ネタバレ感想 : 未読の方はお戻り下さい
黄金の羊毛亭 > シリーズ感想リスト作家別索引 > ビーフ巡査部長 > 三人の名探偵のための事件

三人の名探偵のための事件/L.ブルース

Case for Three Detectives/L.Bruce

1936年発表 小林 晋訳(新樹社)

 この作品では動機らしきものが複数存在することが示唆されているので、動機から犯人を指摘することは困難になっています。三人の名探偵による“解決”も、密室トリックの解明を足がかりに犯人を絞り込むという流れになっています。ビーフ巡査部長も含めて、それぞれの解明した密室トリックについて感想を書いておきます。

ロード・サイモン・プリムソルの解決
 ロープを使った脱出ですが、よじ登って上に逃げるのではなく、振り子のように使うことで横に逃げるという点がユニークです。ロープを片付ける共犯者が必要なところがやや美しくありませんが、なかなかよくできたトリックだと思います。

ムッシュー・アメ・ピコンの解決
 犯行時刻を後に見せかける時間差トリックですが、その手段が悲鳴だけというのはやや物足りなく感じられます。

スミス師の解決
 ロード・サイモンの解決のバリエーションですが、2本のロープによる×印が象徴的とはいえ、犯人やロープが発見されるおそれが強く、これを実行するのは無謀でしょう。

ビーフ巡査部長の解決
 被害者たちの悪戯を利用した、犯行時刻を前に見せかける時間差トリックです。悪戯に使われた偽の血痕(=赤インク)にはトリックが露見する危険性が含まれていますが、真犯人のウィリアムズは悪戯の首謀者であるサーストン医師に罪をかぶせるつもりだったのでこの点を問題にしなかったようです。逆に言えば、医師であるサーストンが真犯人だったとすればあまりにもお粗末なトリックだったわけで、最後のどんでん返しは妥当だと考えられます。

 上述のようにサーストン医師を犯人とするのは無理があるので、どんでん返しを用意したこと自体は妥当だと思いますが、そのためにみすみすサーストン医師を死なせてしまっているのは不満です。ビーフはすでに十分な証拠を入手しているはずですからウィリアムズとサーストン医師を二人きりにすることに何もメリットはありませんし、何よりその危険性に気づかないのは不自然です。

2001.08.13読了

黄金の羊毛亭 > シリーズ感想リスト作家別索引 > ビーフ巡査部長 > 三人の名探偵のための事件