現段階での自衛隊派遣に関する争点は……


(2004年1月19日) 清宮寿朗



 昨日のサンデープロジェクトで田原総一郎氏が次のようなの疑問を民主党の枝野政調会長に投げかけていました。

「イラク自衛隊派遣が実行されれば、反対する人は増加すると思った。しかし、数値は逆になった。なぜだろう」

 以下は私の意見です。

 まず、第一に、自衛隊派遣の閣議決定(12月5日)以降の大新聞など主要マスメディアでの論調が「自衛隊派遣支持」であることが大きな原因だと思います。

 第二に、自衛隊派遣の問題が、「自衛隊派遣の正当性の問題や派遣時期の問題」という本質的な議論をせず、「自衛隊派遣による安全性の問題」という国民には予想困難で判断不可能な論点を全面に打ち出した内閣や自民党の世論工作に一定の効果があったということだろうと思います。

 また、12月5日の閣議決定前であれば、「自衛隊派遣は賛成か反対か」、という雑な二者択一的論戦も、それなりに意味はあったとは思いますが、

 しかし、現段階で、自衛隊派遣の妥当性を議論(特に国会では)するのであれば、以下のテーマ設定でやってほしいと思います。

「自衛隊早期(2月)派遣でいいのか、それとも、イラク新政府樹立後、イラク政府と国連の要請を受けてから、7月以降に派遣するべきか」として論戦するほうが現段階では有益だと思います。

 第三に、国民には、イラク戦争を行なったブッシュ政権の不当性やイラク戦争の本質(たとえば、イスラエル・パレスチナ問題等の宗教戦争が背景存在していることなど)が、なかなか理解されにくい、ということもあると思います。

 第四に、「米国主導の占領統治や連合軍」と「国連主導の占領統治や多国籍軍」の根本的差異が理解しにくいということ。

 第五に、自衛隊派遣の正当性について、玉虫色に作成された国連安保理決議1511(12月7日のメッセージで内容は紹介していますので参照していたたければ幸いです)を都合よく解釈して自衛隊派遣の根拠にしているということも大きいと思います。

 第六に、自衛隊派遣が実施されて反対派が増えるのは、陸自本体がサマーワで活動しはじめから以降のことだと思います。

 具体的には、イラク人の期待はずれに終わって、現地イラク人から「自衛隊がやはり実質的には米軍の後方支援できているのではないか」、「雇用が増えない」等の不満の声が強くなり、イラク市民デモ隊などと何らかの衝突を起こしたり、米国の占領統治がうまく進まず、陸自がテロやゲリラの攻撃を受けたり、イラク人ゲリラと戦闘状態になったりすると、「自衛隊早期派遣」は失敗であったという意見が増えてくると思います。

 「やっぱり自衛隊派遣は時期尚早であった。イラクにイラク人の手による新政府が樹立され、イラク新政府や国連から要請を受けて自衛隊派遣すればよかった」という意見が増えてくるはずです。