審美歯科について
(サトウ歯科だより 第8号より)


めいぽうこうし「明眸皓歯」ということばがありますが、目はパツチリで白い歯というのが美人のひとつであるのは昔から変わりはありません。

たとえば、この二人の女性をくらぺてみますと、全く同じ人であっても歯が違っているだけで人相まで変わってきます。

最近、歯科界でも「審美歯科」という歯の美しさを研究する学間もできてきていますが、歯は単に機能的に噛めればいいものでなく、外からみて美しくなけれはなりません。

しかし、なにが美しいのか醜いのかは、民族や時代によって異なることもあります。 たとえば、上あごの犬歯(糸切り歯)が唇側に飛出している、いわゆる八重歯の人がいますが、若い娘がニッコリと笑った時の八重歯をみれば、日本人ならば可愛いと感じることもありますが、アメリカではドラキュラの歯といって大層きらいます。

またひところは、虫歯でもないのに前歯に金をまいて、自分の経済力を誇ったりしたこともありましたが、いかにも不自然であるのには間違いありません。

いっぽう、80歳のあばあちゃんに20歳のような真白い若い歯をいれるのも似合いません。

我々が患者さんに人工歯を入れる時には、歯の形・色、歯の並び方などどうすれば一番自然であるかを考え、それにはある一定の法則があり、それに従って義歯を作っていくわけですが、あまり規則どうりに作られた歯はまたおもしろみがないので、その人の個性に合わせて少し変化をさせます。

そのあたりのところが歯科医と技工師の腕とセンスになります。

さきほどの八重歯の口元に限らず、最近の若い人の中で歯並びの悪い人がみうけられますが、これには「歯列矯正」といった処置で歯並びをきれいになおすこともできます。

また、ムシ歯などの原因で歯の色が悪くなったときには、いろいろな材料と技術をつかって自然の歯に近いところまで回復することができます。

歯が悪くてつい人前にでるのが恥ずかしくて引込み思案の人が、歯を治療してすっかり明るく積極的になり良い人間関係を作るようになった例もあり、その人の人柄まで変わることもあります。

美しさは誰もが求めてやまぬ価値観のひとつであるといえます。