The TSUBUTSUBU 5*SEASON ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
〜園長のつぶやき〜
5* NEWYORK
REPORT
Duck & Puppy
Selfphoto at MoMA
無断転載禁止copy right/5*SEASON
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▼ Tsubu.1〜Tsubu.5 ▼
Tsubu.1
Chii@デルタ航空
「ノドが乾くね、飛行機って」
ニューヨークに向かう飛行機の中、私の仕事は…ただひたすら眠ることだけだった。貧乏旅行のため、直行便ではなく、途中ポートランドで乗り次ぐ旅となり、なんと16時間というフライト・タイムだった。でも信じられないほど熟睡したため、それもあっという間だったように思う。それにしても、このデルタ航空DL55便に乗れたことも奇跡のようなもんだった。
ニューヨークへの航空券がちゃんと手配できたのが出発の2日前、ホテルの宿泊予約がその翌日、すべてが“つな渡り”だった。そして出発の日、仕事がすべて終り、ようやく押し入れからスーツケースを引っぱり出したのが、家を出る2時間前。必要なものをスーツケースに投げ込むようにして、さあ家を出ようとした時…あれ???なんか足の裏がチクッと痛い!玄関にしゃがみ込み、確かめてみると、なんと小さな刺がささっている! え〜っウソー!! あわてて縫い針をコンロで焼いて、刺をとろうとしたが、どんどん刺が足の中にめり込んで行く! 気持が焦るので、よけいにうまくいかない。汗が吹き出る…。ああっもぉ〜〜!
なんとか刺を抜き、家を出た時には、飛行機の出発時間まで3時間を切っていた。新宿発のリムジンバスが成田空港に到着した時には、出発まで1時間を切っていて、バスを降りたら、なんとすぐそこには、あたしを出迎えてくれる男の人がいるではないか!旅行会社の担当の人だった。航空券は空港受け取りになっていたので、いつまでも到着しない私にジリジリして、思わず玄関まで来てくださったのだ。航空券を彼から受け取り、デルタ航空のカウンターに向かう時も、彼が心配して後をついてきてくれた。「走って搭乗してくださいよ、ギリギリですから…」ああ、彼の額に汗が光っている。あたしはすっかり感動、なんていい人なんだろう、おまけに男前…。おもわず「お兄さん一緒に行こうよ」、そう口にしてしまいそうだった。
お兄さんと別れた後、出国手続き、セキュリティーチェックを猛スピードでくぐり抜け、ゲートを探す。またしてもシャトルバスを乗り間違えるというアクシデント発生、時間のロスをして焦りまくる。が、なんとか、本当になんとか飛行機に乗り込むことができた。自分の座席についた時は…なんと出発まで、あと10分だった…。
乗り継ぎのポートランド空港で時間待ちすること3時間。その時、空港で見つけたのが、写真の子犬のぬいぐるみ。あたしが昔、可愛がっていた、チワワの“Chii(チィー)”にそっくり。で、情けな〜い目元が、今のあたしと何となく似ているなぁ…。子犬についているカードを見ると、“made in Japan”と表記してあった。「なぁんだ〜日本からきたのか、おまえ…」日本を出て、この時始めて心が和んだような気がする。あたしは、この子と一緒にニューヨークを歩こうと思った。小イヌを連れた『アヒルのニューヨーク珍道中』はこうして始まったのである。▼Tsubu.2
Tsubu.2
The Empire State Building ニューヨークに憧れた。子どもの頃、東京という都会の響きに憧れたのと同じぐらい憧れた。いや、それ以上だったかなぁ、なんだか心が自由になれるような、自分を試せるような、新しい自分に出会えるようなそんな気がして…。バスキア、キース・ヘリング、ウォホール、ドゥエイン・マイケルズ、マン・レイ、エリオット・アーウィット…クールなアーティストを生んだニューヨークという街の空気は、いったいどんな味なんだろう…その憧れの街にとうとうやって来たんだ!あたしの心は舞い上がり………のはずだったんだけど、現実は「あ〜あ、やれやれ無事に着いたか〜」という安堵の気持しか沸いてこなかった。それもそのはず、旅って旅の準備をしている時に、だんだん気分が盛り上がっていくものなのに、今回のニューヨーク行きには、まったくそんな時間もゆとりもなかったのだから。
