皮膚そう痒症ついて                 サノ皮膚科クリニック

 

皮膚そう痒症(ひふそうようしょう)とは・・・発疹がないにもかかわらずかゆみがある場合を皮膚そう痒症という。

Ⅰ)皮膚そう痒症にはどのようなものがあるか

1)広い範囲がかゆくなるそう痒症

①特発性皮膚そう痒症・・・原因不明のもの。

②加齢性皮膚そう痒症・・・加齢によるもので皮膚の乾燥を伴うことが多い。

③症候性皮膚そう痒症・・・他の病気が原因のもの。腎疾患(慢性腎不全、血液透析など)、内分泌・代謝疾患(甲状腺機能異常、糖尿病など)、血液疾患(悪性リンパ腫、白血病など)、悪性腫瘍、神経疾患(脳血管障害など)、精神障害、その他(寄生虫など)。

④妊娠性皮膚そう痒症・・・妊娠に伴うもの。

⑤薬剤性皮膚そう痒症・・・薬剤によるもの。多くの薬剤で起こる可能性があるので、特定は難しい。薬剤をやめてみるしか確かめる方法はないが、薬剤によるものは少ないと思われる。

⑥心因性疾患による皮膚そう痒症・・・かなりあると思われるが、確かめることは難しい。

2)体の一部がかゆくなるそう痒症

①肛囲・陰部そう痒症・・・軽度の湿疹を伴っていることが多い。

②頭部そう痒症・・・頭部のみがかゆいもの。

Ⅱ)皮膚そう痒症の検査

①血液検査・・・血算、白血球分画、BUNCre,、胆道系酵素などの一般検査、甲状腺機能検査、血糖値など。

②血液検査で異常が無く、原因不明で、頑固なかゆみが長期間続く場合は、大学病院等で内臓悪性腫瘍の検索を行う。

 Ⅲ)治療

皮膚そう痒症は良い治療法がないことが多いが、以下の治療法を試してみる。

①保湿剤・・・皮膚の乾燥を伴う場合はかゆみの軽減が期待できる。加齢や糖尿病や腎不全に伴うものは皮膚の乾燥があることが多い。

②抗ヒスタミン剤・・・無効なことも多いが、まず第一に試してみる方法である。

③ステロイド外用剤・・・湿疹を伴っている場合は使用する。特に肛囲は軽度の湿疹を伴っていることが多い。

④止痒剤外用・・・オイラックスHが従来使われているが、効果は不明である。

⑤ブロードバンドUVB・・・腎障害に伴う皮膚そうそう症には試みても良い治療である。ただし当院にはナローバンドUVBしかないため施行できない。

⑥レミッチ内服・・・血液透析患者および慢性肝疾患患者には有効である。ただし、高価な薬である(1日の薬価1346円)。

 

参考文献・・・皮膚そう痒症診療ガイドライン2020

20208月作成