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車その他

最終更新日08/05/19

 半田(共晶半田)について

半田クラックについて

  

◆始めに

半田

◆まとめ    
始めに        
ビートの純正オーディオで半田クラックが発生した件についてまとめてみました。

又、電解コンデンサ寿命についても過去に何度か書いていますので電解コンデンサについては「車その他」の電解コンデンサを参照ください。

半田  

一般的に電子機器の寿命というのは電子部品の寿命よりも半田付け部の寿命によるものと考えられています。

現在は鈴+鉛の合金である共晶半田から環境問題で鉛の入っていない鉛フリー半田(鈴+銀+銅等)へ変わっていますが平成10年よりも昔であればまず共晶半田が使用されていると思います。

半田(共晶半田)は融点が低く使いやすい事から電子全般に使用されていますが融点が低いと言う事は融点が高い材質(鉄など)と違って常温(25℃)でもかなり熱ストレスを受けていると言う事です。

例えば融点温度が共晶半田184℃、鉄が1535℃と言う事は常温25℃で考えると共晶半田の場合、融点温度まで159℃しか温度差が無く、鉄の場合ならば1510℃の差があることからも常温で常に熱影響を受けている訳です。

そのため半田は熱による影響をまともに受けやすくビートのオーディオで半田クラックが発生してのは部品自体の発熱や直射日光による室内の熱影響による熱収縮をまともに受けます。

そのため、劣化が進みやすい上に基板の膨張係数と半田の膨張係数、部品の膨張係数の差によって更に劣化します。

半田の膨張を防ぐ方法として基板の収縮を抑えるのが一番良く。一般的に良い基板材質はガラエポ製であり紙フェノール、アルミ製などの場合は材料の収縮が大きい為に長時間の使用では半田クラックが起き易くなります。

しかもその際に電子部品と基板との収縮の間に半田がある為に両者の膨張を抑えきれなくなって半田がクラックしてしまうと言うことです。

今回のオーディオ基板は見た目から紙フェノール製のようなので収縮が大きいと言えます。

じゃあ、今回の半田リタッチ(半田盛り)をしたとしてもまた同じ結果になると思われますが自動実装(SMT/DIP)による半田付けよりも半田ごてでリタッチして半田をてんこ盛りに増量した場合とを比較すると一般的にリタッチで1.3〜1.5倍程度の寿命といわれていますので期間としては十分でしょう。
年式的に次は無いと思ってますし(笑)又、この作業をする事でメーカー保障を受けられなくなる可能性がありますので安易に手を出す事には注意してください。

まとめ        

結局、ビートやNSXで私が経験した電解コンデンサや半田クラックというのは何も特殊な話ではなく長年使用した電子基板の話としてはごくごく普通の話です。

長期間の使用によって劣化による発生するものに過ぎません。

恐らくこれらの寿命についてはメーカー側としては信頼性試験、加速試験などによって寿命予測しているでしょうが半田に限らず車の寿命予測でメーカーが10年持つとしてもそれは実際の寿命として10年間持ったわけではない事からも実際にその年数を経過しないと本当の事が分らないというのが事実です。

恐らく車や電化製品で新品でのリコールやクレームが増えたのはこれらの品質に関する評価に時間やコストをかける事がメーカー側で減ってしまったのでしょう。

使用環境や使用方法によって寿命は大きく変わりますので、実際の寿命は実際にして見ないと分からないと言えます。

昔、半導体は故障しないと言われていましたが今では故障すると言いますからその事からも予想寿命と実寿命が違っていたのだろうと推測しています。

私はこの手の仕事に携わった為かメーカー保障や寿命については猜疑心の目で見てますけどね。
私個人としては10年を一つの基準として良し悪しの判断しています(あくまで私個人の場合ですけど)。

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