ニューヨーク・ジョン・F・ケネディ空港に着いたのは夜の9時過ぎだった。嬉しいことに、空港にはニューヨーク在住の日本人Bleuさんが、あたしを出迎えに来てくれていた。感激のご対面! 握手! 彼女はインターネットを通じて知り合った方で、お会いするのはこの時が初めて。それも日本を出発する、ほんの5日前に知り合ったばかりだった。あたしのような見ず知らずの者を、よくぞ出迎えてくださったものだ。本当に有り難い。正直な話、あたしの頭の中には『ニューヨーク→犯罪都市→夜に到着→犯されるかも?』という、非常に飛躍した図式が出来上がっていたので、最近のニューヨークの治安は良くなったとはきいていたものの、少々ビビッていたのは確かなのだ。飛行機で死んだように熟睡できたのも彼女のおかげかもしれない。
外に出るとタクシー乗場には長い列が出来ていて、車はなかなかやって来ない。思っていたより淋しい雰囲気が漂っていたが“犯されそうな気配”はまったくなかった(あたりまえか)。しばらく待った後イエローキャブに乗り込む。Bleuさんがそつなくホテルの住所を運転手に告げてくれた。その後、Bleuさんとお互いのことを少し語り合っているうちに、あたしはちょっとワクワクしてきた。あのニューヨークの摩天楼のイルミネーションを見ることが出来るんだっ!そんなあたしを察してか知らずか、Bleuさんのこんなお言葉。「タクシーね、マンハッタンに入る前に地下道に入るんだよ。だから夜景見れないんだよね、私も初めて来た時ガックリきちゃって…」あ、そうなんだ、あたしもガックリ…。早めにきいておいてよかったよ…。
ようやくガシューイン・ホテルに到着。このホテルが思った以上にオモロくて、おもいっきりポップアートしてるのだ。変わった屋根の外観、アメリカのアーティストの作品がいっぱいのロビー、サイケなエレベーター、う〜ん!ニューヨーク!そして 私の部屋のドアを開けると、まず飛び込んでくるのが壁にある大きなピカソの顔。ウォホールの版画だった。その下に緑のカバーのベットが2つ。シャワールームもカラフルなタイルがいい感じ。Bleuさんと少しの間、部屋の中をキャーキャーと見て廻る。といってもそんなに広くはないんだケド…。でもここが、8日間のあたしの部屋になるんだと思ったら、ホッとしたのと同時に嬉しくて。予算オーバーの部屋だったがこれなら納得。
一段落した後、Bleuさんと夕食の買い出しに行く。もう夜の11時を過ぎていたためか、街はとても静か。昼間は目抜き通りのはずの5th.アベニューも、車こそまばらに通るが、歩いている人はほとんどいない。二人並んでブラブラ歩いていたら、突然Bleuさんがクルッと向きを変え「ほら!すぐそこがエンパイアステート・ビルなんだよ」と夜空を指さした。「ええ?!うそ?」私が振り向くと、そこにはすくっと夜空にライト・アップされている建物が。間違いなくニューヨークのシンボルのひとつ、エンパイアステート・ビルだった。「わ、あたしって…ニューヨークに来てしまったんだなぁ…」不思議な感情だった。感激するでもなく、途方にくれるでもなく、不安になったわけでもなく…。「あっという間に、とても遠いところに来たんだな」。まるでドラエもんの“どこでもドア”を通ってきたような、それは生まれて初めての感情だった。
Chii@私の部屋
「はぁ、やっと着いたよ…」Bleuさんと買い出しに行ったDeriという日本のコンビニみたいなところ。お惣菜が充実していて目移りしてしまう。この日の夜は、ちょっとしたミニ宴会となった。でもビールを買ったら栓抜きがなく大あわてしたり(彼女がシャワールームの“スチールサッシ”で開けた)、ウェルカム・ワインの栓があかなかったり、買ったはずのミネラルウォーターをお店に忘れたてきたり、とハプニング続きだったが楽しかった。彼女は結局私の部屋に泊まっていきました。
