あの日
君と僕は
校庭の隅にある 大きな椎の木に
二人だけのささやかな秘密を
刻み付けた
そこに流れていた
柔らかな空気と
暖かい光といっしょに
刻み付けた
あれから
太陽が何千回か昇って
何千回か沈んで
今ではもう
あの大きな木の幹の
何処かに刻み付けたはずの
二人だけの秘密も
すっかり見えなくなってしまったけれど
あの日
君と僕の間に流れていた
親密な世界は
今でも
この大きな椎の木のそばに流れている
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