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お楽しみの埋葬/E.クリスピン

Buried for Pleasure/E.Crispin

1948年発表 深井 淳訳 ハヤカワ文庫HM55-2(早川書房)

 第8章のフェンとブッシーのやり取りで、毒殺犯が警察関係者であることは予想できると思います。ランバート夫人が警察に駆け込んだことを知ることができて、すぐに対処ができるのは、警察関係者である可能性が非常に高いでしょう。主要な登場人物のうちで警察関係者は、スライ巡査、ウルフ署長、ハンブルビー警部の三人。この中で、スライ巡査は負傷していますし、ハンブルビー警部はブッシー殺害後に村にやってきたのですから、犯人はウルフ署長だと考えられます。

 ところが、ブッシー殺害で新たな謎が発生します。犯人はフェンとブッシーの密会をどうやって知り得たのか? さらには、なぜジェーン・パーシモンズが狙われるのか? 最終的に用意された解答は実に鮮やかです。双眼鏡の謎や、ジェーンの巻き込まれた事故が見事な伏線になっています。巧妙に組立てられた作品といっていいでしょう。

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 事件とは関係ありませんが、ラストで“ゴクツブシの豚”が死んでしまったのが非常に残念です。

2002.12.20読了

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