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ゆがんだ光輪/C.ブランドThe Three-Cornered Halo/C.Brand |
1957年発表 恩地三保子訳 ハヤカワ・ミステリ517(早川書房) |
本書の主要なエピソードは、ホアニータの聖者認定、世継を産むのを拒む大公妃、そして大公暗殺計画といったところでしょうか。
まず大公妃関連では、カズン・ハットとの会話で“ジェイン・シーモア”が話題に上ったその直後、
大公がホアニータの聖者認定の申請を渋る理由は、あまりにもぬけぬけとした真相で、さすがに苦笑を禁じ得ません。確かに、物語序盤に そしてクライマックスの場面、もはやローマ教会による認定が不要となるほどのすさまじい奇蹟が最高です。再三言及されていた、魚の鱗でできた代用真珠やエル・ビイエンクイストの自転車の電気といった小道具がうまく使われているのもさることながら、姿を現した“ホアニータ”の意外な正体が見事。そしてそれが、若き日のホアニータの突然の帰依の説明にもなっているところがまたよくできています。 さらに、爆弾が仕掛けられた香炉をカズン・ハットがあっさりと持ち去ってしまう展開や、その“奇蹟”に改心したトマーソが命がけで持ち出した香炉が爆発しないという愉快な結末、そして大司教の幸福な最期など、文句のつけようがありません。
*1: 「Infoseek マルチ翻訳」によればイタリア語もスペイン語も同じなので、ホアン語でも同じ言葉だと考えていいでしょう。
*2: 例によって日本の読者にはわかりにくいという難点はありますが。 *3: おそらく、自分の母親であれば“私の母親”(フランス語で“ma mere”)というべきなのでしょう。 2007.01.10読了 |
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