爪白癬(爪水虫)の治療について       サノ皮膚科クリニック

  爪の水虫は内服が原則ですが、病型によっては、外用でも治ります。

爪白癬で外用薬を使う場合。

1)表在性の水虫の場合表面を削って爪外用液を塗ると治る場合が多いので、外用液が第一選択になります。2)爪の先と横の水虫で軽度の場合、外用で治ることがあるので、試してみてよいと思われます。3)他の病気や、内服薬の飲み合わせで水虫の内服薬が飲めない場合。4)どうしても飲みたくない場合。

内服薬は下記の3種類です。

 @テルビナフィン(ラミシール錠) 有効性、価格、併用禁忌(禁止)薬剤が無いことなどから、内服薬の第一選択薬です。足の爪で半年間の内服が必要です。1日1回の内服ですみます。妊婦は使えません。半年飲んだ時点では、爪の先に白い部分が残る場合が多いですが、その時点で内服を中止しても、爪に残留した薬で爪が1回生え変わると(爪の伸びる速度により違い、人により1〜2年)治癒します。副作用としては、肝機能異常が1〜2%の人で出ますので、内服前、1ヶ月後、2ヶ月後その後2〜3か月に一度肝機能の採血が必要です。胃腸障害がでることもあります。併用注意薬剤は、シメチジン、リフアンピシン、EPホルモン剤、三環系抗うつ剤、シクロスポリンで原則として併用はしません。シメチジンは胃薬として市販されているので、市販の胃薬は医師に相談なしに飲まないでください。

Aネイリンカプセル 内服が12週で終了するのが利点ですが治るのには@同様の期間が必要です。肝機能異常が出る人がいますので、@と同様の採血が必要です。併用注意はCYP3Aにより代謝される薬剤(シンバスタチン、ミダゾラム等多数)、ワルファリンです。催奇形性があるため、妊婦には使えず投与終了後も3ヶ月の避妊が必要です。

@  と比較すると、高価である、副作用が多い、薬の飲み合わせ(併用注意薬剤)が非常に多い、避妊が必要、効果がややよい、内服期間が短いなどがあります。以上から第二選択薬といえます。

 Bイトラコナゾール(イトリゾール) @より効果が劣り、@より高価で、併用できない薬が多いので、第三選択薬になります。1回4カプセル1日2回内服を1週間つづけ、3週間飲むのをやめることを3回(3クール)繰り返します。肝機能異常が出る人がいますので、@と同様の採血が必要です。また、併用禁忌(禁止)薬剤、併用注意薬剤は非常に多数あります。

 爪白癬の外用薬について 

 Cクレナフィン爪外用液10% 1148週間外用してその4週間後の治癒率が約18%です。今までの外用薬に比べると治癒率は格段に高いと思われますが、内服薬とは比べ物にならないぐらい低い治癒率です。また、1本約6000円(3割負担で1800円)と高価です。ハケが付いており、Dより塗りやすく、かぶれも少ないです。開封後12週間で廃棄します。

Dルコナック爪外用液5% 1148週間外用した時点での治癒率は15%で、Cとほぼ同等です。1本約3500円(3割負担で1050円)でCと違い12週間で廃棄する必要が無いため、Cに比べ安価です。副作用でかぶれることが4%あり、その他の皮膚炎も数%出るので、Cより合わない可能性は高いと思われます。

C、Dとも爪の厚みが3ミリ以上ある方や爪の根元に水虫のある方は、外用薬の開発実験の対象から外しているので、上記説明より治癒率が悪いと思われます。また、開発実験では、爪を削るのは禁止ですので、爪の表面を削れば、治癒率が上がると思われます。また、治癒判定は52週で行っていますが、爪が生え替わるのに、1年以上かかる場合があるので、もう少し経過をみれば、さらに治癒率は上がると思われます。A、B、Dは爪カンジダにも効果があると考えられるので、カンジダやその他の爪真菌症と区別がつきにくい爪白癬には、これらの薬を使います。(20218月改変)