人間椅子LIVE「狂ひ咲き」ツアー(2009.3.11 at 博多DRUM Be1)



 はじめに:実は今回はかなりレポートを書こうか書くまいか迷いました。四箇所を一気に見たため、各所の記憶が混同しまくってしまい、あといろんなサイトさんの詳細で正確なレポートを読むにつけ、「自分がレポート書く意味ってもうないんじゃ?」とも思いました。そのままだらだらと時間が過ぎましたが、まあ中にはわたくしのおばか丸出し王子様盲愛レポートを楽しみにしてらっしゃる人もいるかもしれない・・・と考え直し、また自分の備忘録的な意味合いで、書いてみることにしました。四ヶ所全部書けないかもしれないし、書けてもかなり時間がかかるかもしれません。
 そのような状態で書かれたレポートですので、MC・動作などの正確性、順序性は全くあてにならないことを最初にお断りしておきます。抜けている所も多々あります。あらかじめご了承ください。


 さて、いよいよ待ちに待ったこの日であります。2003年の修羅囃子以来、なんと六年ぶりの福岡上陸となった椅子さん。しかもBe1で見られるなんて・・・Be1で椅子さんを見るのは初めての自分、いつも日常的に通っている空間内で椅子さんが拝めるなんて・・・と心で歓喜の涙を流しておりました。しかし、六年前のライヴは言ってはなんですが、かなりお寂しい入りでして、今回もあんなふうになったらどうしよう、椅子さんに申し訳ない・・・と心配しておりました。
 そんなこんなでBe1にやってきたわけですが、かなりの人がいらっしゃいます。最近は椅子さんに新しいファンの方々が増えているようで、まだうら若いお嬢さんや、はたまた北九州や山口からいらした人も。中に入るとわじさまがわのマイクスタンドどまんまえをげっと!あ、バスドラに「狂ひ咲き」って書いてあるわ〜。ずらりと並ぶSGを見て、「ああ、椅子さんのライヴなんだあ」と実感しきり。今回はソールドではなかったようですが、平日でも8割くらいは入ってるのでは?と思われます。比率は明らかに男性が多い・・・特に真ん中から研ちゃんがわにかたまっておるようです。どうやらわたくしの心配は杞憂だったようであります。ああよかった・・・。MCのけ)は研ちゃん、ノ)はノブさん、わ)はわじさまないし王子様です。
 そしてSEが流れていよいよ開演。ゆったりとご登場したご三方、研ちゃんとノブさんはいつもの僧侶&職人姿、そしてわが王子様ことわじさまのいでたちは落語家スタイルの時の明るい黄緑色の着物に濃緑色の羽織、久しぶりに見たしましまの袴(確か無限の住人あたりから着ているはず。ものもちいいんですね〜)黒い足袋に白い鼻緒の雪駄姿。フロントとサイドをがっつりとなでつけ、後ろ髪がかなり伸びてらっしゃいます。ああ、五ヶ月ぶりのそのお姿、お会いしたかった・・・はらはら(心でなみだ)
 一曲目は「鉄格子黙示録」からスタート。ああ〜当然ながら初めて聞く曲ですが、生で聞くとこんなにかっちょいいとはっ。王子様のまるで喉をひきちぎられるような声にしょっぱなから心がひりひりします。久しぶりに見たそう思うのかもしれませんが、この人こんなに切羽詰った感じで歌う人だったけ・・・とふと思ってしまいました。ほほとあごのあたりは以前見たときよりもふっくらしていて、病的な痛々しさは感じられません。お体は相変わらず華奢ですが、少し安心しました。「恐怖!ふじつぼ人間」では「軍艦島から当日券を買って〜ふなむしだらけの人間が〜」どうせなら西鉄電車に乗って〜とかにして欲しかったなあ(ローカル話題ですみません。いつも自分が使ってるので)「りんごの泪」これを聞くと「ああ、椅子さんのライヴにきてるんだあ」という安心感みたいなものがあります。
