単語と音をちょっと考える
第4回「ドイツ語とフランス語は読みやすい?」
さて、前に、英語の発音は複雑だ、ってことを話しましたが、
フランス語とドイツ語は、発音に関しては英語よりもずっと規則的だ、ってことを今回は話します。
今回は異国の紹介、というようなキャッチフレーズがぴったりですので、
知っておいて欲しい抽象的な規則などは一切ありません。具体例もたくさん交えますので
「へぇ〜こんな世界もあるんだな」くらいの気持ちで、気楽に読んでください。
もっとも、全部紹介するとキリがないので、いくつか紹介するだけにしておきますが、それでも英語よりは規則的だってことに気づくでしょう。
前の復習がてら、前知識を出しておきますが、母音はa, e, i, o, uの発音で、それ以外が子音です。
まずはフランス語から行きます。
その1.eau、au:「オ」と発音する。
例えばeau「水」(そのまんま^^;)、beau「美しい」(英語のbeautifulのもとはこれです)、gateau「ケーキ」(ガトー・ショコラのガトー)
sauce「ソース」(英語のsauceの語源です。形もそのまんまだし)
その2.oi:「ワ」と発音する。
例えばoiseau「鳥」(ワゾと発音する)、croissant「三日月」(クロワッサンというパンがありますが、三日月の形をしています)
その3.ai:「エ」と発音する(「アイ」ではない)
例えばaimer「好きだ」(je t'aimeのaimeはこれの1人称単数現在形です)
その4.ou:「ウ」と発音する。
例えばsoupe「スープ」(英語のsoupの語源)、bonjour「ボンジュールという挨拶」
その5.im, in, um, un, ym, yn:「アン」と読む。(エを発音するときの口の形でアと読むとフランス語っぽい)
例えばsimple「単純な」(英語のsimpleはここから来た)、vin「ワイン」
その6.u:「ユ」と発音する。(「ウ」ではない。
例えばjus「ジュース」、jupe「スカート」
その7.母音に挟まれたsは必ずにごる。
例えば、oiseau「鳥」(sがiとeに挟まれてます)、mademoiselle「お嬢さん」
その8.th:タ行の発音になる。
例えばthe「茶」。theatre「映画館」(英語のtheaterの語源)
その9.単語の終わりの子音は発音しないのがほとんど。(c, r, f, lは発音されることもある)
さっきのcroissantのtも、発音しません。間違って「クロワッサント」と読まないように。
その10.hは発音しない。
例えばhotelは「オテル」と読みます(ホテルではない)。
次はドイツ語の例です。
その1.ei:「アィ」と発音する。
例えばein「一つ」、klein「小さい」
その2.eu:「オィ」と発音する。
例えばEuropa「ヨーロッパ」は「オイローパ」と発音します。Leute「人々」
その3.単語の最後のeは「エ」と発音する。(ただし弱く発音するのがドイツ語っぽい)
例えばさっきのLeuteは「ロイテ」と発音します。Hose「ズボン」
その4.ie:「イー」と発音する。
例えばspielen「遊ぶ」、viel「とても」
その5.単語の頭のsは必ずにごる。
例えば、sein(英語のbe動詞に相当する)、Salat「サラダ」は「ザラート」と発音。
その6.ただし単語の頭のsに子音が続いたら、そのsは「シュ」と発音する(「ス」ではない)
例えば、Spiel「遊び」、sprechen「話す」
その7.vはにごらない。
例えばvielは「フィール」と発音する。
その8.wはワ行の音ではなく、英語のvの音になる。
例えば、weit「広い」、Wasser「水」です。
さて、全部挙げるとキリがないので、ここらへんで留めておきますが、
「なんだ、ドイツ語もフランス語も規則は意外とあるじゃん」と思った方もいることでしょう。
しかし、英語のaが「ア」とか「エィ」とか発音するように、
一つのつづりが二つ以上の発音パターンをもつ、という規則はほとんどありません。
そういう意味で規則的といえるのではないでしょうか。
よしじゃあ、フランス語とかドイツ語とかは、英語より勉強しやすいんだな、と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、
ドイツ語、フランス語は、動詞の活用が英語より何倍も面倒くさいです。
結局、どの言語がどの言語より勉強しやすい、ってのはなさそうです。
単語と音の話はこれで終了です。
一つの言語に注目するというよりは、日本語や英語、ドイツ語、フランス語と比べると言う形をとりました。
文字が違えば、音も違うということですが、もっと抽象的に比較すれば、これらの言語にも共通点があると言われています。
しかし、とりあえずここでは踏み入れないでおきます(実は私もまだ良く知らない)。
次からは、単語の形と文法の関係について、4回連載する予定です。
(2003年4月26日)