だ。

・・・社会問題を引き起こした企業のトップの言うことではない。「良心」という言葉を忘れたにちがいない。

その後報道陣が「こっちだって寝てないですよ!」「おなか壊して眠れない子供もいるんですよ!」と

怒鳴ったのもいまだに覚えている。彼らのほうがよっぽど良心的だ。

 

私は、最近の企業の不祥事・破綻は、どうしようもなく起こったことは少ないと思う。

一概には言えないだろうが、大体、トップが悪いのだという思いがある。

例えばそごうの破綻。水島会長(今はどうだかわからないが)は

破綻した後も、私利私欲をこやすために金を回していた、と報道されている。

最近ならば、みずほ銀行のシステム故障が長引いた不祥事があろう。

あの時の前田社長といったら、心から謝っているのか疑ってしまった。

形だけの謝罪の後、「こちらも一生懸命やっている」的なことをダラダラ言っているのだ。

そしてゴールデンウィーク、銀行業務が込み合うころ何のトラブルもなくて

変に胸をはって「安心した」とか言っている。何もないのが当たり前なのに・・・

 

上で挙げたトップに、人格以外に共通していることがある。

顔が良くないことである。

いや、顔のパーツに問題があるってわけじゃなくて、表情が良くない。

人の上に立つべき人にあるべき、りりしさがない。

みずほの前田社長の顔なんてその点最悪だ。暗い。会社を立て直す意志が感じられない。

あんな上司はいらない。

 

私が聞く限り、日本で最高の経営者は、松下電器創業者の松下幸之助であろう。

彼の経営哲学はわかりやすい。「お客様のために」これだけだ。

仕事で彼のとる行動は、すべて「お客様のために」なるかどうかで、判断していたそうだ。

 

さっき挙げただらしないトップには、全てこの考え方が欠けてはいないか、彼らに考えて欲しい。

 

いろいろ言ったが、要は「企業がもつかもたないかは、トップ次第」と言いたい。

従業員がよくても、トップが悪けりゃ、その企業は終わりだ。

事実、雪印事件でかわいそうなのは従業員や農家だし、

AIR-DOでは、客室乗務員やカウンタの従業員に、何ら問題はない。

みずほ銀行だって、お客様と直接接する従業員は、真剣に業務に当たっていただろう。

やはり悪いのはトップである。

 

私は将来、大学で教える仕事につきたいのだが、

教師も、人の上に立つので、トップである。

学生がしっかりするかしないかは、トップ(=教師)にかかっている、という緊張感をもって仕事をしたいと思う。

 

(管理人注:破綻した企業の全てでトップが悪い、と言い切ったわけではありません。あくまでよく見られることを書いただけです)

 

(2002年6月28日)

 

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