 け)「こんばんはぁ〜人間椅子です。今回は清水の舞台から飛び降りる気持ちで、九州にやってきました〜」すると「何回でも飛び降りてー!」といさましい研ちゃんがわの殿方(笑)わ)「鈴木くんのいでたちが変わっていますが、メンバーチェンジしたわけではありませんので」はっ、そういえば以前の研ちゃんは長髪だったんだ(すっごい今更)鉄格子黙示録のSEは高校時代に作ったものをそのままデジタルリマスタリングしたとか、こんな曲書いてたからお友達がいなかったとか、はたまた好きな子の名前を曲にしたとか(第二回のファンクラブの集いでも言ってましたね)あー、曲にされた女の子がうらやましい。わ)「今回ベストアルバムがとても売れ行きがよくて、新宿のタワーレコードでは売り切れたそうです(ここで客席からおおーっという声)今までは一体なんだったんだ?っていう」ああ〜それは確かに思うかもですね。一番不思議に思っているのは椅子さんご本人方でしょう。「デビューして20年、これからも狂い咲いていきたいと思います!」王子様の力強いお言葉に客席から拍手。きらきらしたそのお姿が素敵です。そして初めて聞く「狂ひ咲き」これは正直最初アルバムで聞いた時はあんまりがっつりとこなかったんですが、先の王子様のお言葉とふまえて、そして実際に聞いてみると、「いまわのきわまで狂ひ咲き」ときっとした視線で歌い上げるそのお姿に、ロックという土壌に骨と血を埋める決意というか覚悟を見た感じがします。「羅生門」ああ〜こののったりしたヘヴィさがここちいい〜。まるで何層にも重なった上質のシーツの上に寝転んだようなここちです。最近の流行の音楽はラップとかのペコペコしたかる〜いリズムの曲ばかりでなかなか椅子さんのような「心地よいヘヴィさ」にめぐり合えません。「品川心中」の落語部分では以前のようにお座りしてはしませんでしたが、「20周年おめでとうございます〜、・・・誰もいないようですねえ。・・・足元にあるのはぞうきん、わたしが今すぐに欲しいのは定額給付金」ああっ、王子様のおちゃめっ。わたくしも欲しいです。「さいほう〜あみだ〜」のとこで三味線のようなライトハンドで弾くのは、ここ最近のことなんでしょうか?わ)「20周年のとこはあまりうけなかったけど、でも言えてよかったですっ」ここで王子様がダブルネックを手に。うーん、やっぱりかっこいいなあ。白髪のもさもさおっさんなのに、どうしてこんなにかっこいいんだろう。やはりロックの魔法なのでしょうか。ここでダブルネックに使う道具についてのおはなし。自分は楽器に詳しくないのでぴんときませんでしたが、使うと便利になるものらしいです。わ)「これまで色々プロモビデオを撮ってきました。「見知らぬ世界」で富士の樹海に行ったり、「りんごの泪」では鈴木くんが溺れかけたり・・・これからやる「夜叉ヶ池」は四分くらい経ってやっと僕らがでてくるんですが、今日は最初から出てきますので」あの曲のプロモは初めて見たときは衝撃でした、色々な面で(笑)つーかあのねーちゃんらいらねーだろとか思ったのは内緒です。王子様が歌うときに飛び散る汗やおんしずくまでふぇち的目線でがっつりんこと見てしまう自分。またいつものように自然に胸の前で両手組み乙女ポーズかましてしまいます。王子様にはきもい女とか思われてるかもですが、そうせざるをえないあなたが悪いのよっ(おいおい)
 さてここで王子様羽織をぬぎぬぎ。白い紐をおくちにくわえて、きゅっ!とたすきがけするそのお姿はいつ見ても凛々しくて素敵です。自分もたすきがけされたいっ、いやむしろ洋服のままであったとしてもそのままきゅっと縛られたい(これ以上は自粛ゾーン)このあたりかくらいでノブさんがはじめてMC。「はじめて椅子で福岡に来ました!」とごあいさつ。シンバルで顔が隠れて見えない側のお客さんのために・・・とわざわざシンバルをどけてくれます。け)「なんかまだ船に乗ってる感じがしますね〜」わ)「10時間以上乗ってたもんね〜」「け)「ノブが入るまで僕たちはあまりライヴをしなかったんですが、今は怒涛の勢いでやってます」け)「そう、いつもメールとパソコンそばで体育会系ブッキングだもんねっ」ここで王子様が携帯で電話をかけるようなジェスチャーをしながら体育会系ブッキング、を体で表現。にゃにゃ〜かわいい〜43のおっさんなのにっ。