2003年12月20日(土) 清宮寿朗



ベーカー元国務長官登場の意味(1)

 

 ベーカー元国務長官はパパ・ブッシュ政権時の大番頭だった人物で現在でもパパ・ブッシュの側近中の側近といわれています。

 ベーカーの外交政策は、パパ・ブッシュ、パウエル国務長官、ライス大統領補佐官とともに中道派であり、ネオコン主導の外交(単独覇権主義)には元々反対していました(下記の記事参照)。


http://americanassembler.com/issues/iraq/prewar_warnings/Bush%20and%20father%20at%20odds.html

 新聞報道によると、べーかー元国務長官は、突如ブッシュ政権の特使となり、独仏露などイラク債権国に対して債権放棄を要請するための訪問旅行にでているようですが、最大の債権国サウジアラビア(127億ドル)や先進国中、最大の債権国、日本(41億ドル)よりも対独仏露交渉を重視しているところから、債権放棄問題は表向きの用件で、実は、米国主導のイラク占領当局(CPA)から、独仏露中を加えた国連主導の占領当局体制に移行させるための条件交渉の旅にでている可能性が高いと思われます。

 日本政府も橋本元首相などを関係各国に派遣しているわけですが、べーかー元国務長官との連携が果たしてうまくいっているのか心配です。

 今週のはじめ、ブッシュ大統領から電話会談の打診があったにもかかわらず小泉首相は、ブッシュ大統領の気持ちはわかっている、として電話会談を断ったそうですが、小泉首相は本当にブッシュ大統領の気持ちがわかっているのでしょうか。

 ブッシュ大統領は、現時点ではネオコンと中道派の板挟みにあい、ギリギリのところで決断を迫られている状況にあるのかもしれません。大統領は、実は、中道路線・国際協調主義路線に切り替えたがっているのではないでしょうか。

 もしかすると、ブッシュ大統領は、小泉首相には「現在のCPAから国連主導の占領当局体制に移行した段階で自衛隊派遣の日程と方法を具体的に検討する」と、主張してほしかったのかもしれません。この小泉提案があれば、ブッシュ政権は、ネオコン主導から中道派主導にいっきに方向転換できたかもしれません。