ネタバレ感想 : 未読の方はお戻り下さい
黄金の羊毛亭 > 掲載順リスト作家別索引 > ミステリ&SF感想vol.21 > 永遠の終り

永遠の終り/I.アシモフ

The End of Eternity/I.Asimov

1955年発表 深町眞理子訳 ハヤカワ文庫SF269(早川書房)

 この作品では、〈永遠〉は“現実”から切り離され、“時場”によって保護されているために、“現実矯正”の影響を受けないようになっています。技術士が“現実矯正”を行うために〈時間{タイム}〉へ入るときにも、場発生器によって“現実矯正”の影響から守られています。しかしながら、“時場”が開発される以前の過去を改変することは、当然〈永遠〉自体にも影響を与え得るわけで、このことが作中で重要な要素となっています。

 “時場”を利用して過去へと送り込まれたクーパー(マランゾーン)が“時場”を開発し、〈永遠〉の基礎を築いたというのが〈永遠〉に隠されていた秘密でした。ここで“因果の環”の始まりがどういうものだったかを考えてみると、おそらく本来は24世紀より後に“時場”が発明されて〈永遠〉が設立され、その支配時域を拡大するために24世紀へクーパー(あるいは他の誰か)を送り込んだのではないでしょうか。しかし“因果の環”の2回目以降は、〈永遠〉設立に関わる過去を改変することを恐れ、それ以上の拡大を目論むこともなかったのでしょう。

 ところで、解説にも書かれているように、この作品の終盤に描かれた“銀河帝国”というビジョンは、〈ファウンデーション・シリーズ〉など、アシモフの未来史へとつながっているようです。これらを読むと、この作品のラストも一層味わい深く感じられるのではないでしょうか。

2001.05.11再読了

黄金の羊毛亭 > 掲載順リスト作家別索引 > ミステリ&SF感想vol.21 > 永遠の終り