自衛隊のイラク派遣問題について(1)

 

2003年12月6日(土) 清宮寿朗



 「イラクの人々を救いたい」という気持ちは誰でもがもっている自然な気持ちだと思います。

 そのためにも急がば回れで、まず一日も早くイラク人の手による憲法を制定し国会議員や大統領の選挙を実施して、イラク人による新政府を早急に樹立することが何よりも急務だと考えます。

 本格的なイラク復興はそれからだと思います。イラク新政府が国連に復興支援を要請し、あわせて日本にも経済・技術・人的支援を要請してきたら、日本はできるかぎりの経済的・技術的・人的支援をすればいいと考えます。

 イスラエル・パレスチナ問題を背景に、米国は大義なき先制攻撃をイラクに対して決行し、イスラム教徒・アラブ民族から敵視されています。現に米国主導の占領統治に対するゲリラ攻撃やテロ活動も8月以降増え続けています。米国の要請を受けて日本が米国の大義なき先制攻撃や単独主義を追認するような形でイラクに自衛隊を派遣するのと、イラク新政府から要請されて自衛隊を派遣するのとでは、まるでその意義も安全性も異なります。

 小泉首相は、ブッシュ大統領に対して、イラクにおける利権確保に固執することなく、早期にイラク新政府樹立を図らせ、米国軍主導によるイラク占領体制を終結させるべきだと思います。もちろん、イラク新政府樹立までは米国軍は完全撤退する必要はありません。米国も国連安保理常任理事国なんですから、国連主導の統治機構や国連主導の多国籍軍の下、協力するべきだと考えます。

 イラク新政府樹立後も、イラクの治安維持支援や復興支援を国連が主導して実施すべきで、日本は国連主導の枠組みの中でイラク復興支援に全力投球すべきです。

 それから、日本の経済支援を軽く考える風潮がありますが、それは経済支援を正当に評価していないと思います。国民の貴重な財産で、かつ神聖なる血税を、投資としてではなく復興支援金・義捐金としてイラク政府に出捐するのであれば(米国軍支援としての経済援助は、すでにEU以上の過分の戦費負担金を約束をしています)、これは日本全国民からの熱い友情のメッセージとなります。阪神・淡路大震災の時の全国から送られた義捐金の果たした役割は大きなものでした。

 それから、経済支援の中には日本の高度な技術やノウハウの提供という側面も伴います。経済支援は決して小さくない大きな貢献であると思います。

 また、別の観点からのべれば、たとえば、国連といえども日本からの負担金拠出が止まってしまったら、国連の機能は麻痺してしまいます。

 もちろん人的支援も必要です。上記のようにイラク新政府や国連から要請されて人的貢献をするというのが日本のとるべき正義の道なのではないでしょうか。

 この1年数ヶ月におきたイラク・ケースの出来事、つまり国連安保理決議1441から始まった経緯は、今後1〜2年以内に、北朝鮮において再現される可能性だってありえるわけです。

 イラク・ケースで外交政策のあり方を考えるとき、近未来の北朝鮮問題も念頭におきつつ考えるべきだと思っています。