円形性脱毛症について

サノ皮膚科クリニック

円形性脱毛症は原因不明で脱毛をきたす病気ですが、自分の毛包(毛穴)を外敵と誤認して攻撃するために毛が抜ける自己免疫疾患ではないかと言われています。

劇的な効果のある治療法は残念ながらありませんが、気長に治療を続ければ、少数の脱毛があるだけの場合80%は1年以内に治癒します。

発症しやすい要因としては、近親者が発症、アトピー性皮膚炎などがあります。

精神的ストレスははっきりとした因果関係はありません。

分類

①通常型円形性脱毛症…脱毛が単発の単発型と複数の多発型があります。

②全頭脱毛…脱毛が頭全体に拡大したもの。
③汎発性脱毛症…脱毛が全身に拡大したもの。

④蛇行状脱毛症…頭髪の生え際が帯状に脱毛するもの。

経過

①の単発型と少数多発型の場合、80%は1年以内に治ります。

②、③、④の場合は治りが悪くなり、脱毛の面積が広いほど治りが悪くなります。

また、他の病気に伴って起こる脱毛症は治りが悪くなります。

合併症

 甲状腺疾患(橋本病など)、尋常性白斑、膠原病(SLEや関節リウマチ)、1型糖尿病、重症筋無力症などの自己免疫性疾患やアトピー性皮膚炎

検査

通常の円形性脱毛症では検査しても、原因となる異常はあまり見つかりません。

頭部全体に毛が薄くなる場合は念のため、採血をして甲状腺の病気や膠原病や糖尿病を調べる検査をします。

治療

通常は、ステロイド外用剤(strong以上の強さ)を外用します。その他養毛剤のフロジン液とグリチロンとセファランチンの内服は試してもよい治療です。

アトピー性皮膚炎を合併している場合は、抗アレルギー剤(エバステル等)内服は試しても良い治療です。

脱毛が頭部全体の25%未満で、長期間症状が固定した難治性の場合は脱毛部にステロイドの注射を4週から6週に一度うちます。ただし、小児には行いません。

液体窒素での凍結療法は単発型および多発型の人に、試しても良い治療ですが、保険は使えず、痛みを伴う治療です。

脱毛が頭部全体の25%以上で、かつ症状が固定している場合、脱毛部をかぶれさせて治す局所免疫療法を行いますが、かぶれさせる薬剤(SADBE またはDPCP)が、自家製剤で大学病院などの脱毛外来にしかないので、この治療法をおこなう場合は大学病院への紹介となります。

紫外線療法は広範囲の脱毛症に試しても良い治療です。

急速に進行する広範囲の脱毛で発症6ヶ月以内の場合は大学病院に入院して大量のステロイドを点滴する治療を行う場合があります。

長期間症状の固定した広範囲の脱毛ではかつらの使用も推奨します。 

参考文献 日本皮膚科学会円形性脱毛症ガイドライン2017 

20204月改訂)

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