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ご存じの方にはいうまでもありませんが、ジョン・ディクスン・カーは1930年代から1970年代まで活躍したミステリ作家です(1977年没)。アメリカ生まれですがイギリスに長く在住し、大半の作品ではイギリスが舞台となっています。本名のジョン・ディクスン・カー名義、及び筆名のカーター・ディクスン名義(最初はカー・ディクスン名義だったが、後にカーター・ディクスンに統一された)で、多数の作品を残しています。
江戸川乱歩のエッセイ「カー問答」(短編集『黒い塔の恐怖』に収録)では、カーの作品の特徴として、不可能犯罪、怪奇趣味、ユーモアの三つが挙げられています。しかし、不可能犯罪はともかくとして、怪奇趣味とユーモア(どちらかといえば「ドタバタ喜劇趣味」といった方が正しいと思いますが)の二つについては、作品により、また時代により、かなり扱われ方にばらつきがあります。
それよりも、カーの最大の特徴は、その見事なストーリーテリングにあるといえるでしょう。提示される謎、手がかりの見せ方、そして真相の隠し方、いずれも一級だと思いますし、怪奇趣味やドタバタ喜劇趣味、さらにはよく描かれるロマンスなども、読者の興味を引くと同時に、真相を隠すためのミスディレクションとして、あるいは手がかりとうまく結びつけて使用されていることが多いと思います。
時には、あれこれと盛り込みすぎて過剰に感じられることもありますが、基本的には巧妙な作品が多いと思います。
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