新人行政政書士のための 開業Q&A100

 ここでの回答は、 「行政書士開業ML」(2001.2.1スタートのML。クリックするとMLサイトに入れます)の過去ログ・メッセージ(私の回答メッセージ)に、加筆・修正を加えて、リニューアルしたものを再掲しました。 ( ) 内の年月日は再アップ年月日。

 行政書士開業ML・専用ホームページ

 

 

 

Q-1. 不法行為法実務について。(2002.8.1)   

Q-2. 家族法を専門分野にしたいと考えているが。(2002.8.1)

Q-3. 建設業法を専門にしたいのだが。(2002.8.1)

Q-4. 本人申請と代理申請について。(2002.8.1)

Q-5. 本人申請についてのもう一つの視点。(2002.8.1)

Q-6. 著作権法実務・知的財産と行政書士(1)。(2002.8.1)

Q-7. 副業について。(2002.8.2)

Q-8. 交通事故処理における基本的視点。(2002.8.2)

Q-9. 告訴状、訴状、答弁書の作成について。(2002.8.3)

Q-10.  行政書士として生活の糧を稼ぐためには、まず、どのような分野の仕事が有効か教えて下さい。将来性ではな く、とりあえず目先として。例えば、記帳代行業務、損害保険代理店業務と抱き合わせの建設業許可関係業務なんかがいいのでしょうか。(2002.8.3)

Q-11. 示談書作成代理と示談交渉代理の違い。(2002.8.3)

Q-12. 入管申請取次者であるのに本人申請をする場合というのは。(2002.8.4)

Q-13. 新人時代の副業あるいは兼業(他士業外の)で多いのは何ですか。(2002.8.5)

Q-14. 実務研修について。(2002.8.5)

Q-15. 自宅から独立した事務所を持つべきか。(2002.8.5)

Q-16. 建設業経理事務士について。(2002.8.6)

Q-17. 行政書士の税務書類作成と会計記帳業務について。(2002.8.6)

Q-18. 営業(1)「開業挨拶」について。(2002.8.7)

Q-19. 事務所ニュースについて。(2002.8.7)

Q-20. 行政書士の契約実務について。(2002.8.7)

(Q21.〜Q40.)

 

Q-1.不法行為法実務について。


交通事故処理法務をまず勉強されるとよいでしょう。

自由国民社の「交通事故の法律知識」と通称「赤本」といわれている「東京三弁交通事故処理委員会」発行の「損害賠償額算定基準」(発行担当03−3581−1782)が基本書になると思います。

不法行為法実務の基本はもちろん民法709条以下の条文や関連法令ですが、それと交通事故判例百選等の不法行為法関連判例が特に重要です。

判例をケースごとに知って理解しているだけでも事件処理の予測が立ちます。

「紛争予防法務」は、パラドックス的ですが、判例知識と理解抜きには語れないわけで、訴訟法務専門の弁護士ほどではないにせよ
行政書士もその専門分野に関する判例についてはしっかり勉強しておかなければ紛争予防のための戦略法務ができないわけです。

知的財産権侵害等他の分野の不法行為法実務のことも視野に入れながら交通事故処理法務の基礎を勉強をされるのがいいと思います。

それから、損害保険代理店研修制度も、代理店業務をするしないは別にしても大いに利用価値があると思います。

また、行政書士界における交通事故処理の第一人者である根角香織氏(広島県行政書士会所属)が主催している全交連MLに参加(無料)して根角氏その他のベテラン行政書士の指導を受けることをお勧めします。

(2001.2.11メッセージ番号126.) 

