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最終更新日12/06/19

コラム

コラム323

桜見

 今年の春に桜の咲く季節になって桜を見ていて、思えば去年は桜を眺めるような状況ではありませんでした。
放射能の所為で、そもそも外に出歩くこと自体が出来ない異常な状況でしたから・・。

その点、今年は元に戻ったとは言えませんが桜を見て春になったと言う事は実感出来ました。

私は毎年、富岡町の夜ノ森公園の夜桜を眺める事が好きだったのですが、去年から出来なくなりました。
第一原発から近すぎて立ち入りが出来ない場所のためです。

今現在で桜の場所は毎時3μシーベルト以上の放射線があるらしく長期に渡って人の立ち入りが出来る状況ではない・・・。

私個人が今回の原発で立ち入りが出来なくなった場所によく出かけていた事から場所に行けなくなった・・・それが一時ならばともかく何年何十年にかけて人が出入りできない・・それを正しく理解する事を私は出来ていません・・・。

多分、私が思うに人間がその場所で生活すると言うことは生活のライフラインがなければその場所で生活を続け事は出来ません。

単純に電気、水道があっても周りに店や病院や学校などがなければ、その場所で複数の人間が生活を続けることは出来ない。

しかも、その場所では放射能の影響が強い、子供の場合は特に影響が懸念される、でも放射能による肉体への影響度合いは分からない・・となれば子供をその場所に戻さないと言う考え方になるのでしょうから、その地域に子供が居ない、例え大人だけがその場所に帰ったとしてもその地域を担う未来の人が居ない。

子供が居ないのであれば、将来的には衰退する筈です・・・。

結局、放射能が存在したことでその場所に人が再び住む事を困難にさせている気がします。

避難が長期化すれば、再びその地域に人が住むようになるのではなく、住んでいたのは過去の地図だけの話になってしまいそうです・・・・。

すでに事故から一年が過ぎましたが・・・・何も進展していない気がします。

放射能の数値も殆ど横ばいで低下もせず変わらないまま。測定器の周りを除洗して数値を下げてもその周りの数値は高い・・。

長期に渡って放射能に曝されている様な状況が続くと言うのであれば子供を気にする家庭は更に引っ越していってしまうように思います・・。

私が住んでいる場所ですら0.1〜0.3μぐらいの放射能が測定されている。
その数値が本当に問題ないと言う根拠も分かっていない状態で生活を続けていると言うことは本来であれば異常な話です。

それでも去年の桜と今年の桜を見たときの精神的な状況は大きく違いますが、来年また桜を見た時にどうなっているのか・・・正直分かっていませんが・・。

桜をのんびり見る事は当分なさそうです・・。

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