こんなふうに、子イヌとアヒルのニューヨーク第1日目はあっという間に過ぎていったのだった。 ▼Tsubu.3
Tsubu.3
The Gershwin Hotel ガーシュインホテルは、その存在そのものがPOPアート。
あたしはここを根城にしてマンハッタンを歩き廻った。
日本を出発する前、なかなか8連泊できるホテルが見つからなくて、
あらゆるガイドブックに載っているホテルに電話、
ようやく予約をできたのがこのホテル。
日本を出発する前日のことだった。
ワラをも掴む思いで予約しただけに、
実はこんなにユニークなホテルだとは全く思ってもいなくて
本当に嬉しい誤算だった。
ホテルのオーナーがニューヨーク・アートのコレクターらしく、
ウォホール、リキテンシュタイン、マン・レイなどの作品がゴロゴロ。
ホテルのスタッフもみんな明るく親切で、
マンハッタンのアート情報なども教えてもらった。
ホテル内にアーティストが集う学園祭のノリのバーとギャラリーもある。
ホテル外観
白い出っ張り屋根が目立ってる
ホテル10階の廊下
黄色いドアが私の部屋
ホテルのロビー
写真には映っていないが
ロビー中央にピアノがある
各部屋のランプ
少しずつ全部デザインが違う
エレベーターの壁面
壁一面がサイケ状態
■The Gershwin Hotel /7 East 27th Street New York, NY10016 Phone 212-545-8000 ▼Tsubu.4
Tsubu.4
ニューヨーク2日目、目が覚めたのは朝の9時半だった。隣のベットに目をやると、Bleuさんの姿はもうなかった。彼女は明け方に帰ったのだ。頭がモヤモヤしていて、それを思い出すまでに少し時間がかかった。
Bleuさんはマンハッタンの英語学校に通っていて、この日も授業があると言っていた。サイドテーブルに、彼女の自宅の電話番号と学校の地図が書かれたメモが置いてあった。「いつでも電話してね」そんなやさしいメッセージが添えられていたが、あたしの頭をよぎったのは「“行くべき場所”がちゃんと決まっているなんて…うらやましいな」そんな思いだった。さて、あたしは…どこへ行ったらいいのだろう?どこへ行こうとあたしの自由なんだ…。自由…きれいな言葉だな、そんなことを思った。なにげなく窓辺の丸テーブルに目をやると、昨夜の宴会の跡がそのまま残っている。あたしは「どっこいしょ」とベットを抜け出し、ずるずるとテーブルに近づいた。立ったままテーブルを見下ろすと、まだそこには夕べの晩餐のフルーツや惣菜がタッパーに残っていた。それをジーッと眺めていたら、自分がまずやるべきことがわかってきた。「そうや、まず食べなあかん」。あたしはイチゴをほおばった。が日本のそれとは違う味…。「酸っぱ…」、つい独りごとを言ってしまった。あわててベットの横に置いてある小イヌのChiiを見た。
Madison Square Parkホテルのすぐ側にあった公園
1日1回は立ち寄った
朝夕はイヌを連れた人でいっぱいになるホテルを11時に出て、近くの公園のベンチに座り『地球の歩き方』というガイドブックを開いた。日本の図書館から借りてきたものだが、あたしがニューヨークのガイドブックをじっくり見るのはこの時が初めてだった。ガイドブックによると、あたしが今いるところは、ミッドタウンという地区で、ショップやレストランが軒を連ねる観光の中心地だということが判明。さらに読み進むと「以前は犯罪が多発する危険な地域だったが、今では好景気のニューヨークの象徴となっている」と書いてある。そうだな、とあたしは納得した。公園の前を通っている目抜き通りの5th.Ave.もおだやかでのんびりしている。犯罪都市の暗い影はまったく感じない。歩いている人も東京のように忙しくない。それを見ながら、「今日はとにかく歩いてみよう」あたしはそう思った。歩いて街の空気を感じたかった。めざすは…やはりアートの発信地 SOHO か…? なんたって、あたしはギャラリー探しが旅の目的なのだから。
