ニキビ(ざ瘡…ざそう)の外用薬について        サノ皮膚科クリニック

 

はじめに…ニキビは毛穴がかたくなって詰まり(角化異常)、中で細菌(誰でも持っている常在菌で他人にうつる菌ではありません)が増えて起こる病気です。

従って、1)角化をおさえる薬のレチノイド(ディフェリンゲルなど)、2)細菌を抑える抗菌剤(ダラシン、アクアチム、ゼビアックス)、3)抗菌作用と角層剥離作用と抗炎症作用を持った過酸化ベンゾイル(ベピオゲルなど)が、3大外用治療薬です。

@ディフェリンゲル…「めんぽう」(毛穴の詰まったもの)に対し、改善効果が高く、毛穴の皮膚の角化を正常化させ、新たな「めんぽう」が出来るのを防ぎます。これにより、「めんぽう」に引き続いて生じてくる「炎症性皮疹」(赤いボツボツや膿を持った発疹)も予防することができます。副作用は、落屑(かさかさ)、紅斑、乾燥が80%、灼熱感、かゆみが20%程度の患者さんにみられますが、多くは軽微な症状で、一時的なものであるため、使用継続が可能です。12歳以上の患者さんに使います。妊婦の方、授乳中の方は使用で来ません。顔のニキビにのみ使用します。外用中は日光などの紫外線に過度に当たらないようにします。そのため、11回寝る前にぬります。

Aダラシンゲル、Bダラシンローション…抗生物質のダラシンが入った薬です。1日2回塗ります。抗菌作用の他、抗炎症作用もあります。

Cアクアチムクリ−ム…抗生物質の入ったクリームです。きれいに洗った手で11回夜洗顔後つけます。刺激が少ないので、皮膚の弱い方、乾燥肌の方などに向いています。

Dアクアチムローション…アクアチムクリームより毛穴をふさがないので、より効果的と思われます。1日1〜2回ぬります。

Eゼビアックスローション…1日1回の外用で効果がある新薬です。

Fベピオゲル…抗菌作用と角層剥離作用と抗炎症作用を持った過酸化ベンゾイルです。乾燥や刺激感などの副作用が出る場合があります。

Gデュアック配合ゲル…過酸化ベンゾイルと抗菌剤(ダラシンと同成分)の合剤です。

Hエピデュオゲル…@とFの成分の合剤で、効果は@、Fより優れていますが、副作用は@、Fより多いので、@、F、Gで効果が不十分な場合や、最初から最も効果のある薬を使いたい場合に使います。

注意:過酸化ベンゾイルは40人にひとり、かぶれます。かぶれはほとんどが3週間以内に起こりますので、ベピオゲル、デュアック配合ゲル、エピデュオゲルは3週間は皮疹の一部のみ外用します。

Iイオウカンフルローション…硫黄の入った液で昔から使われていますが、ニキビに対する効果ははっきりしないため、第一選択薬ではありません。

 A、B、C、D、Eは抗生物質の外用薬で、「炎症性皮疹」に使用します。@、Fと併用も行われます。

結論 外用薬についてはディフェリンゲル、ベピオゲル、デュアック配合ゲル、エピデュオゲルは3か月で皮疹の新生を3分の一程度にするため、治療初期は抗生剤の内服と併用しますが、抗生剤の内服を中止したあと、維持療法として、外用のみで長く使用します。

 「めんぽう」にはディフェリンゲルやエピデュオゲルの外用が第一選択です。炎症性皮疹にも効果があります。 「炎症性皮疹」にはディフェリンゲルと抗生物質の外用薬の併用や、過酸化ベンゾイルの単独使用、過酸化ベンゾイルと抗菌剤の併用、エピデュオゲルが第一選択です。「めんぽう」にも効果があります。(内服は抗生物質の内服薬が第一選択です。)

参考文献…日本皮膚科学会「尋常性ざ瘡ガイドライン」    (201612月改変)