細菌感染について

サノ皮膚科クリニック

Ⅰ・・・細菌感染症

1)細菌感染症の種類

①丹毒・・・皮膚のやや深いところ(真皮)に細菌の感染を起こしたもので、軽い蜂窩織炎ともいえます。

②蜂窩織炎・・・皮膚の深いところ(真皮深層から皮下組織)に細菌感染をおこしたものです。

③毛包炎(毛嚢炎)・・・毛穴(毛包)の浅いところに、細菌感染や常在菌の増殖を起こしたものです。にきびや尋常性毛瘡(男性のひげの毛包炎)も毛包炎に含まれます。

④せつ、よう・・・せつは毛包炎のひどくなったもので、ようは複数のせつがつながったものです。

⑤ひょう疽(細菌性爪囲炎)・・・爪の周りの皮膚に細菌感染を起こしたものです。

⑥乳児多発性汗腺膿瘍・・・新生児や乳幼児の汗の管がふさがって細菌感染を起こしたものです。

⑦とびひ(伝染性膿痂疹)・・・とびひのパンフレット参照。

2)細菌感染症の治療

①抗生物質の内服…皮膚の細菌感染は多くが深いところで起こっているので、外用薬が届かないことが多く、抗生物質の内服が必要となります。多くはⅠ~2週の内服で済みますが、長期の内服が必要な場合もあります。

②抗生物質の外用…外用は浅いところにしか効かないため、補助治療になります。

③皮膚の切開…膿の中には血行がないため、薬が届かず、皮膚を切開して膿を出す必要があります。

Ⅱ…化膿性汗腺炎

1)化膿性汗腺炎とは・・・毛包が長年にわたり繰り返し腫れる病気で、わきの下、陰部、股、臀部によく起こります。以前は、化膿性汗腺炎(腋窩など)、ケロイド性毛包炎(頭部)、殿部慢性膿皮症と呼ばれていました。細菌感染が本体と考えられていましたが、現在は、体質的な病気であり、細菌感染は二次的なものとされています。3040%は家族に同じ病気があります。

2)治療

①抗生物質の外用・・・細菌の二次感染が起こるためフシジンレオ軟膏などを外用します。

②抗生物質の内服・・・皮膚の深いところで起こる病気のため、外用では効果が不十分で、通常ビブラマイシン、ミノマイシン、ダラシン、クラビットなどを内服します。

③切開、排膿・・・切開でうみを出します。

④切除・・・病変部を切除したり植皮したりします。

⑤生物学的製剤・・・重症例ではヒュミラの注射を行いますが、重篤な副作用が出ることがあり、また高価であるため大学病院等での治療になります。

⑥生活の改善・・・肥満やこすれる刺激で悪化するため肥満の方は減量を、また喫煙で悪化するため禁煙をお奨めします。

参考文献…日本皮膚科学会「化膿性汗腺炎診療の手引き2020」、あたらしい皮膚科学第3版

20217月作成)