■コミックマーケットながら
ムーンライトながら と コミックマーケットの関係。 東海道線を走る「快速ムーンライトながら」はコミケ御用達列車として名高い。よく青春18きっぷのサイトでは青春18きっぷシーズンでは指定券が取りにくい列車と言われているが、普段から入手困難だというのは少々誇張しすぎている。夏休み・冬休みでも普通に1ヶ月前の10時にみどりの窓口へ行けば取れる。但し、コミックマーケット(コミケ)が開催される日だけは、冗談無しに全然取れないほどの競争率になるので、これを「ながらの最繁忙期」と言う。
<熱海に着いた"ながら372M"のつもり>コミケの開催はお盆と年末の3日間あるため、総じて上りと下りそれぞれ3日間は指定券は入手困難といえるが、詳しく解析すると、上りは慢性的に3日間取り難く、下りは最終開催日の1日のみ極端かつ超絶的に取り難い状況である。というのも、コミケに参加する人は1日目〜3日目、2日目〜3日目、3日目だけというように分けられる。つまり上り(上京)は分散するのだが、下り(帰途)は3日目に集中する傾向にあるからだ。これは大垣夜行の時代から年2回繰り返される出来事であり、何度か経験したことがある人はこの日の対策を既にお持ちであろう。
コミケ参加者が上りのムーンライトながらを利用する理由としては、
・国際展示場(東京ビッグサイト)へ早く着きたい(待機列に並ぶ。)
・サークル参加者は9時制限では、翌日始発の新幹線では間に合わない。
・お金がないので安く行きたい。2番目の件に関しては、新幹線の品川駅開業により、名古屋・新大阪からならば始発のひかり号、のぞみ号でも国際展示場9時着は可能になっている。
普段の上りは比較的落ち着いた車内で東京へ向かうのだが、このコミケ開催中の東京ゆきのムーンライトながらの乗車率は川崎〜品川間でピークに達する現象が起きる。ご存知の通り、ムーンライトながらは熱海〜東京間は6両が自由席に切り替わる。これは東京口の東海道線の始発電車となり、同時に首都圏からのコミケ輸送も担うのである。普段の日は、熱海から自由席になったとしても、早朝4時前後ということもありデッキに立つ程度の乗客が乗り込んで来るくらいなのだが、コミケの日は立席満員となる。熱海から乗り込む客は少ないが、小田原・大船からはかなり多くのコミケ利用者が乗り込む。横浜では降車客もいるので差し引きはゼロぐらいだが、川崎からの利用者が半端ではない。ホームの乗車位置に2列に並んで行列を成しているのだ。これが決して下りながらの小田原駅の光景ではないことを強調しておこう。この時点でムーンライトながら東京ゆきの乗車率は大垣〜東京を通してピークに達する。
着席客は東海・関西からのコミケ組、立席客は湘南・横浜地区からのコミケ組となり、ムーンライトながら車内はコミケ一色であり、車内で話される内容はサークルの回る順番とか、限定頒布の大手サークルの分担とか、そっち方面の話が飛び交い、一般旅行者には一体何なのか?という状況になる。
ムーンライトながらは品川駅に着くとコミケ組の数割はここで降車する。会場である国際展示場へは、大崎経由のりんかい線へ向かう人、品川駅からタクシーで向かう人もいるからだ。まだ4時30分という時刻だが、品川駅からはもう戦争が始まっている。
次の新橋駅では、またコミケ客の数割と、東北方面へ向かう客が少し降りる。新橋から"ゆりかもめ"を使ってコミケへ行く方法を取る人はこの駅で降りる。また東北線の始発に乗り換える人も新橋から山手線へ乗り継ぐ手を取る場合がある。
終点の東京駅は凄まじい。ほとんどの乗客は東海道線7番線ホームから京葉線地下ホームへ流れ込む。これがいわゆるコミケ組。普段は京葉線に向かう客など微々たるものだが、開催期間中は山手・中央線に乗り換える人よりも多いのだ。上りは闘志を燃やすコミケ組でピリピリしているわけ。
コミケ参加者が下りのムーンライトながらを利用する理由としては、
・お金がない。
コミケでは大金を落としてゆくのだが、その分交通費は安く抑えたいのである。 沢山の同人誌や限定グッズを買ったコミケ参加者はムーンライトながらの車内で購入した同人誌を読む習慣が少なからずあり、中には18禁のものもあり、ちょっと目を覆いたくなる方もいるかもしれない。そうでなくても、企業販売の紙袋の絵柄はかなり目立つもの。
指定券が取れなかったコミケ組は最後の戦争として、小田原からの自由席争奪戦に臨むわけで、帰省客とともに、小田原から先のムーンライトながらはスゴイ惨状になる。最近はこれを嫌い、臨時のムーンライトながら91号の指定券を好んで取得しようとする人も多い。大阪へ早く着く利点もあるため、最近は先に売り切れる傾向にある。
全般的に下り大垣行きのほうが難しい。コミケの最終日の下りの指定券は北斗星やトワイライトエクスプレスの寝台券を取るのに匹敵するくらい困難。 次回、夏のコミケ、コミックマーケット66(C66)は2004年8月13日、14日、15日に開催。
8月12日、13日、14日 大垣発、東京ゆきムーンライトながら
(及びその救済用のながら臨時)8月15日東京発、大垣ゆきムーンライトながら
(及びその救済用のながら臨時)は激戦となるでしょう。コミケに参加する者、また同日に旅行でながらを使う予定の者。指定券取得大作戦を予め練っておこう!