奥様の名前は、ラビエル。
旦那様の名前は、グリフィン。
ごく普通(?)の二人は、ごく普通(??)に出会い、ごく普通に恋をして、
ごく普通に結婚しました。
ただ、ひとつ違っていたことは・・・・
奥様は天使だったのです!
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”ベイオウルフ”のお頭、グリフィンは苦悩していた。
長く苦しい戦いも堕天使ガープを倒したことで終わり、インフォスは平和と時の流れを取り戻した。
グリフィンは、常に側に居、共に戦ってきた愛しい天使・ラビエルを手に入れた。
そこまでは素晴らしい幸運、素晴らしい奇跡・・・だったのだが。
「よぉーし、今日の仕事はしまいだ」
「へい!」
「お疲れ様でした!」
『盗賊集団”ベイオウルフ”』はその姿を『便利屋”ベイオウルフ”』と姿をかえていた。
はじめ、何が何でも盗賊を続けようとしていたのだが、ラビエルの反対にあい、『そんなことをして稼いだお金で人間として暮らしたくありません』等と言われた日には止めざる終えない。
で、とりあえず盗賊の時の特技を活かせる職業として『何でも屋』をはじめた。錠前外し、屋根修理、宝石の鑑定などお手のものだからだ。
いままで義賊として名高かった前職のため、ほどほどにそれは繁昌していた。
グリフィンの苦悩はそれではなかった。
「お〜い、今帰ったぞ」
「おかえりなさい、グリフィン。」
足取り半分重く、半分軽く家路につき、扉をあけると可愛い出迎えがある。彼の天使は、嬉しそうに極上の微笑みを浮かべ、飛びついてくる。
それを受け止め、一日離れてた淋しさも込めてキスをする。
「う・・・ん、グリフィン、苦しいです・・・」
「あ、すまん」
つい、である。余りの可愛さに歯止めが効かなくなりそうになる。
「? グリフィン、御飯にしますか? それともお風呂?」
来た! 苦悩の原因!
「ふ、風呂にしようかな」
「ええ、いまきっといい湯加減ですよ♪」
ラビエルには、通じてない。この語尾の震え。
とりあえず、風呂場に逃げる。だが、この逃避ももって30分。
「お湯加減、どうでした?」
「うん・・・」
頭を拭き拭き、怯えつつ台所まで行くと、やっぱり!!
グリフィンを襲うその匂い!
「今日はアップルパイがことのほか、上手に焼けたんですよ。」
そのテーブルの上には、デコレーションケーキ、アップルパイ、パウンドケーキetc.・・・お菓子の山、山、山。
おかしいとは思っていた。
天使とその勇者で戦ってたあの頃、持ってくる食べ物と言えば、ケーキにキャンディにドロップ、それか薬の類いだけ。
たまに食事時に来た時に『お腹がすいてきました』なんていうから『一緒に食ってけよ』といっても一緒には食べなかった。
まさか天使の食事が甘いものだけだったとは・・・。
それほど甘いものが得意ではないグリフィンにとってはこれは地獄。苦悩の発生源に他ならなかったのだ。
だが。
「おいしいですか?」
にっこり笑って自分を見つめる天使にむかって『食えない』とは言えない。そこが惚れた弱味。
その苦悩は、あまりのお頭のやつれぶりに心配した子分達がティアに相談するまで続いたと言う・・・(合掌)
おしまい♪
すまん! お頭。
なんでラビエルのプレゼントはケーキとかだけなんだろ、とおもったらムクムクと妄想が。
お頭の事は大好きです。私は『お前以外の女に興味はねぇんだからな』でくらくらきちゃいました。
あ、でも団長のおせなも捨てがたい・・・(笑)