明治
@地券を読んでみる  A製糸工場の女工を体験する

@地券を読んでみる

 地券での授業実践はすでにいろんな形で紹介されている。私の場合、地券を神田の古本屋街で手に入れた。ちょうど山梨県の地券があったのでそれを入手した。500円であった。それをコピーして、授業中生徒全員に配る。そして、読ませて、読み下し文を書かせる。つまり、古文書解読である。地券は近代の古文書で、比較的単純なので生徒にとって読み下しやすい古文書であろう。これをやらせようとするとき、生徒は「え〜」というような反応をするが、そのあと、二つの反応に分かれる。一つは、おもしろがってやる生徒。もう一つは、つまらなそうにしょうがなくやる生徒(もっともどんなアイデアも生徒の反応はこのように二つに分かれるが)。私が毎年配布している地券は下のようなものである。生徒が用紙に読み下しを書いたあと、正解を配布する。そして、訂正させながら、地券にはどのようなことが書いてあるか確認する。

 

 


明治十一年七月廿七日   山梨県

 

右検査之上授与之  

 

 此百分ノ弐ケ半 金五拾六銭六厘

 

明治十年ヨリ

 

 此百分ノ一 金六拾八銭                地価           

外 拾歩  畦代

一 田 三畝五歩

 

   

持主

原田兵三郎

 

甲斐国八代郡清野村坪井第千四百六拾弐番

 

      

 

    地券 明治八年改正

 

弐拾弐円六拾五銭三厘
地租
A製糸工場の女工を体験する
 製糸工場での女工たちの物語はいろんなことを考えさせられる。
 本物の繭と生糸を手に入れることからはじめた。昔は山梨県も桑畑があちこちにあり、養蚕や製糸業が盛んであったが、今はすっかり衰退している。それでも電話帳を見て、繭の卸業をしているところをみつけて、電話をしてみた。学校の教材として使いたい旨を話したら、是非おいで下さいとのことであった。次の日、訪問してみると、白髪の男性が歓迎してくれて、ただで繭玉を数十個、生糸の束もくださった。そして、県内(日本)の養蚕・製糸関係は中国産等におされて、すっかり衰退していることなどを残念そうに話された。そして、それらの繭玉はタダ(無償)でくださるとのことであった。ぼくも感謝し、生徒達は、カイコも繭も知らないし見たこともないからというような話をした。
 授業では、昔の製糸工場のビデオをみせたあと、繭を一人ひとりの生徒に持たせ、カッターで中をあけてみさせたり、カセットコンロと鍋をを教室に持ち込んで、実際にお湯で煮て繭をほぐし糸をとってみた。
 さらに、製糸工場で働いた女性たちが過酷な労働条件に置かれていたこと、さらに、「女工哀史」や「ああ野麦峠」の話などをした。地図のコピーを配付し、実際の野麦峠を探させた。飛騨−野麦峠−諏訪までのルートも確認させた。