 損害賠償請求額の計算その他の情報サイト

 

Q-2. 家族法を専門分野にしたいと考えているが。

実務の中でも行政書士にとって身近な民事法務分野が交通事故処理等の不法行為法実務や家族法実務(親族・相続法)、知財媒介を含む契約実務の分野であるかもしれません。

家族法分野を専門分野にされることは大変すばらしいことで賛成です。

その際の留意点としては、中国・台湾、韓国等の外国人のための渉外法務も視野にいれ国際私法、戸籍法、入管法、国籍法、外国人登録法、そして、外国の移民帰化法等も周辺法務として視野にいれることをお勧めします。

それから、成年後見人制度をNPO法にからめて押さえておくといいと思います。

私のホームページの「図書室」でも紹介しています「相続・贈与のことがよくわかる事典」を実務の基本書にされることをお勧めします。

また、家族法判例百選等の判例研究も重要です。

(2001.2.11.メッセージ番号127.)

Q-3. 建設業法を専門にしたいのだが。

建設業界もこれからの10年間を見通しますと大変です。そういう観点に立っての準備が不可欠です。

具体的には、従来の会社設立や協同組合設立関連の手続きと助言・許可申請・建設業簿記による会計業務・経審・入札手続・役員変更・建設業変更届・建設業許可更新許可申請に加えて「工事現場での事故等による不法行為法実務・労災保険や損害保険実務・外国人労働者受け入れのための入管法務・補助金制度の活用・倒産防止法務・倒産法の知識・外国の建設会社のためのコンサルティング、資金調達、合併、企業連携、海外進出等」の法務サービスまで視野に入れた準備計画が必要になってくると思います。

また、ISO認定取得やISO基準導入問題、国際会計基準導入等の問題もあるわけです。

建設業専門行政書士の業務は、従来型の許認可専門から守備範囲を広げたトータル・コンサルティングに変貌しつつあり、その法務サービスの質も高度なものになってゆかざるを得ないという段階に来ています。

電子申請時代への対応も含めて計画的に準備する必要があります。

(2001.2.11.メッセージ番号128.)

 建設業許可申請手続について

 

Q-4. 本人申請と代理申請について。


法律上の原則は、訴訟なら本人訴訟、登記なら本人申請、税務申告なら本人申告、許可なら本人許可申請というように本人が公法上の行為を行うことを前提にしたシステムとなっています。

実際、行政書士の毎年の確定申告の様子をながめても、税理士に代理申告してもらっているというケースは少ないと思います。

相続登記申請にしても行政書士自らの物権の変動については自分で登記申請していることが多いと思います。

同様に、顧問先等の許認可手続等に付随して発生する登記申請についても、かなりの部分は顧問先本人に申請してもらっているというのが実情ではないでしょうか。

本人申請といっても、高齢者や企業の場合、申請行為それじたいは高齢者であればその息子さんなどが、企業なら社長秘書さんや総務担当者等が使者として登記所に申請代行していることが多いように思われます。

私の専門分野は国際法務と法務会計ですが、国際法務の中の一つである入管手続について、私も申請取次行政書士として法務省(東京入管)に登録し準申請代理権ともいうべき申請取次の権限を持っていますが、あえて本人申請形式で仕事をすることがあります。

東京入管の管轄内での申請であっても本人や会社役員・職員に同行して申請することが少なくありません。

東京入管の管轄外地域・遠隔地での申請については、ほとんど本人申請か会社役員・職員による代理申請でやってもらっていて、申請取次でやらない傾向にあります。遠隔地からの依頼の場合は、理由書だけ作成するというケースも少なくありません。

(2001.2.11.メッセージ番号129.)

 入管関連書式集

 

Q-5. 本人申請についてのもう一つの視点。

2004年、遅くとも2006年頃までには多くの行政手続きが、現在の特許出願のようにインターネットで申請できるようになると思います。

税務申告や社会保険手続、登記申請、営業許可申請もです。

10年後には簡易裁判所管轄の少規模訴訟なら電子訴訟も可能になると思います。すでに、一部FAX申立は実施されていますね。

自宅のパソコンで紀伊国屋の図書を注文するような感覚で、自宅から本人が自分自身で簡単に申請できてしまうようになってしまうのです。

10年後以内には、インターネット・テレビというのが普及して、テレビ画面を見ながらリモコンや肉声で本人申請ができてしまうという時代がくると思います。

そうなると、弁護士や公認会計士以外の資格者の存在意義は相対的にですがかなり失われてくるように思います。弁護士人口や公認会計士人口の増大政策がさらに加速すればなおさらです。

