私が「うんちく王」を嫌う理由

 

去年辺りから「うんちく王」が流行っているようだが、

はっきり言って、私はこのうんちく王が好きではない。

いや、うんちく自体が嫌いなのではない。

うんちくを持っている人が嫌いなのでもない。むしろ色んなことを知ってるんだな、と尊敬すらする。

私が嫌いな「うんちく王」というのは、

必要もないのに(もちろんこっちは聞いちゃいない)自分からただただ知識を垂れ流す、そんな連中だ。

そこから派生したのかどうか知らないが、うんちくを語り最後に決めるポーズ(右手を上げる?でいいのかな)も嫌いだ。

前に某衣料メーカーのTシャツのCMで、バナナに関するうんちくを語るオヤジがいたが、

あれも率直に言って、私にはただただやかましいだけだった。

 

繰り返すが知識を蓄えることを否定はしない。

でも、知識というものは、何かの形で役に立てば尚良いんじゃないか、と最近思う。

まぁうんちく王なんて、しょせん雑学が豊富なだけで、何の役にも立たない、ってことは承知してるんだろうけど。

 

私の先輩の一人も、専門分野における知識は、私よりもはるかに豊富だ。

しかし最近その人が書いた論文の批評を求められると、正直厳しい言葉ばかりが出てくる。

私の倍以上も博士課程にいて、なんでこの程度の論文しか書けんのだ、と言いたくなった。

この人は、知識をもっているだけで、活用できていないのである。

これじゃ仕事には何の役にも立たない、知っているだけじゃだめなんだな、と痛感した。

(・・・なんてことを後輩に言われないように、私もしっかり修行しないと)

 

こんな体験をしたから、私はうんちく王が嫌いになってしまったのかもしれない、と

最近はっきり言えるようになった。

 

(2004年6月4日)

 

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