イボについて サノ皮膚科クリニック
イボウイルス(ヒト乳頭腫ウイルス)の感染によって生じます。イボのウイルスは何十種類もあり、出来る部位によって外見がかなり違います。外見や出来る部位の違いにより、尋常性疣贅(普通のイボ)、青年性扁平疣贅、尖圭コンジローム、などと呼ばれます。
感染の経路は不明のことが多いですが、直接人から人に感染する場合と、環境から感染する場合があります。普通のイボでは手の指や足の裏など外傷を受けやすいところに多いことから、目に見えないような細かい傷からウイルスが入ると考えられています。また引っ掻き傷からウイルスが入ることがわかっていますので、イボを引っ掻いたり触ったりしないようにしなければなりません。感染するとすぐにイボとして発症するのではなく、数週間から数年かけて出現すると考えられています。
イボの治療。皮膚科学会の推奨度は、強く勧められる治療がA。勧められるのがB。考慮しても良いがC1。勧められないがC2.行わないがDです。
@ イボを液体窒素で凍結するのがA推奨です。凍結は2週間(1〜3週)に1度の割合で何回も行いますので、治るまでにかなりの時間がかかります。
Aサリチル酸を外用したり貼ったりするのがA推奨ですが、液体窒素凍結療法より効果が落ちます。@とAを併用するとより効果が増します。
Bヨクイニンというハトムギからできた薬を内服するのがB推奨です。若年であるほど有効率が高く(71〜57%)、成人では低い有効率(20%)になります。
イボが治るまでの通院回数は、平均十数回といわれていますが、個人差が大きく、2〜3回で治る人もいれば、何十回もかかる人もいます
青年性扁平疣贅でも、ヨクイニン内服や、液体窒素による凍結をおこなったりしますが、普通のイボより治りにくいのが普通です。
また、C電気凝固とDレーザーとE接触免疫療法がB推奨ですが、行う医療機関は限られ、DEは自費診療になります。
その他、FビタミンDの軟膏を塗って、ラップでおおったり、ビタミンDの軟膏を塗った上に、スピール膏をはる方法がC1推奨ですが自費診療になります。
G尖圭コンジロームのみ、ベセルナクリームを週3回16週間外用する治療法があります。
日常の注意としては
気にして引っ掻いたりしないこと、
イボに気付いたら、増えないうちにすぐ治療を始めること、などが大切です。プールや入浴、通学など通常の生活は普通に行って構いません。
その他の注意としては
小学生ぐらいまではウオノメはまず出来ませんので、ウオノメ様のものが出来たらイボと考えて間違いありません。
イボコロリやスピール膏ではがれるところより深いところにイボウイルスはいますので、イボコロリやスピール膏だけではなかなか治りません。皮膚科で液体窒素による治療をうけましょう。
参考文献 日本皮膚科学会尋常性疣贅ガイドライン2019
(2020年5月改変)。