そんな時代傾向の中で弁護士、公認会計士以外の法律職資格者が生き残りを図るということは大変なことだろうと思います。

行政書士も専門的にレベルを上げ、高度化してゆく必要があります。トータル・コンサルティングの発想やグローバル化も図って行かざるを得ないでしょう。

そうでないと、「刑罰で担保された守秘義務を持った国家公認の身分」というだけの存在になってしまいます。いわゆる行政書士という資格の名称のみを独占化できる者というだけのことになりかねません。

ちなみに、本人訴訟の統計値ですが、簡易裁判所は約90%、地方裁判所でも60%の事件が本人訴訟によるものでした。簡易裁判所での訴訟も電子訴訟化する可能性もあります。

さて、このインターネットによる電子申請時代は、本人申請の時代でもあるわけですが、行政書士にとってそれが凶なのか吉なのか。

私は案外「吉」ではないかと思っています。

(2001.2.12.メッセージ番号152.)

Q-6. 著作権法実務・知的財産と行政書士(1)。

著作権法10条と11条に「著作物」の例示が列挙されています。このような「知的財産」の権利を保護する趣旨でこの法律は立法されました。

この財産の登録は文化庁に登録することによってその権利の帰属することが証明されることになります。不動産を登記したり自動車の登録をしてそれらの所有権を公示するのと同じなわけです。
もちろん、著作権の場合は、無方式ですから公表することによって著作権は発生しますが、紛争予防の観点からすれば、著作権登録しておいた方がいいわけです。

無方式ということは、例えば、私のエッセイをホームページ上で公表すれば、その時点で著作権は発生します。

イラストや漫画、設計図、詩、ドラマの脚本、新ビジネスの企画書(ビジネスモデル特許とは違う)、小説、音楽の楽譜、地図、コンピューター・プログラム、写真、絵画、図面、図表、模型、アニメキャラクター等でも著作権法上の保護の対象となります。

それから、交通事故処理類似の不法行為法実務として著作権侵害という事案が登場するケースもあるわけです。私が実際に依頼を受けたケースを紹介しますと、

某有名寺院が境内案内地図を作成して境内の要所に掲示していました。また、その地図はハンカチにも印刷して売店で販売
していました。

ところが、ある人が類似の地図をカレンダーに印刷して販売していたことがわかったんです。

そのある人というのは当該寺院の有力な檀家さんだったんです。

その寺院は、墓地許可申請手続や寺院会計(公益法人会計)などの法務会計を頼まれていた顧問先でもあったため、この著作権
侵害についての相談を受けることになったんです。

住職は檀家さんとは「檀家内の聞こえも悪いから、裁判沙汰にはしたくないが、しかし放置しておくわけにもいかない」というわけです。

結局、故意又は過失の行為により、著作権を侵害され損害が発生していること、カレンダー販売を止めて損害金を支払うか、あるいは著作物の使用料を毎月支払う契約を締結するように「内容証明郵便」で通知しました。

それでこの件は解決しました。契約書作成も僕が担当しました。

訴訟予防法務の具体例ですね。

もし、上のケースで問題がこじれたら弁護士に頼まず本人訴訟でやることを勧めていました。もちろん、その際には、ボランティアで
後方支援するつもりでいました。

しかし、行政書士が行政書士の名において報酬を得て内容証明郵便が打てること、示談書(和解契約書)の作成ができること、
警察署への告訴状が書けて提出代行できることは何をするにつけても便利ですね。

