単語と形・文法をちょっと考える

第4回「名詞、形容詞、副詞:品詞は面倒だ」

 

・・・品詞は面倒だ、などといきなり否定的な言葉で始めてしまいましたが、

それも、品詞は実際面倒なんだから仕方がありません。

と、弁解してもしょうがないのですが、学校で英文法をやっていて、品詞って何?とわからなくなった経験は結構あるかと思います。

文法書とかを見てみると、だいたい品詞を意味から説明しているのが多いのですが、

実際、品詞を意味から説明しようとすると無理が生じることがあるので、

働きなど文法的なことから考えた方がいいのではないか、と私は思います。

(もっとも、詳しい文法書とかになると、ちゃんと文法的なことから品詞を説明しているのもあります)

以下、そのことを具体的に話していきます。

 

最初に名詞を考えてみましょう。私の手元にある文法書には「人や事物の名を表す語」とあります。

例えばbookなら、「本」という物の名前といえるし、Maryなら、「メアリー」という人の名前ということができます。

じゃあdifficultyはどうでしょう?これは「困難」という意味の名詞ですが、これはどんな「事物」を表しているのでしょう?

それからflightは?これは「飛行」つまり「飛ぶこと」という、むしろ「事物」ではなくて「動作」では?

そうなると、「主語の動作や状態をあらわす語」と説明させる「動詞」と区別がつかなくなります。

 

次は形容詞を見てみましょう。文法書には「名詞や代名詞の性質や状態を表す語」とあります。

例えばlargeなら、何かが大きい、という状態を表し、interestingなら何かが面白い、という状態を表していることになります。

となると、次の英文を考えてみましょう。

She resembles Jennifer Ropez. 「彼女はジェニファー・ロペスに似ている」

これは、彼女が「ジェニファー・ロペスに似ている」という「状態」を表しているといえないでしょうか。

ここでポイントなのは、resembleという単語は、形容詞ではなく動詞であることです。

つまり、「状態」は形容詞だけでなく、動詞も表すことができるのです(全部の動詞が、というわけではありませんが)。

 

最後に副詞を考えましょう。(品詞はこれだけじゃないですが、スペースも足りなくなるのでここまで)

これは「時、場所、程度、様態などを表す語」と説明されています。

nowなら今という「時」を、hereならここという「場所」を、veryならとてもという「程度」を、quicklyなら速くという「様態」を表しています。

しかし、sudden death「突然死」という語句を考えてみますと、「突然」は「死」の様態(どんな様子で死んだか)を表していますが、

suddenというのは形容詞であって、副詞ではありません。

 

今は名詞と形容詞と副詞に話を絞っていますが、

それにしても、品詞を意味から説明すると、何かしら無理があるのがわかるかと思います。

そこで、意味の代わりに、文法的な面から説明してみようということです。

 

まず、名詞は「主語、目的語、補語になることができる」という働きがあります。

形容詞は、「名詞を修飾する。補語になる」という働きがあります。

副詞は、「動詞、形容詞、他の副詞を修飾する」という働きがあります。

(修飾する、とは、飾る、つまりここでは「意味を狭める」ことと考えてください)

例えば、This book is very difficult. という文を考えましょう。これには名詞、形容詞、副詞が全部入っています。

名詞はbookですが、ここでは主語として使われています(「この本は・・・」と訳せることからもわかります)。

形容詞はthisdifficultがあります。thisはすぐ隣のbookを修飾していますし(「この」本、というように意味を狭めている)

difficultbookの内容を「難しい」と説明しています(これが補語です)。

副詞はveryがありますが、これはdifficultという形容詞を修飾していて、「とても」難しい、といって「難しい」の意味を狭めています。

 

こうすると、先ほど挙げた問題のある例も、説明できるわけです。

さっきのflightが名詞といったのは、主語、目的語、補語になれるからです。

例えば、Today's flight was very hard. 「今日の飛行(フライト)はとてもきつかった」(パイロットのせりふ)

で、ここでflightは主語になっています。

sudden deathsuddenは、deathという名詞を修飾しているので、形容詞、と説明できます。

 

というわけで、品詞を説明するには、意味よりも文法的な面から(つまり「働き」から)説明するほうが

一貫的な説明ができるのではないでしょうか。

私も学校で品詞を説明するときは、この「働き」から説明しています。こっちのほうが説明しやすいのです。

 

さて、単語と形・文法を考えるのはここで一旦終了とします。

次からは、単語と意味の関係についてちょっと考えてみることにしましょう。

 

(2003年5月24日)

 

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