ニキビ(ざ瘡…ざそう)について サノ皮膚科クリニック
ニキビとは… 顔や胸、背中などの皮脂の分泌の多い部分にできる毛穴の炎症(毛嚢炎…もうのうえん)です。ニキビには、あまり赤くなく毛穴の詰まった[めんぽう]と、赤く腫れた「炎症性皮疹」と、ニキビ跡「瘢痕」があります。「瘢痕」には、よい治療法はありませんので早めの治療が必要です。
ニキビには、遺伝、細菌(にきび菌)、男性ホルモン、刺激(毛髪や襟でこすれることなど)、精神的ストレス(情緒不安、不眠)、皮膚の不潔、化粧、性周期(生理前の悪化)、胃腸障害(便秘)など、いろいろなことが関係します。
治療の目標…ニキビ跡にならず、本人が気にならない程度にコントロールするのが目標です。抗生剤の内服は3か月程度にし、その後は以下の@、F、Gの外用のみによる維持療法を長く続けます。
ニキビの治療…薬による治療は、抗生物質の内服と以下の外用薬の併用が主な治療です。
1)洗顔…一日2回石鹸で洗います。洗顔はぬるま湯を使ったほうが効果的です。まず石鹸で手を洗い、きれいになった手で顔全体を洗います。ニキビの発疹(丘疹、膿疱)の部分はさらに二度洗いしても良いでしょう。石鹸は普通のものでかまいませんが、低刺激性の石けんのノブアクネソープなどを使えばより効果的です。
2)外用剤 @ディフェリンゲル…毛穴の皮膚の角化を正常化させ、新たな「めんぽう」が出来るのを防ぎます。Aイオウカンフルローション…昔からの薬で現在はあまり使いません。Bアクアチムクリ−ムCアクアチムローションDダラシンゲルEゼビアックスローション…BCDEは抗生物質の入った外用薬です。Fベピオゲル…抗菌作用と角層剥離作用と抗炎症作用を持った過酸化ベンゾイルです。Gデュアック配合ゲル…過酸化ベンゾイルと抗菌剤(ダラシンと同成分)の合剤です。Hエピデュオゲル…@とFの両方の成分を配合した薬です。(にきびの外用薬のパンフレット参照)。
3)内服薬@抗生物質…毛穴(にきび)の細菌の増殖を抑えるものです。「炎症性皮疹」に使います。テトラサイクリン系のミノマイシンとビブラマイシン(ビブラマイシンの方が副作用が少ないためビブラマイシンをおすすめします)が第一選択ですが、妊婦には使えず、小児にも短期間しか使えません。ミノマイシンの副作用として、めまい、胃腸障害などがありますので副作用が出たら中止します。また、カルシウムと結合すると、吸収されなくなるので、牛乳や乳製品は内服の前後1〜2時間はとらないようにしてください。中学生ぐらいまでは、マクロライド系のクラリスやルリッドなどが使われます。いずれも、だんだんと減量します。内服は3ヵ月程度が目安で、その後は@,F,Gの外用のみで維持するのが望ましいと思います。3ヵ月以上続ける場合は、採血による肝機能のチェックが必要です。
その他ビタミン剤や漢方薬が使われますが効果はあまりありません。
4)日常生活の注意
化粧…化粧は日常生活に必要と思われますので、してかまいませんが、短時間のみ使用します。化粧品はノンコメドジェニックなものを使います。
髪型…髪の毛でこすれる刺激でニキビは悪くなりますので、額や頬になるべくかからないようにしましょう。
食餌…何を食べても構いませんが、バランスのよい食餌を心掛けましょう。ただしあまり神経質になる必要はありません。
5)その他、ケミカルピーリングが自費治療としておこなわれていますが、上記の標準治療がうまくいかない人のみ試す方法です(当院では行っていません)。また時に「めんぽう」を圧出する場合もあります。 (2016年12月改変)