:若手研究者・技術者の育成について

2004年1月4日(日) 清宮寿朗



 若手研究者・技術者の中で、既成の教育システムや「白い巨塔」に描かれたような組織、秩序に毒されていない人は、出世は遅いけれども比較的、個性的で独創的です。

 彼らは、たとえば同じ言葉、概念でも、国語辞典的・教科書的に認識するのではなくて、直感的に感じてイメージする自由や発想の柔軟性をもっています。

 一方、管理職等のベテラン組は、地位や高給を得るかわりに、その自由や柔軟性を失ってしまっている場合が多く、若手の創造性、イマジネーションの世界が見えなくなっていることが多いと思います。

 それゆえ、多くの場合、ベテラン組が若手の育成に取り組むとき、若手をどう育て指導すればよいのか、実はまるでわかっていない可能性があり、結局は白い巨塔と似たり寄ったりの自分に都合のよい教育・指導をしてしまうことになりがちです。

 若手の研究や技術開発の成果の実用化(ビジネスモデル、ビジネスプラン)については、やはり経営・投資のプロと連携するしかありませんが、ベテラン組としては、せめて研究や技術開発の「動機付け」だけでも適切にしてあげる必要があると思います。

 しかし、「動機付け」といっても、ベテラン組が言葉で指示したり指導するというのではなく、若手みずからが、自主的に研究テーマや問題意識を持つにいたる、ということが大切で、それができるような環境をつくることがベテラン組には求められているように思います。

 科学技術分野で、若手の創造性をはぐくむためには、さほど出世はしなかったようなベテラン、今までは目立たなかったようなベテランの中から、若い人の心を持ち続けてきたようなベテランを再発掘して、若手の指導にあたってもらうのも一手かもしれません。

 創造性への目利きは実に直感的なものなんだと思います。

 文学や芸術の世界も同様だと思います。

 国語辞典的な言語・概念認識では捕らえることができない創造の世界の一端を紹介します。

 「敷島のやまと心をひと問はば、朝日ににほふ山桜花」(本居宣長)