そもそも、あたしがニューヨークくんだりまでやってきたのは、『ニューヨーク大個展』の会場を探すことだった。それを探しながら、たくさんの人にあたしの絵も見てもらいたい。あたしはそのために小さな作品ファィルを持ち歩くことにしていた。でも、なによりあたしの絵がこの街のどこかにあるんだ…。なんとか見つけたい。あたしはガイドブックをパタンと閉じてリュックに入れた。スクッと立ち上がったあたしに、隣のベンチで新聞を読んでいた、スーツ姿の紳士が「ハロー」と声をかけてきた。あたしも「ハ、ハロー」とややテレながらそれに応え、公園をあとにした。
めちゃくちゃいい天気だった。行動開始のこの日、『ニューヨーク大個展』もこの街のどこかで初日を迎えているはずだった。
時計の針が1時を廻った時、あたしはなぜかチェルシーという地区にいた。辺りは古い工場ばかりが並んでいて、少しさびれた印象がする。「SOHOに向かっていたはずなのに、なんであたしはここにいるんだろう」 簡単なことだ、あちこち寄り道しているうちに、歩く方向を間違えたのだ。といっても、マンハッタンの地理はとても分かりやすい。通りがきれいに整理されていて、ゴバンの目になっているのだから。おまけに通りの名前を書いたプレートが、角という角には表示してある…。つまりあたしの故郷・京都と同じで、よほどのことがない限り、マンハッタンで道に迷うことはないはずなのだ。そう…あたしは強度の方向オンチ。あたしは京都でもよく方向を間違えたものだ。「あ〜またやってしまったヨ」いつもながら、あたしは呑気だった。
あたしはミネラル・ウォーターを買い、日陰を探して地べたに座った。そしてガイドブックをリュックから取り出し、チェルシーのページを開けた。「近年アートギャラリーがさまざまな事情により、SOHOからチェルシー、ブルックリンに移動している。そんな中チェルシーは、今もっともホットなアートエリアである」。
「今日はチェルシーだな」。あたしは当然のごとく、そう決めた。呑気にしてる場合じゃないよ、まったく。もしもChiiが人間だったら、間違いなくそう言っただろう。
CEHLSEA
Chii@チェルシー
「やけに静かだなぁ、ここ」
人通りがほとんどなく、
最初に迷い込んだ時は不安になった。▼Tsubu.5
Tsubu.5
あたしはガイドブックの情報を元に、まず大手ギャラリーが集中している通り24st.を目指した。が、途中何度も迷う。なぜにゆえに、あたしはこんなにも方向オンチなのだろう? 自分を呪わずにはいられない。それにしても…あまりにも街がおとなしくないか? ホットなエリアにしては人通りが少な過ぎるのだ。かといってクールでもなく…。車の修理工場や板金工場が多く、「ギューンギュン!」というカン高い工具の音だけがやたらと響いてくる。ゴミ袋が山積みされているビルにさしかかった時、突然、若い黒人の男が「ハーイ」と言ってあたしの前に現れ、いつまでも後をつけてきた。足早に歩いて離れたが、さすがに不毛地区に来てしまったのではないかと泣きたくなってしまった。
気が付いたら22st.を歩いていた。ああ、しんど。…あれ?ふと…見たガラス窓の向こうにチラッと絵が見えた。「あっギャラリーや!」久しぶりに一筋の光をみたような気がして、あたしは急いでその建物の中に駆け込んだ。
建物の中は冷房が強く寒いくらいだった。でも酔いをさますような感覚があたしには嬉しかった。ほ〜っ!と息をついて、ゆっくりと辺りを見回すと、そこは紛れもなくギャラリーだった。「広い…」まず感じたのはそれだった。見上げると天井も高く、あたしはポカンと口をあけていたかもしれない。最初に目があったのは一枚の大きな顔の絵だった。ギャラリーの一番奥の壁に、まるで佇むように掛けられてあり、あたしの好きな迫力あるタッチの描写だった。他の絵も見てみる。それは“顔”の作品展だった。ゆっくりとギャラリーを歩いてみた。こんな贅沢な空間を持っているギャラリーは日本にはないだろう。1軒の家に1枚の絵をかける感覚で作品を展示してある。それくらい、ゆったりとした空間。「場違いだな」。あたしは『ニューヨーク大個展』のことをチラリと思った。こんなに空間を大切にしているギャラリーに、あの“チャンコ鍋状態”の作品展を持ち込むことなど、できるはずがない。
