雲上の楽園で氷河を楽しむ

オーバーグルグルからホーエムートを経てシェーンヴィースヒュッテ


インスブルック→(列車)→エッツタールバーンホフ→(バス、ゼルデン経由)→オーバーグルグル→(リフト2台乗り継ぎ)→ホーエムート→ロートムース氷河先端展望地→シェーンヴィースヒュッテ(ランチタイム)→オーバーグルグル


インスブルックから東へスイス国境方面に列車で2、30分ほど行ったエッツタールバーンホフが、今回のハイキングの出発点である。
ここは、エッツタールと呼ばれるインタールから南へ分岐する全長60qを越すチロルで最も長い谷の入り口にある鉄道の駅である。

インスブルックから鉄道に乗りエッツタールの駅に降りると、そこは、小さなガストホフが一軒と店が数軒あるだけの閑散として寂しい駅前の様子だった。私たちのようにハイキング姿の人も駅にはあまり見あたらず、オーバーグルグル行きのバスに乗る人も少なく大きなバスは、がらがらの状態だった。ここは、スキーリゾートとして有名な所だと聞いていたので、夏のこの時期はハイキングを楽しむ人はあまりいなくて、シーズンオフなのかな、すいていていいや。とこの時は考えていた。

が、

バスが、谷の奥に入って行くと、ホテルや土産物の店が並ぶ賑やかな町を、次々と通過し、その停留所のたびにハイキング客が次々にバスに乗り込んできて、谷の中心の町ゼルデンに着く頃には、バスはほぼ満席となってしまった。ゼルデンの町を過ぎても、停留所毎に乗り込んでくるハイキング客は増え、終点のオーバーグルグル到着の頃には立っている乗客の出るくらいだった。
(今回の私のオーストリアの旅の間中、立って乗り物に乗る。というのは、長距離の列車、市内交通のバスや地下鉄、市電を含めてこの時だけだったように思う。)
谷に沿って集落が発達し文化も形成されたということが、何となく分かる気がした。

エッツタールは、谷の一番奥がオーバーグルグルとフェントの村に二つにわかれている。そしてオーバーグルグルの向こうには、2474メートルのイタリア国境の峠、ティンメルスヨッホを越えてイタリアのメランに通じる道路が、7月上旬から9月上旬の間開通している。かつての南チロル地方との交易であった道が1968年に近代的な車両道路として生まれ変わったということだ。


というわけで、私たちを含めて大勢のハイキング客は、オーバーグルグルからリフトを二つ乗り継いで、いっきに雲上の別天地標高2653Mのホーエムートに降り立った。ここにはレストランを併設した山小屋があって、ここから眺める景色は最高に美しい。小屋から続く草付きの広い斜面に登山道が見える。その先の尖ったピークがキルヒェンコーゲン(3280M)。その左の氷河がガイスベルク氷河、右がロートムース氷河。
近年、氷河はかなり後退縮小していて、氷河があるのは谷の上部だけになっている。


私たちは、ロートムース氷河に向かって、まっすぐにのびている登山道を進んで行った。
この辺りには、羊が放牧されてている。6月中旬にイタリアから峠越えをして、夏場をホーエムート一帯で過ごし、12月にまた帰っていくのだそうだ。この移動は700年以上前から続いているという。


とにかく、ロートムース氷河に向かってまっすぐに進み、最後にガレ場を登って、氷河を間近に眺められる所に着いた。


写真の奥がロートムース氷河


ここから、氷河の削った谷の底に向かって一気に下り、あとはシェーンヴィースヒュッテに向かってまっすぐに進んだ。

ランチタイムはここのテラスでのんびりと取り、そのあとオーバーグルグルまで歩いて下った。


帰りのバスも、オーバーグルグルを出るときは満員、次々と乗客が降り、駅に着く頃には、数名になってしまった。