再認識、イチローの魅力

 

プロフィールでも書いているが、私の尊敬している人の一人にイチローがいる。

イチローは自分で目標を立て、その達成に向けて緻密な行動を続けることができる。

そして、野球を通して、素晴らしい考え方を身につけてきた。さらに、何より自分に厳しい。

野球選手としての自信が顔から出ている。その表情もかっこいい。

 

そのイチローが、1月16日から18日の夕刊で、日米野球の将来について語る記事があった。

もちろん私は全てじっくり読んだが、ここで私はイチローの魅力を再認識した。

イチローのインタビューでは、野球の技術論に留まらず、野球を通して身に付けた考え方を私たちに示してくれる。

そのような言葉や考え方が、今回の三日連続の記事で、一日一つ見つけることができたので紹介したい。

 

16日には、「昔に比べてメジャーのレベルが落ちたといわれるが」という質問に対し

それはプレーを見ての実感というよりは想像だ、野球の本質的な部分はわからないものだ、という。

それに続けて、

「軽はずみで言ったこと、浅い認識から出た言葉がそのまま、まかり通る怖さがある」

私は半端に勉強しているから、時々知ったかぶりをするときがあるので、この言葉は今の自分に対して、

そして研究者になる未来の自分に対して、この言葉は、殴られたような厳しい言葉になっている。

 

17日。

ヤンキース入りする松井の“成功”について、記者が尋ねると、

何本ホームランを打つかに興味がある、と答えた。

しかしその後、その“成功”という意味が質問者自身にとって何なのか、とイチローは逆に質問し、

「通用する、成功する、は人それぞれで違う。自分以外が考える“成功”に惑わされてはいけない」

自分の価値観をしっかり持て、というイチローなりのメッセージと私には受け取れたが、どうだろうか。

 

18日。

この日は、ファンのために野球をしなければならない、というイチローの考えがメインだった。

「(日本野球界は)もっと、もっとファンを意識しないと魅力的にならない」

ファンのために、を常に意識するのは、3年前に出されたイチローについての本からも読み取っている。

これは、周りに対する感謝の気持ちをもつ、という考え方から導き出される。

イチローの考え方は一貫しているのだ。

また、ファンが望むものを新たに開拓し、豊富に供給するためにも個々の選手の意識改革が必要と考えているそうだ。

これは、今の自分に甘んじてはいけない、向上心を持ち続けろというメッセージだと私は思っている。

 

こうしたイチローの考え方に触れるたびに、私はつくづく自分に甘い、人間としてのレベルが低い、と反省させられる。

考え方は一貫していないし、目標は決めたもののそれに向かって緻密な行動を続けることができないからだ。

だからこそ、イチローは今の私にとって尊敬できる人なのである。

 

この三日間のイチローのインタビュー記事は、全て切り抜いてある。

 

(2003年1月18日)

 

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