今回の福岡行きもノブさんのおかげで実現したとのこと。本当にありがとうございます。わ)「昔は売れっ子なんだか馬車馬なんだか、すごいブッキング入れられまくってたね〜」若かりし時のことをしみじみ思い出す様子の王子様に研ちゃん「僕がまだ69キロくらいでやせてて。今93キロですけど(ここで開場からえー!!の声が^^;)和嶋くんもひげもなくて、そんな和嶋くんがいんじゅうと言われていた頃の・・・AVでよくある淫らな獣、のほうではなくて陰の獣、とかいたほうで、い〜んじゅう〜」なんでその説明で(笑)この曲聞くのは二回目くらいかな〜。つくづくも20年前にこんな曲を既に完成させていたこと自体がすごいです。やはりこの人たちは天才、というか鬼才なんだなあと。「痴人の愛」報われぬ空しい愛欲を歌う王子様が切ないです。今回のツアー全体を通して思ったんですが、この人は歌にしてもギターにしても「身体全体で叫んでいる」感じなんですよね。体の奥底からみなぎる苛烈なまでの表現衝動に、まるでその体が壊れて血が噴き出すのではと思われるくらいの。そしてそれを受け止める側にも否応なく痛みを感じさせるような。年を経るごとに、ますますそれは激しくなってきたように思えます。でもってMCになると一気にほわんと脱力モードのおっさんになるところがまたたまらないというか(笑)鋭い刃と天使の羽根を併せ持つ本当に魅力的な人です。さて九州に着てから別府温泉に行ってきたという椅子さんご一行様。ノブさんがすっごくはしゃいで地獄めぐりしたようですが、け)「ノブにつきあわされて三番目くらいでダウンしました。疲労地獄です」ああ、まるでちっちゃい子供に振り回されて疲れる親のよう・・・ほのぼのであります。わ)「海地獄にいってきましたっ」と「別府温泉海地獄(海地獄と書かれたところが青い文字)」と書かれたタオルを見せてくれる王子様。自分もここ行った事ありますが、本当に綺麗なシアンブルーの源泉でありました。ここで売ってるゆでたまごも食べたのかなあ。「洗礼」研ちゃんの最後の長髪姿がこの曲のプロモで拝めるとのことですが、け)「今でも髪長いつもりで髪がないのに首振ってぴきってなります」あらら。「どっとはらい」ああ〜ヘヴィな曲が続いて気持ちいい〜。「どうぞこの音の中でごゆっくりおくつろぎくださいませ」と椅子さんご三方に言われているようであります。このあたりでノブさんが日野日出志先生大好きのお話。ノ)「日野先生になら抱かれてもいいって思ってます!!」ノブさんの爆弾発言。ですがいやらしく感じないのはやはりノブさんのキャラでしょうか。わ)「昔ドラえもんを日野先生がパロディで描いたので、ドラえもんもものすごく怖い感じで描いてあって、のび太がジャイアンに復讐するって漫画がもう一度読みたかったんだけど、見付からなくて」それ確か自分も以前どっかで見たような・・・(笑)ノ)「それはSF大全集に載ってたやつだね!俺そのために四冊も買いました!!」よ・・・よんさつ(^^;)しかもそれオークションとかコレクター価格で値上がりしてるやつとかだったりして。わ)「昔イカ天でそれぞれの大事なもの、好きなものを持ってくるコーナーがあって、そこで当時GENというバンドにいたノブくんが日野日出志のマンガもって来てて、いつか一緒にやりたいなって思ってました」それが数年後本当に実現するとは、まさしく運命ですね。そんな日野先生の漫画から作った「幻色の孤島」ああ〜もうどうにでもして状態であります。王子様のギターの音色と声にもうされるがままなすがまま、無抵抗のまま心がもっていかれそうな感じであります。わ)「昔は人間椅子にもキングクリムゾンみたいに、メンバーとは別に作詞する人がいればかっこいいなと思って。ピート・シンフィールドみたいな・・・って言っても、どんな人が顔わからないでしょ?」け)「うん、わかりませんね」わ)「で、友達の中にすごい詞を書くやつがいて、彼に曲を聞かせて詞を書いてくれと頼んだんですが、自分には無理だ、と断られて。