【憲法裁判所について】


2004年5月13日(木) 清宮寿朗



STさんから、3月31日付けコメントをいただきました。よく整理された、わかりやすい説明、ありがとうございます。

STさんの引用文をなぞるような説明になりますが、あえて付言させていただきますと、日本国憲法では、引用文「憲法の番人」の冒頭に記載されてあるとおり「ある具体的な訴訟」が前提としてあって、その上で裁判所は、問題となる法令や行政処分について合憲・違憲の審査をすることになるわけです(裁判所法3条1項「法律上の争訟」)。

STさんがあげてくださった「砂川事件判決」も、当時の日米安全保障条約に基ずく行政協定に伴う刑事特別法違反の具体的な事件が前提としてあって、米国駐留軍が日本国憲法9条2項の「戦力」に該当するのではないか、が争われたわけです。

合憲性に関する最終判断の権限は最高裁にありますが、砂川事件の例でいいますと第一審としての合憲性判断は東京地方裁判所が行っています。

一方「具体的な法律上の争訟」が発生しないかぎり、たとえ潜在的に違憲の疑いのある法律であっても下級裁判所はもとより最高裁判所といえども訴訟手続き抜きで法令等の合憲性を審査することができないわけです。

そこで最近の憲法改正論議の中で、その是否はともかくとして、ドイツのように憲法裁判所を新設し「具体的な法律上の争訟」がなくとも法令等の合憲性を審査できるようにしてはどうか、という改正案が某有力議員から提言されていたと思います。

ところで最高裁判所は砂川事件においても日米安全保障条約の合憲性についての判断を政治問題を理由に回避しています。

このような高度な政治問題に関する判断は内閣や国会にゆだねるとしているわけです。

しかし実際上は、憲法9条に関連する案件(具体的事件性の有無にかかわらず)については、内閣法制局で合憲性判定基準が検討され具体的な運用解釈を決定しているようです。

日本では、いわゆるドイツ型憲法裁判所がもつ機能を内閣法制局が担っているような感じがありますね。憲法改正論議でも重要な論点になるところだと思っています。