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江戸時代(幕末)
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@新撰組、坂本竜馬を軸に幕末、明治維新を描く
幕末という時代はむずかしく微妙である。戦国時代にならぶ激動の時代でありドラマや小説などにも盛んに描かれ、この時代に関心をもっている生徒も多い。反面、激動の時代であるがゆえ、公武合体、尊皇攘夷などの複雑な対立関係や同じ年に次々と起こる様々な事件や抗争があり、興味関心のない生徒は消化不良に陥っていく時代でもある。
私は、実はこの時代にあまり関心がないこともあって、前からこの時代の指導に苦労していた。羅列的な説明で終わってしまっていた。反省して、教師自らがこの時代に興味を持たねばと思い、司馬遼太郎の「竜馬がゆく」を読みながら、竜馬を軸に考えればもっとわかりやすく説明できるのではないかと考えた。
次のようなやり方で坂本竜馬を中心に幕末を描くのである。
1)新撰組と坂本竜馬について知っているかどうか確認することから授業をはじめる。その際、新撰組の旗を見せて「この旗がなんの旗か知っているか」尋ねたり、竜馬の写真をみせながら導入の話にする。
2)開国後の対立を親幕府対反幕府の対立でまず説明する(いきなり公武派、尊攘派で説明すると混乱する生徒もいるので)。幕府側は京都守護職松平容保が新撰組を組織したことを重々しく語る(新撰組の掟、近藤勇、沖田総司などの逸話にふれる)。一方、そのころ竜馬は剣の達人として修行していたことでなどにふれる(寝小便小僧だったことなど竜馬の逸話などにもふれる)。
3)新撰組の起こした池田屋事件<1864>を中心に、その前後の八月十八日の政変や禁門の変、長州征討を語る。
4)「こうした親幕府対反幕府の殺し合いを嘆いた人物がいた、それはだれか」と生徒に問い、坂本竜馬に注目させる。
5)船中八策を引用して坂本竜馬の夢を次の二つにまとめて説明(日本史資料集に載っている)。
A殺し合いではなく話し合いによる政治の実現 B貿易の発展やそのための海軍の充実を唱えたこと
6)Bの夢の実現のためにつくった会社の名前として「海援隊」にふれる。
私は実際の授業でこの会社の名前を生徒に問いかけた時、ヒントとして海援隊の「贈る言葉」のCDをかけた。生徒はその曲名とグループ名はすぐにわかったようである。でもこの武田鉄矢率いるこの音楽グループがなぜ海援隊という名前なのかは知らない生徒がほとんどである。そこで、武田鉄矢が坂本竜馬を尊敬していること。「3年B組金八先生」でも彼は主人公「坂本金八」を名乗っているが、その「坂本」という名字は坂本竜馬からきていること。ドラマでも金八先生は坂本竜馬を尊敬している人物として描かれていること。(ちなみに「金八」とは、昔このドラマは金曜の八時にやっていたからだということにもふれた。なお私はその第一回金八先生の時にちょうど中学3年生であり、その時生徒役で出演していた近藤真彦らと同い年である。あの人気ドラマは、当初そんな形ではじまったなどなどと話してしまった。このドラマは生徒に未だ大人気である。生徒たちが金八先生の話をしていることを何度聞いたことか。
7)Aの目標実現のために、薩長連合、大政奉還などを実現させたことにふれる。
彼は殺し合いには意味がないと考え、話し合いによる政治をめざしていたから、これらのことを成し遂げたんだということを語る。
8)しかし、このようなことをしているといろんな人たちから恨まれる。坂本竜馬は京都近江屋で暗殺されるが、だれがヒットマンをし向けたか、だれに恨まれたか生徒に考えさせてもよかったかもしれない。
9)結局、竜馬の死後、彼の願いむなしく幕府側と討幕派とが戦争になり(戊辰戦争)、明治維新が起こる。明治新政府によって出された五箇条の誓文には、広く会議を起こすということと、外国との交流を深めていくということと、まさに竜馬がめざしたことがうたわれていることを確認する。
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