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「走ることの楽しさ」を与えてくれた単車

 

知り合いから「息子が乗らないバイクがあるねんけど。乗らへん?」と聞かれ、二つ返事で頂いたのがこの1984年式VT250Z。それから2年弱、倉庫にほったらかしになっていた。

HAWKに馴染んできた頃、HAWKよりも新しめなこの単車が気になり始めた。いったいどんな感じなんだろう?乗ってみたい。しかし放置されていたので、エンジンがかからない。

先ずは動くようにしないと。それにかなり汚れてサビもひどい。

自分で診る自信がないのである日、バイクショップA(仮名)へ持っていく。

が、そこの店員さんの言葉が私を奮い立たせ(?)た。「タンクの中はさびてるし、キャブも分解・調整しないとね〜、8万くらい掛かりますよ。」 8万円!とても払えない。自力で頑張ってみようじゃないか・・自分で直そう。それからが悪戦苦闘の毎日。

V-TWINのキャブの調節の釣り合いとか、タンク内のサビ取りにナットを入れて振りまくったり。サービスマニュアル、専用工具とか要るんだろうが勘?とか粘り?とかで結局治った。

修理・塗装

 

写真捜索中

ブレーキも分解掃除。

仕事を終えるとそそくさと倉庫にこもり、フレームのサビを埋め、磨く日が続いた。

元々のカラーリングは黒地に赤のライン。この赤が非常に気に入ったのだが、かなり塗装も痛んでおり、考えた挙げ句、真っ赤に塗装しよう!と塗装経験も無いのに材料を買い込んだ。

シートは色の劣化が激しかったが張り替えに出す余裕も無く、黒の布を被せた上から分厚いビニールを貼り、そして・・・。 

 

 

「うわ〜!族車完成!?」と非難・中傷の雨あられ!

どこが族車だ?
たしかにマフラーは継ぎ目が埋まらなくて大きめの排気音だった。

しかし、乗り始めてすぐにコレはHAWKよりも好きになれると感じた。

V-TWINの力強い発進は当時の私には大変新鮮だった。乗っていてこんなに楽しいと感じたのは今でもVTだけかもしれない。

 

タイヤもカチカチに劣化していたので思い切って履き替えた。フロントにエグゼドラ、リアにバトラックス。

シートはビニールだからよく滑る。コーナーで姿勢を変えると腰を浮かさなくても尻が簡単に落ちる。よく曲がり、中低速のトルクの太さが私に走る楽しさを教えてくれたように思う。
足着きの良い低めのシートと楽なポジションのセパハンは単車に対しての恐怖心を和らげてくれた。

たまに個性が無いとか女の子用とか言われるがその反面VTを愛好される方が多いのも事実。
私は「VTはとても好き!楽しい単車だ!」と思う。
鹿児島まで大勢でツーリングに行ったこともある。景色も道もVTも最高だった。いい思い出を作ってくれた単車でもある。

エンジンブロー

 

走行距離36000`を過ぎ、かなりVTとも仲良くなったある日のこと。友人3人でツーリングに出かけた。

他の2人が信号ダッシュで400tのパワーに任せ「置いてけぼり」にしようとした。私もムキになって追従・・・。すぐに飽きてスピードを緩めた一台を抜き、その先に見えるもう一台を目指して更にアクセルをひねったそのとき。「ガンガンガンッ!」と血の気が一気に引くような音が。

片方のシリンダの中でコンロッドが暴れていたのだ。
修理は無理なのでエンジンを載せ換えようと、バイクショップ「N」(仮名)に部品取り出来そうなバイクをお願いしたのだが…、

数日後やってきたのは紛れもない「事故った族車!」(写真)しばし唖然。それ以来、バイクショップ「N」には行ってない(汗)

でも今のVTに載っているエンジンよりは良いのだ!と自分に言い聞かせて積み替えた。パルスジェネレーター、クラッチ等移植して形は何とか元通りに。

 

問題はこのエンジンが動くか?幸いほとんど苦もなくかかってくれたのだが音はひどかった・・・。
しかも、「Z」ではない型のVTのエンジンだったのでミッションが逆だったのだ。シフトチェンジ操作が逆である。

そして、数日後に決定打が。

なんと、ものすごい白煙を吐く。それも「ブルーインパルス」(写真)さながらに・・・。

信号待ちの最中に視界が無くなるほどだ。警察に見つかっていたら整備不良で確実に捕まる。オイルも見る見る減っていく。VTも年貢を納める時がきたようだ。修理を断念した私は、VTを知り合いの部品取り車として提供した。

VTがいなくなってしまった。
短い間だったが、大好きな単車だった。

2020-10-08 追記:今でも乗りたいと思うほど好きだ。

主要諸元
  
形式

MC08 (VT250Z) 1984年式

全長・全幅・全高(o

2015/730/1050

ホイールベース/最低地上高 1385/140
車輌重量(s) 167
エンジン形式・種類 水冷4サイクル DOHC V型2気筒
総排気量(t) 248
内径・口径(o) 60.0/44.0
圧縮比 11.0
最高出力(ps/rpm) 40/12500
最大トルク(kgm/rpm) 2.3/11000
始動方式 セルフ
点火装置形式 フルトランジスタ
潤滑方式 圧送飛沫併用式
燃料タンク容量(g) 14
クラッチ形式 湿式多板
変速機 6段
タイヤ F/R 100/90-16 54S / 110/90-17 60S
ブレーキ形式 F/R 油圧式ディスク/リーディングトレーディング
懸架方式 F/R テレスコピック/スイングアーム
発売当時価格 ¥429.000

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