◆小説・その他の本◆


※これから追ってぼちぼちと増やしていきたく思います・・・。

●「虫」著者 江戸川乱歩 (昭和4年作)春陽堂江戸川乱歩文庫「屋根裏の散歩者」収録

 高校時代、学校の図書館で春陽堂の江戸川乱歩文庫をとにかく読みふけったものでした。その当時好きだった筋肉少女帯が乱歩をモチーフにした曲を多く作っていたというのもありますが。実は少年探偵団シリーズのほうは読んだことがないんです;;大人向けの猟奇なやつばっか先に読んでしまったのはよかったのか悪かったのか;;で、この小説は当時文通してたひとから「いいよー」と言われて、読んでみました。内容は、陰鬱で極度の厭人病(今でいうちょっとおたく系なひと?)者の主人公柾木が、少年時代の初恋の女性で、人気女優の芙蓉に恋焦がれたあげく、殺害し、しまいにその死体の魅力にとりつかれ、破滅するという物語です。何度読んでも精神的かつ肉体的にぞくぞくと怖さがくる話です。特に、柾木が芙蓉と彼女の恋人(柾木の同級生)とのあいびきを気づかれぬよう執拗に尾行しつづけ、コトに及んでいる(^^;)ところまで覗き見しつづけるところ、(しかもそれを見て苦痛をおぼえつつ覗きの快感が忘れられずに続けるというところが怖い;;)芙蓉を殺害してから、その死体の美しさに魅せられ、土蔵に隠しつづけるところなど、ストーカー、死体愛好、ひきこもりなど、ことごとくインモラルかつエログロな要素がつまっていて、中編小説でありながら内容は一冊の小説並みに濃いです。
 死体がどんどん腐敗していくのを見て、なんとかそのままの美しい姿を保ちたいと柾木が右往左往するところは滑稽であると同時に哀れですらあります。また、死体の腐敗していく状態を事細かに描写してあるのもなんとも言えず恐ろしいです(しかも最後のほうでは表面の腐敗を隠すため死体に化粧するシーンまであります)最後、取り返しもつかないくらい腐敗した死体の腹に、柾木は顔を突っ込み、その死毒で命を失うというすさまじい結末です。この小説の実写版とか見てみたいんですが、きっと無理だろうなぁ(^^;)というかあたし自身怖くて見てられないと思います。やはり、小説のなかにあってこそ自由にいろいろ想像もできるし、嫌な場面は思い描かなければいいことですし(^^;)REEYAが見た限りでは他の江戸川乱歩集などには収録されていないようなので、興味のある方は上述の本を探して読んでみてください。ただしトラウマになっても責任はもてません(^^;)

HOME