科学技術の評価について

 

2003年11月15日(土) 清宮寿朗



 政府の総合科学技術会議で、来年度の科学技術施策の優先順位が決められたとの報道がありました。ノーベル賞受賞者・小柴氏のニュートリノ発生装置の建設計画は最低ランクの「C」と評価にされ、それに対して小柴氏が異議を述べたとのことですが、今回の政府の科学技術の評価については学会や大学等各方面からも疑義が発せられています。

 なぜなんでしょうか。実は、もう一人のノーベル賞受賞者の田中さんの場合も同様のことが企業内であったわけです。つまり、田中さんの研究は島津製作所内では高く評価されていなかったわけで、それゆえ研究成果を社外で公表することができ、その結果、ノーベル賞受賞することができたわけです。

 科学技術の評価について少し考えてみます。

 発明・特許の評価は、

@企業内での評価

A市場での事業化の価値評価(ライセンス収入の可能性も含めて)

B学術的評価

C公益的価値

 などあり、今回の小柴さんや田中さんの発明・特許の評価、受賞理由はあくまでもBCが中心であったと思います。

 田中さんの場合は、ノーベル賞受賞によって島津製作所の株価を押し上げるという副産物を産み、結果的に経済的価値を大きく得ることができましたが、ノーベル賞レベルの発明・特許といえども、学術的・公益的には高く評価されても、必ずしも市場における事業化の価値が高いものであるとはいいきれないわけです。

 大学の教員や研究者が担っているTLOが必ずしも順調に進展ない根本的な理由の一端を「小柴さんの煩悶」にみるようです。

 しかし、政府の研究開発支援にせよ企業の取り組み方にせよ、従来「儲かりそうな発明の研究開発」ばかりを重視してきたことも事実で、基礎研究や学術的価値ある研究開発に対しても正当に評価されるべきであると思います。

 そういう意味では、すぐれた発明や研究に対して、文部科学技術栄誉賞と経済産業技術栄誉賞の二種類の技術栄誉賞を新設し、毎年、各賞ごとに金メダル・銀メダル・銅メダルと賞金を授与するなどの制度をつくるといいと思います。