「ハロー」、中年の女の人があたしにに声をかけてきた。ギャラリーの人だろう、あたしとしたことが、気後れしてしまって軽い会釈しか出来なかった。ドアを開け外に出た。隣もギャラリーだった。躊躇することなく中に入る。やはり広い。今度はイラストレーションを展示していた。作品そのものよりも、ここでもギャラリーの空間に驚く。うらやましい。真ん中に置いてあるソファーに座り、しばし堪能。そこへギャラリーのスタッフであろう男性が、自転車を押して奥から登場、私を見るなり「ハーイ!」。明るく声をかけられて、あたしも思わず「ハッハーイ!」と応えた。その勢いで、あたしは「アタシ、イラストレーターデス、ニッポンカラ キマシタ」とたどたどしい英語で話しかけ、名刺とポストカードを見せた。彼があたしの名刺の5*SEASONという名前に興味を示したので、あたしは「ゴバンメノ キセツヲ アタシハ ツクル」と続けた。彼は「グレート!」と言ったあと、「アナタノエ、ジャポニズム」こう続けた。私にとって、最高に嬉しい言葉だった。彼は、あたしの横に座り、作品ファイルを丁寧に見たあと、ぜひ、これを預からせてほしいと言ってくれた。あたしは、今はそれを手放すことができないと必死で話す。あたしの英語力では、ちゃんと伝わらないのが歯がゆくて…。もうヂェスチャー・ゲームだった。結局、日本に帰国後、資料を送ることになった。最後に『ニューヨーク大個展』のことを知っているか、と聞いてみた。答えはNOだった。あたしはこのギャラリーに、1時間くらいいただろうか。
このギャラリーで、チェルシーのギャラリー134件が載っているリーフレットを見つけた。有り難い、これを頼りにチェルシーを歩こう! しかし、思った以上にギャラリーの数が多い。これを1軒1軒、訪ねて歩くのか? 私はなんとなく、『ニューヨーク大個展』は、このチェルシーではやっていないな、と直感した。理由は“チャンコ鍋”をやるには、あまりにもチェルシーの空間は新しいのだ。
あたしはとりあえず、ギャラリーが20以上も入っているビルへ行った。そのひとつひとつは、先ほどのギャラリーよりも小さいが、それでも東京のものとは比べようがないほど、ゆったりとしている。途中で気が付いたのだが、常設展をやっているところが多く、今はオフシーズンなのだと分かった。人通りが少なかったのも納得。10件ぐらい見てまわった時、オープニングパーティーをやっている会場があり、それに紛れ込む。プループ展だったからか、人がたくさん押しかけていた。私もドリンクをちゃっかりいただき、その辺にいる人と適当に会話する。アーティストやデザイナーが多かった。最初はテレがあったのだが、場に馴染んでくると、あたしのポストカードを手渡し、話題のきっかけをつくる。あたしのカエル君の絵は大好評。おかげで言葉の壁を超えることが出来た。何人かの人に『ニューヨーク大個展』のことを尋ねてみたが、やはり知らないという人ばかり。でも、気にならなかった。この華やかな場所にいる自分が嬉しかった。オブジェや写真、絵、映像などが入り交じった空間は熱気でムンムンしていた。でも、あたしが気に入った作品は、残念なことになかったけれど。
パーティー会場を後にした時、まだ外は明るかったが、とっくに夜の7時を廻っていた。チェルシーのギャラリー群は、もう閉まっている時間。あたしは公園のベンチに座ってタバコを吸った。この日の5本目のタバコだった。あたしにしてはめちゃくちゃ健康的な本数だ。とにかく1日立ちっぱなしだった気がする。さすがに疲れた。当初行くつもりだったギャラリーには行くことが出来なかったが、またそれもよし。それにしても、チェルシーは予想していたニューヨークとは、ずいぶん様子が違っていた。あまりにも冷静にアートを展示している、そんな印象を受けた。
みにくいアヒルの家は、ここではなかったのだ。明日はSOHOを歩こう、あたしはそう決めた。
Chii@夕暮れチェルシー
「長い1日だったなぁ」
チェルシーの自動車工場入口。
入口にかかっている絵がユニーク。
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