男性型および女性型脱毛症について サノ皮膚科クリニック
1)男性型脱毛症とは・・・主として成人男性の脱毛症で、思春期以降に額の生え際や頭頂部の毛髪が薄くなり進行していく症状です。細くて短い毛髪が多くなり、薄毛が目立つようになります。抜け毛の悪化の因子として、DHT(ジヒドロテストステロン)があります。
治療・・・プロペシアの内服、ザガーロの内服、リアップ5%の外用が強く推奨される治療で、内服と外用の併用も出来ます。その他、アデノゲン外用は次いで推奨される治療です。
現在発売されているどの治療薬も効果があるのは頭頂部で、前頭部の脱毛にはあまり効果がありません。前頭部に自毛植毛術が行われるのはこのためです。
プロペシア、ザガーロ内服による治療について・・・男性ホルモンのテストステロンからDHTへの変換を阻害する事で、DHTをへらし、その結果抜け毛が減ります(DHTが減るのであり、男性ホルモンが減るのではありません)。効果は内服を続けている間だけで、内服を中止すれば抜け毛も元通りに増えます。従って抜け毛が気になる間は続ける必要があります。効果判定は、6ヵ月内服した後に行い、続けるかどうか決めます。
プロペシア、ザガーロ内服の適応・・・成人男性で、客観的に男性型脱毛症と考えられる方です。女性には使えません。また、現在の脱毛、薄毛を改善するものなので、現在脱毛や薄毛のない方は、将来の薄毛が心配でも適応とはなりません。
プロペシア、ザガーロの効果・・・プロペシア1r錠を1日1回1年内服で、58%の人が頭髪の量が増えました。また5年内服で90%の人で抜け毛の進行が抑制あるいは改善されました。
ザガーロはプロペシアよりやや効果があります(プロペシアとザガーロの比較のパンフレット参照)。
プロペシア、ザガーロの副作用・・・副作用は性欲減退、勃起不全、射精障害、検査値異常(肝機能値など)などです。なお、精子に奇形は出ません。ザガーロはプロペシアより副作用がやや多く出ます。
プロペシア、ザガーロ内服に必要な検査・・・肝機能の異常などの副作用を調べるために、採血による検査が必要です。またPSAという前立腺の腫瘍マーカーの値が50%程度低く出ますので、普段の値を知るためにPSAも調べます。当院では、原則として投与前、1ヵ月後、その後は適宜採血をし、肝機能、腎機能、PSAを調べます。ただし、異常値があり必要な場合は毎回行います。
プロペシアザガーロの費用・・・保険は使えませんので、診察代、検査料金、処方料、薬代すべてが、自費になります。
当院では院内処方で、プロペシアは28日分の薬を含め、検査のあるときは15,000円、検査のない時は28日分10,000円、56日分18000円、84日分26000円です(いずれも税込)。
ザガーロは院内処方で、30日分の薬を含め、検査のあるときは16500円、検査のない時は30日分11500円、60日分21000円、90日分30500円です(いずれも税込)。
リアップの副作用・・・そう痒、紅斑、毛包炎、接触性皮膚炎、顔面の多毛などです。
リアップの費用・・・当院では富山化学のミノキシジル配合外用液5%がプロペシアやザガーロと同時処方の場合、1本につき4000円(税込)です。単独の処方の場合、診察料として別に2000円(税込)かかります。
保険の使える治療・・・ 塩化カルプロニウム(製品名フロジン液)が壮年性脱毛症に保険適応で、試してみても良い治療です。
その他治療・・・自家植毛術はプロペシアの内服、ザガーロの内服、リアップ5%の外用の効果が不十分な場合、推奨される治療です。
2)女性型脱毛症とは…頭頂部の比較的広い範囲の頭髪が薄くなります。多くは更年期から起こります。
現在女性型脱毛に最も効果があるのは市販の女性用リアップ(1%)です。
ザガーロ(0.5r)とプロペシア(1r)の比較 |
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ザガーロ(0.5r) |
プロペシア(1r) |
効果効能 |
男性型脱毛症 |
男性型脱毛症の進行遅延 |
服用時間 |
1日1回1錠 |
1日1回1錠 |
献血 |
服用中止後6ヶ月禁止 |
服用中止後1ヶ月禁止 |
併用禁忌薬 |
なし |
なし |
併用注意薬 |
CYP3A4阻害作用を有する薬物(リトナビル等) |
なし |
禁忌 |
女性、小児、本剤および5α還元酵素阻害薬の過敏症、重篤な肝機能障害患者 |
女性、小児、本剤および5α還元酵素阻害薬の過敏症 |
効果 |
6ヶ月内服で毛髪の増加本数はプロペシアの1.6倍。 ただし、直径60μm以上の硬毛数に差はない。 |
1年内服で、58%の人で頭髪が増加。5年内服で90%の人で抜け毛の進行が抑制あるいは改善。 |
副作用 |
性欲減退、勃起不全、射精障害、検査値異常(肝機能値など)など |
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副作用の検査 |
肝機能の異常などの副作用を調べるため採血による検査が必要。またPSAという前立腺の腫瘍マーカーの値が低く出るので、PSAも調べる。当院では、原則として投与前、1ヵ月後、採血をし、肝機能、腎機能、PSAを調べる。 |
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費用 |
院内処方で、30日分の薬を含め、検査のあるときは16500円、検査のない時は30日分11500円、60日分21000円、90日分30500円 |
院内処方で、28日分の薬を含め、検査のあるときは15000円、検査のない時は28日分10000円、56日分18000円、84日分26000円 |
2018年9月改変