国連安保理決議1441について

(2003.12.3 清宮)

 

 「イラク攻撃」はいったい何だったのか?少なくとも、宮澤元首相が述べているように、9・11とイラクは関係なく、対テロ戦争はアフガンでの戦いだった。アルカイダとフセインの間で密約もなかった。イラク攻撃はそもそも対テロ戦争ではなかったわけです。

 しかも、大量破壊兵器が発見されない可能性が高くなってきており、米英によるイラク攻撃は国際法違反の大義なき先制攻撃であったといえそうです。

 また、小泉首相・外務省の選択の動機は何だったのか?首相・外務省の「イラク攻撃の支持表明」の原点をあらためて考えるために、イラク攻撃直前における欧米諸国の国連安保理決議1441をめぐる主張をここでふりかえってみたいと思います。

 戦争行為は、国連憲章51条に規定する個別的自衛権・集団的自衛権行使の場合と国連安保理決議による武力行使の場合だけが合法的な戦争行為となり、先制攻撃や侵略戦争はニュルンベルク裁判及び東京裁判でも問われた戦争犯罪行為でもあるわけです。

 米国のイラク攻撃直前の国連安保理決議をめぐる各国の主張を整理してみますと以下のようになります。

 米国の主張は、イラク攻撃の根拠は、国連決議1441、687、678だけでも十分であり、新たな国連安保理決議は不要である、というもの。
 フランス、ドイツ、ロシアは、国連安保理決議1441に基づくイラクの大量破壊兵器完全破棄に関する完全なる申告義務を履行しているかどうか、もっと十分な査察の時間が必要であり、査察はさらに継続すべきで、当面はイラク攻撃するべきではない、というもの。
 英国の主張は、その中間的なもので、さらに短期間の査察延長が必要であり、その後、イラク攻撃の是非を判断し、イラクに義務違反があれば攻撃する、という内容の新国連安保理決議を要する、というもの。
 安保理非常任理事中間派各国は、英国の主張とフランスの主張の中間で、中期間(45日間)程度の査察延長後、義務違反の有無を判断してはどうか、というものでした。
 日本はといえば、単に米国支持でした。下記の国連安保理決議1441を熟読すれば、米国の決断と攻撃は、国際協調主義の要諦である国際信義違反ではなかったか。
 
★国連安保理決議1441(2002年11月8日) イラクは国連決議687を含む安保理決議に違反しているが、大量破壊兵器の武装解除の義務を果たす最後の機会を与える。化学・生物・核兵器・弾道ミサイル計画等に関して完全な申告を求める。もし、イラクが重ねて義務違反に及べば深刻な結果に直面する。
★国連安保理決議687(1991年4月3日) イラクはいかなる大量破壊兵器も使用、開発、入手してはならない。大量破壊兵器や射程150q超の弾道ミサイル等は破壊し撤去するなどの諸条項をイラクが受諾した場合は、正式停戦の効力が発生する。
★国連安保理決議678(1990年11月29日) 1991年1月15日までにイラクがクウェート侵攻を非難し即時撤退を求める安保理決議660と関連する全ての決議を完全に実施しないかぎり、クウェートに協力する国に対し、同地域の国債平和と安全回復のため、あらゆる必要な手段を取る権限を与える。