私の読書論〜借りるか買うか〜

 

もともと本を読むのは好きなほうだ。

ジャンルも浅く広く読むことにしている。とはいっても文系の本が多く、理系が少ないが。

どうせなら色々なことに触れたほうが面白いと思う。

もちろん、肩肘張らずに読めるエッセー、小説もある。

漫画は少ないが、漫画だって面白い。何も活字の本だけがすばらしい、とは思っていない。

 

それにしても、多くの本を手に入れようと思えば、当然金もかかるから、図書館とかで借りて読むのが手軽である。

実際、専門書、特に洋書になるとかなり高く、私が買った本で最高値は、13,000円である。

だから、今も図書館や研究室には、本に関して世話になりっぱなしだ。

 

しかし、それでもここではあえて、本を買うことを薦めたいと思う。

それは、大事なところに線を引いたり、本に直接メモをとりやすいからだ。借り物だとそうはいかない。

大学でちょっとでも専門書を読む(読まされる?)ことのある人なら、ピンと来るのではないだろうか。

別にノートを買って、「12ページ、上から3行目、ここが大事!」みたいに書き込めば良いかもしれないが

これは実際にやってみると結構面倒くさい。

書くときはもちろん、書いたら書いたで、いちいち本とは別のノートを開かなくてはならない。

そうなると、直接線を引いたりメモをとったほうが、書くときもポイントの場所がわかるし、本さえ開けばポイントもすぐ見える。

 

もう一つ、借りるより買うことのメリットは、古本屋で売らない限り、ずっと自分のものにできることだ。

当たり前のことかもしれないが、こうすると、ふと読みたくなったときに、すぐ読める。

どこかで聞いたが、「気に入った本は3度読め」という言葉がある。

3度読めば、ほぼ細かいことまで頭に入るし、

内容を知っているのにあえて読むのは、細かいところまで読みたいという気持ちの現れだから、

結局その本が、自分にとって大事な本であることになる。こうして自分の座右の書ができる。

 

研究職というのは、本を買うお金をケチったら(もちろん衣食住が優先だが)、

それは心が貧しくなっている証拠だ、と聞いたことがある。

価値観の問題もあるだろうが、それは研究職に限らず当てはまるような気がする。

 

本好きの私にとって、「借りるより買おう」というのが読書論である。

 

(2002年12月31日)

 

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