抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤について  サノ皮膚科クリニック

 

 抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤には以下の役割があります。

1)かゆみを止める。

2)発疹を出なくしたり、軽くしたりする(紅斑抑制作用)。とくに、じんま疹ではこの薬で発疹を出なくしていますので内服が絶対に必要です。その他湿疹(アトピー性皮膚炎、かぶれ、慢性湿疹など)などでも、内服により軽くなったり、早く治ったりします。

3)鼻水を止める。

4)アレルギー性鼻炎や喘息を予防する(抗アレルギー剤のみ)。

 以上のように、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤の役割は単にかゆみを止めるだけではありません。例えばじんま疹では、発疹を出なくする働きをしていますので、発疹が消えても、薬が切れたら、発疹がでるので継続の必要があります。アトピー性皮膚炎やその他の湿疹や薬疹も抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤を飲んでいる間は発疹が出にくくなります。従ってかゆみがなくても抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤を飲み続けた方がよい場合が数多くあります。ただし、体質改善などの効果はありません。

 抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤の副作用

 眠気、口が乾く、などが多い副作用ですが、薬によりその出る頻度はかなり違います。また、個人差が大きく、同じ薬でも全く眠くない人から、眠くてどうしようもない人までさまざまです。

車の運転をする方や、危険な作業をする方、勉強をする方へ…一部の薬では、車の運転や、危険な作業が禁じられています。実際眠気を感じなくても、車の制動距離が伸びたり、計算能力が落ちたりします。従ってこのような方は眠気の少ない(非鎮静性で車の運転が禁止されていない)薬を使います。

なお、アゼプチン、アレロック、ザチテン、ジルテック、ザイザル、ゼスラン、レミカット、ルパフィンおよび昔からある抗ヒスタミン剤(ペリアクチン、ポララミン等)は運転等禁止、アレジオン、エバステル、タリオンは運転等注意、アレグラ、クラリチン、ビラノア、デザレックスは運転等の注意なしです。

昔からある薬(ペリアクチン、ポララミン等)は副作用が大きいため、なるべく使いません。また緑内障や前立腺肥大の方には使えません(ゼスランも)。また、乳幼児、小児ではペリアクチン、ポララミン等は痙攣を起こしやすくするので原則として使いません。

 妊婦のかたや、授乳中のかたへ… なるべくこの薬は使いませんが、じんま疹など、どうしても内服が必要な場合は薬を選んで使います。 一般に催奇形性はあまりありませんが、より安全性が高い薬(ジルテック等)を使います。授乳により、母乳に移行する薬の量はわずかですが、乳児も使える薬の方が安全です。なお、米国の小児科学会が授乳中も安全として推奨している薬(アレグラ、クラリチン)がありますので、なるべくその薬を使います。

 検査への影響…発疹を抑えるという作用がありますので、ツベルクリン反応や、パッチテストがうまくでない場合があります。したがって、これらの検査の時は内服を中止します。 (20202月改定)