良い文章とはどんなものか
(はじめに)
これは、良い文章とは何か、私なりのポイントを提案するためのものである。
また、それを踏まえて、最後に良い文章を書くための方法も提案してみたい。
あらかじめ言っておくが、このエッセーの対象は、レポートや論文(小論文も含む)を書く学生や社会人、
改まった場や内容で、筋道の通った文章を書きたいと思う方々である。
(エッセーはあまり方法論にこだわると堅苦しくなるし、小説はそもそも書き方が独特なのでここでは触れない)
(メイン)
どういうのが良い文章かはこの後書くが、とりあえず、自分よりも優れた文章だと思えれば良い。
また、大学生が論文・レポートを書く際は、書こうとする題目の専門論文・著書などを参考にすれば良い。
論文や著書は、ある程度のレベルでなければ印刷・出版されないからである。
では、良い文章とはどんなものかを、思いつく限りポイントで示そう。
・目的がはっきりしている
ここでいう目的は2種類ある。
「何について書くのか」という内容と、「誰に対して書くのか」という対象読者である。目的そのものがないのは話にならない。
内容の目的がはっきりしていなければ、ここでいう文章がそもそも成立しない。書けても大した文章でないのがオチだ。
二つ目の対象読者だが、これが意外と無視されがちだと思う。
なぜこれが大事なのか。それは書く相手が違えば、自然に書き方、使う単語、文章構成も変えなければならないからである。
例えば、インターネットについての文章を書くときに、インターネットを知っている人に対して書くのと
知らない年配の人たちに書くのとでは、全然違う文章になるはずだ。
知らない人たちに書く場合は、おそらく用語の説明から入らないといけないだろうし、
逆に知っている人たちに用語解説から始めては、長ったらしい文章になってしまう。どちらにしても読みづらいのだ。
・全体の流れがはっきりしている
大まかな流れとしては、「導入、問題提起」→「発展」→「結論」となる。
「導入」で、これから何について書くのか、何を言いたいのかを簡潔に書く。(といってもただ短ければいいってもんじゃない)
そして、自分の文章ではどういうことをいうのか、文章全体の流れをつかめるようにする。
「発展」は文章のメインとなる部分である。ここは目的により色々あるが、
なぜ、そのテーマを選んだのか、そのテーマを具体的に、より詳しく説明する。そして自分の考えを書く。・・・などが考えられる。
最後に「結論」だが、ここでは「導入」の繰り返しをするのがある。(もちろん、一字一句同じでは面白くない)
また、「発展」の箇所で書いたことを要約する場所でもある。
ここからは、文章を書くときの細かいポイントである。
・文と文とのつながりがはっきりしている
順接(そして)か、逆説か(しかし)、話題を変えるのか(ところで)、発展させるのか(さらに)、・・・など、
いわゆる接続詞を効果的に使い、文と文がどうつながっているのかを読者にわかりやすく示す。
・思いつきばかり書かない
思いつきばかりでは論文・レポートではない。ただ雑な文章に終わる。
自分はなぜそう考えているのかを、
誰が読んでもわかるように、根拠は客観的に具体的に書くことである。
・事実と自分の考え(説明)を区別する。
自分の考えがいわばメインだから、それを際立たせるのが大事である。
そうでないと「この人は何を言いたいの?」と読者は迷うことになる。
事実はこうである。だから(しかし)私はこう考える。なぜなら(その証拠に)・・・と書くのが一例。
・未解決問題を明記する
これは大学で書くレポートや論文で特に重要である。できなかったことを書くのはちっとも恥ずかしいことではない。
今後の研究の目的となるし、後に続く研究者の指針となるからである。
見栄を張らずできなかったことを書くことで、特に論文では、その学問的価値がぐんと上がる。
・誤字脱字、文法ミスを無くす
・回りくどく書かない
これは、文章を完成させた後、何度か読み直せばかなり解決されるが、
先生など自分よりレベルが上の人に見てもらうのが望ましい。
(結論)
要するに「はっきりしていること」「ポイントを押えて、不必要なことを書かない」
これらを備えれば、良い文章になると言えるのではないだろうか。
最後に、これらを踏まえて「良い文章を書くために」。
それは、良い文章をたくさん読んで(できれば買う)、
自分の目的に応じて言葉を変えるなどして、その「良い文章」をまねてみること、
これを繰り返せば(この「繰り返す」が必須)、良い文章を書けるようになるはずである。
(ちなみにこの「まね」方は、一字一句断りもなしに同じにするのとは違うので、著作権侵害には当たりません)
(一例:私が英語学で論文を書くときの大まかな流れ)
「導入」で、自分の扱う問題を書く。そしてこの論文では何を言うのかを簡潔に書く。
発展で、問題となる文法事項に関して、今までどういう研究がされてきたかをまとめる。
次にその研究の問題点を述べる(これを解決することが、自分の論文の存在意義となる)。
そして、それに対する自分の主張や分析を、データ(これが事実になる)を用いて具体的・客観的に述べる。
結論で、自分で分析してわかったこと、わからなかったことを簡潔にまとめる。
(この内容は、導入の部分で一度言っているので繰り返しになる)
・・・こうやって意識していても、実際に書くのは難しいんですけどね。
(2002年12月31日)