それじゃ自分で書こうと思って書いたのが今からやる「猟奇が街にやってくる」なんですが。でももし彼に書いてもらってたら、また違う人間椅子になっていたかもしれませんね」と「ちょっといい話」的に持っていこうとする王子様に研ちゃん「あっ、すいません。ぼーっとしてました」と無情な一言(笑)わ)「CDでは疲れたおっさんの声になってますが、ここでは元気よく「ヘイ!」とお願いします!」ということでCDよりかなりテンポアップしている「猟奇が街にやってくる」いや〜これはライヴ向けの曲ですね。合いの手が楽しい〜。これからも定番的にやってほしいものであります。「オレ歌っちゃっていいですかー!!」とくればノブさんボーカルタイム。「道程」王子様と研ちゃんはこの曲をしている時いつもながら本当に楽しそうであります。そのまま怒涛のごとく「幸福のねじ」「針の山」と続きます。ああ、もう最後あたりの独特の疾走感と高揚感といったらばたまりません。そして一旦メンバー退場。その後も力強い九州男児の「アンコール!アンコール!」の声。いや、地元びいきで言ってるわけではありませんが、自分が行った中で一番アンコールの声が大きかったのは福岡だったと思います。俺たちはまだまだ足りないんだ!ずっと待ってたんだ!戻ってきてくれ!って熱気がひしひしと伝わってきましたよ。そして再登場された椅子さん。わ)「さっきは別府温泉の地獄の話をしましたが、青森にも地獄があります」との前ふりで「賽の河原」あー一度でいいから恐山にいってみたいなあ〜。王子様と地獄めぐりしたい・・・。「人面瘡」でも王子様のおんしずくが飛びまくりです。「愛して、憎んで・・・」のところなんか、何かが乗り移ったのかと思われるくらいに鬼気迫ってます。痛々しいけど、目をそらせない・・・そんな感じです。Be1ではちなみに一度も王子様ないしメンバーに触れられませんでした。近いようで遠い微妙な距離だったので・・・くっ。そういえば自分の後ろのほうで「和嶋さん好きだよー!」「ノブさーん、あにきー!」と言う声が聞こえてて女の子かと思ってたんですが、終演後見たら中学生くらいの男の子でした。そういえば六年前、お父さんお母さんに連れられて来ていた小さい男の子がいたけど、ひょっとしてその子だったのかな?ほのぼのであります。
 セカンドアンコールでは研ちゃんが自分は久しぶりに見るガクラン姿、ノブさんと王子様がツアーTシャツ(ノブさんがメンバー顔写真のやつで王子様が鶴マークのやつ)姿。わ)「これ物販のなんだけど、やっぱりガクランにはかなわないよね〜」ちなみにわたくし、福岡で早々にTシャツは購入したのですが、これが後々幸を奏しまして。研ちゃんはガクランの前をはだけ、せくしーな胸毛があらわになっております。でも研ちゃんってお肌が綺麗で、胸毛以外のところは毛が薄いからそんなグロい感じはないんですよね・・・ってひょっとして感覚が麻痺してるのかもしれませんが(^^;)け)「福岡の皆さんのご健康とご発展をお祈りして〜」とくれば「地獄風景」であります。ああ、早いなあ。なんだかあっという間であります。まだまだ物足りない・・・きっと皆様そう思っていたことでしょう。ドラムセットから前に出てきたノブさんに王子様「兄貴って呼んでください!!」自分のほうが年上なのに、お姉さんと二人姉弟の王子様はやはり兄貴的なものへの憧れがあるんでしょうか。かわゆいであります。け)「もんぺの似合うスーパーギタリスト、和嶋亭慎治〜!」確かに日本ロック界で一番もんぺが似合うのはあなただと思っております。来年といわず、年内にはもう一度来たい、とおっしゃっていた椅子さん。そうなってくれればどんなにか嬉しいことでしょう。この盛り上がりであれば、それもあながち夢ではないと思います。今回に限らず、また福岡をツアーの行程のなかに入れて欲しいものであります。福岡編はひとまずこれまで。


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