寝過ごした後の駅にて
普段私が降りるのは千歳駅。
いつものように電車の中で居眠りをしていて、目が覚めたら千歳駅。
はっとして立ち上がり、その2秒後には無情にもドアが閉まる。
久々に寝過ごした瞬間だった。
何だか時間を無駄にしてしまった気がして、隣の南千歳駅で降りる。
そこから札幌方面の電車に乗れば帰れるからだ。
ところで、この南千歳というのは、特急がたくさん停まる。
空港と特急の接続点になるからだ。
特急の中には、寝台特急もあり、私が南千歳駅で列車を待っている間、
寝台特急の北斗星が停車した。
窓から車内がちょっと見えて、
部屋に入る人、ロビーでくつろぐ人、食堂車で食事しようとしている人、窓から景色を見ている人・・・
駅では、「何号車だっけ?」と言ってこれから乗ろうとしているカップルもいた。
そんな風景を見ていたら、3年前に、私も北斗星に乗って東京に行ったことを思い出した。
当時は飛行機に慣れていなくて、陸路を走る鉄道の方が好きだったこともあり、
(今となってはわざわざ、という気もするが)北斗星に乗って東京の学会に行ったことがあった。
あの時は寝台特急に乗るのが高校以来で(もう何年前だろう・・・)、とても楽しみだったのである。
窓から景色を見ていれば時間が経つのも忘れるんじゃないかと思っていた。
実際は割りとすぐに飽きてしまったが。
電車に揺られながら食べる弁当は美味しいだろうな、とも思っていた。
実際は、2000円出してこの量か、と不満を漏らしたが。
青函トンネルも久々だし、どんな景色だったっけ、と思っていた。
実際はトンネルに入ったとたん窓が曇り、景色どころではなかったが。
ロビーカーで俺も優雅にくつろいでやろう、と思っていたら、
おばちゃんたちがうるさくて10分で部屋に戻ってしまったこともあった。
で結局、16時間ほどの寝台特急の旅は確かに楽しかったが、
今なら時間的にも早い飛行機を取るだろうな、とゆとりのないことを考えていたりする。
・・・なんてなことが思い出されて、寝過ごした後に降りた南千歳駅で、妙に懐かしい思いに浸っていたのである。
それだけです。
オチはありません。
まぁたまには毒もない、教訓めいたことも言わない
こういうエッセーもありでしょ、ということで。
(2005年1月5日)