白斑について
サノ皮膚科クリニック
尋常性白斑・・・原因不明で長い年月をかけて徐々に拡大していく白斑で、人口の0.5%~1%がなります。
治療 以下の推奨度は日本皮膚科学会のもので、A推奨(行うよう強く勧められる)、B推奨(行うよう勧められる)、C1推奨(行うことを考慮してもよいが、十分な根拠がない)、C2推奨(根拠がないので勧められない)、D推奨(行わないように勧められる)、です。
1)ステロイド外用 有効性が証明されており、体表面積の20%以下の白斑ではA推奨で第一選択です。20%を超える白斑ではB推奨です。
2)プロトピック軟膏(タクロリムス軟膏) 治療効果が高い可能性があり、3~4ヶ月で効果判定を行います。B推奨です。ただし、保険での処方は認められません。
3)紫外線療法 PUVA療法とナローバンドUVB照射療法がB推奨です。成人の患者に対する治療としてはナローバンドUVB照射療法の方がPUVA療法よりも治療効果に優れ、保険も使え、紫外線療法の中では第一選択です。他にC1推奨のエキシマレーザー/ライト照射療法があります。
4)ビタミンD3外用剤(オキサロール軟膏など) 単独使用では効果が弱く、PUVA療法とナローバンドUVB照射療法と併用することは行うことを考慮してもよくC1~C2推奨です。ただし、保険での処方は認められません。
5)ステロイド内服 進行性の場合行ってもよくC1推奨です。軽症の白斑では副作用を考えると行わない方がよいと思います。
6)植皮手術1年以内に進行のない場合で、美容上問題のある場所に限って行われ、A~C1推奨です。
その他、液体窒素も使われることがありますが、保険は認められません。
白癜風(しろでんぷう)・・・癜風菌というカビによる病気で、抗真菌剤を外用します。色が出るには時間がかかります。
白色粃糠疹(はくしょくひこうしん)・・・単純性粃糠疹とも呼ばれ、小児乾燥性湿疹、アトピー性皮膚炎で多く見られます。湿疹があれば治療し、なければ治療せず経過を見ます。成長とともに軽快します。
老人性白斑・・・加齢による小さな白斑で、有効な治療がないため治療は行いません。
美白剤による白斑・・・カネボウ化粧品の美白剤に含まれるロドデノールによる白斑です。
尋常性白斑と区別するのが難しいのですが、ロドデノールを使用した部位のみに白斑が出た場合は、美白剤が原因の可能性が高くなります。美白剤の使用を中止すると少しずつ軽快することが多いのですが、あまり変わらない人もいます。尋常性白斑と同様の治療を行う場合もありますが、効果はわかっていません。
ロドデノールによるものと診断をつけるのが難しいので、ロドデノールが原因として疑われる白斑は当院では東京医科歯科大学の皮膚科に紹介しています。
参考文献 尋常性白斑診療ガイドライン 日皮会誌:122(7),1725-1740,2012 、 ロドデノール誘発性脱色素斑症例における二次全国疫学調査結果 日皮会誌:124(14),3125-3142,2014
(平成27年1月作成)