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ジェゼベルの死/C.ブランドDeath of Jezebel/C.Brand |
1949年発表 恩地美保子訳 ハヤカワ文庫HM57-2(早川書房) |
最も重要なのはやはり、首を使ったトリックでしょう。鎧兜という衣裳を生かし、アールの首を代役に立ててアリバイを確保するというアイデアは非常に秀逸ですし、ビジュアルなイメージも鮮烈です。しかも、使用済みの首をペピイに送りつけることで、警告の意味を前面に押し出し、首を切った真の理由を巧妙に隠蔽しているところも見事です。また、真犯人のブライアンが常にコートを持ち歩いていることで、首の持ち運びが容易になっているところもうまくできています。 さらにいえば、“自白合戦”をきっかけに“誰が赤騎士だったのか?”という疑問が焦点になっていくという展開そのものが、ミスディレクションとして機能しているところも見逃せないでしょう。ブライアンはかなり真相に近い“自白”を行っているにもかかわらず、ジョージ少年の証言によって、赤騎士の目が茶色だったという事実とともに白騎士の目が青色だったということも強く印象づけられ、ブライアンは赤騎士役の容疑者から外れると同時に白騎士役だったと認識されてしまうのです。 最後に、ブライアント・ワイズ→ブライアン・トワイス→ブライアン・ブライアンという、名前の洒落にはしてやられました。うまいものです。 2003.08.06読了 |
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