学会デビュー

 

今日(2002年10月5日)は、私が学会デビューを飾った記念日(?)になった。

 

実はこの学会に対しては全く自信がなかった。

何せ、今のテーマに決まったのが、7月の後半。しかも先生の助言から決まったもので、自分で決めたものとはいえないのだ。

(テーマを簡単に言うと、義務を表すmustは、誰が強制するのか、普通話し手なのだがそうでない場合はどんな時があるか、というもの)

テーマ選びでつまずくと、なぜだか不調が続く。

まず、データが見つからない。やっとかき集めたデータを見ても、面白い結果が出てこない。

7月から8月は、本当にウツ状態だった。今年修論を完成させるのを本当に捨てたくらいだ。

周りの人には弱音を吐いた。でも愚痴を言う元気もないときもあった。

それでもやらなきゃならない。

・・・ただ、今だから言えるが、この悩みとは、取り掛かったばかりの時に起こった悩みで、

いわばデータの量も少なく、冷静に考えれば、面白い傾向なんて出やしない時期だったのだ。

それに気づいたのが8月の下旬。そこからは変わった。

「何とかなる」 これは、大学の先生から言われた言葉だ。

 

そうして、不十分なりにデータをまとめ、9月にリハーサルを行った。

反応はまずまずだった。少なくとも、何を研究しているのかは伝わったようだ。

いろいろコメントをもらい、より正確に説明できるようにさらに準備した。

あまり研究自体は進んでいないが、とりあえず準備して、前の日も得意の一人リハーサルを何度かして

(聴衆がいるつもりで、一人でしゃべる)、今日の学会を迎えた。

前のリハーサルは、知っている人々で、年もそれほど離れていない人ばかり。

しかし今日は違う。大ベテランの教授や、知らない人も多く、リハーサルほどアットホームにはいかない。

その上、私の研究している領域を研究している大ベテランも来る。いやでも緊張せずにはいられなかった。

心臓がドキドキする。口の中が渇く。水を飲む。じっとしていられない。教室を歩き回ったり、トイレに行ったりして過ごす。

 

そして発表の時間。声を出すと、なぜだか緊張は収まっていた。

内容の良し悪しはともかく、準備し、まとめただけのことはもらさず言えた。

発表が終わった後は、鬼門の質疑応答。学会である意味一番難しい。これの良し悪しで印象が決まってしまうからだ。

うーむ。やはり、当日まで調査が曖昧のまま終わった部分を、しっかり突かれてしまった。

もうしょうがない。まだそこまで調べてません、今後の課題です、と正直に言った。

今日びっくりしたのは、5人の先生方から質問、コメントをもらえた。実はこれ、今日の発表で一番多い人数だった。

これは発表者にとって幸せなことである。とりあえず自分の発表に興味を持ってもらえたことになるからだ。

まぁそれだけ不完全なところも多かったのだろうけど、研究というのは常にそんなもんだ。

(ただ、来週、指導教官から事後指導を受け、そこで説教されるんだと思うけど)

発表後、早速、頂いたコメントを清書した。後の研究の指針である。

今日は、発表を終えた後に、懇親会にも参加した。一仕事終えた後の食事と酒は美味しかった。

今も家で、お菓子をつまみにワインを飲んでいる。

 

まぁ論文完成までまだ3ヶ月近く残っているが、今日の学会を終えて思ったことをいくつか。

・コメント、質問は、全て自分のためになる。

・積極的に研究者たちと話をすべし。情報収集を怠るな。

・・・まぁこれは研究者向けになるだろうか。

そして一番感じたこと。

・やってみるもんだ。

不安な心理状態から出発した今回の研究だが、やってみるとそれなりに事は上手く進むんだな、と思った。

・・・実は今回、具体的な研究成果よりも、この「やってみるもんだ」と感じれたことの方が大きいのだ。

 

(2002年10月5日)

 

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