仕事の依頼は著作権法10条11条に列記した財産を所有している企業や個人から来るわけです。侵害した者(いわば加害者)から
相談を受けるというケースもあります。

ちなみに、知的財産には著作権のほか、特許、実用新案、意匠、商標、種苗、ビジネスモデル特許、営業秘密などがありますが、特許、実用新案、意匠、商標は特許庁が管轄で代理申請(代願)は弁理士ですが、著作権登録は文化庁、種苗は農林水産省、営業秘密は公正取引法上保護されていて管轄は公正取引委員会ですから、行政書士の職域になっています。

これからは、不動産にかわって知的財産の流通に関する法務が重要になってきます。知的財産に関する流通媒介・契約実務です。これも行政書士の仕事です。また、不動産の価値評価を不動産鑑定士がするように、知的財産の評価をする仕事も事実証明業務として行政書士ができます。知的財産を現物出資して会社の資本金に充当させたり、資金調達の担保として活用するなどもこれから活発化するはずです。

知的財産の流通に関わる場合、守秘義務が刑罰で担保されている法律職専門家であることが求められています。行政書士もその一人であることはまちがいありません。

  関西企業法務研究会

(2001.2.11.メッセージ番号139.)

Q-7. 副業について。 

私も開業直後の3年は苦労しました。副業として予備校講師もやり、兼業として損害保険代理店業の仕事もしました。

20代の独身とは違い、守らねばならない家族がいますとその日暮らしというわけにはいきません。開業資金が少ない状態で起業(行政書士事務所開業)・独立開業し家族を養っていくのは大変でした。

ある日、大学時代の先輩の弁護士に「行政書士では食べていけないかもしれない」と、弱音をはいたことがありました。

その先輩からその時、「もし、君のつけているバッヂが税理士バッチか弁護士バッヂだったら、来月あたりから生活が楽になるのかい?もし、弁護士バッチで早々と食べていけるものなら、僕は今、イソ弁で給料取りになんかなっていないよ」
と言われ、目から鱗が落ちた思いをしたことがあります。

また、「実家にもどって家賃の心配をせずに事務所経営をしたい」と、母に申し出たことがありますが、その時母に、「ここはお前の家なんだから、いつでも帰ってきなさい。でも、私は自分の家賃も払えないような子を生んだおぼえはないよ」と、言われて目がさめました。

独立・開業前に、すでにビジネスに成功したり、相続等で十分な資金が整っている方や2代目等で事務所や自宅の家賃の心配のない方など一部の例外的行政書士は別として、自営業・自由業であるかぎり最初のうちは誰でも大変であると思います。

そういう意味で、行政書士事務所の経営が軌道にのるまでは副業は必要だと思います。

特に最近は深刻な不況下にあります。無理な仕事をするよりは、副業を持って、中・長期的視点で人生設計を考えた方がいいと思います。

ただ、事務所経営も軌道に乗ってしまえば、自由業はやめられない仕事です。

(2001.2.11.メッセージ番号141.)

Q-8. 交通事故処理における基本的視点。


一度には説明しきれませんので追々ですが、まず基本から理解してゆくべきです。

損害賠償責任を負う者は加害者ないし使用者であり保険会社ではないですね。訴訟でも保険会社を相手取って手続きをするわけではないですね。

また、保険契約を結んでいなかったり、保険期間が過ぎてしまっているという場合を想定すればわかりやすいですね。

保険会社は加害者のスポンサーだと思えばいいわけで、当事者はあくまでも加害者(あるいは使用者)と被害者(あるいは遺族)す。
被害者が損害賠償請求する相手も、あくまでも加害者です。内容証明で請求する場合も加害者に宛てて打ちます。

もちろん、保険会社社員が弁護士のようにふるまって、加害者の代理人のような顔をして電話をしてきたり、会いにきたりすることはありますが、調査行為を超えて、代理人のような態度や方法をとってくれば保険会社の社員といえども弁護士ではない以上、弁護士法違反の疑いが生じるケースもあります(示談交渉つき任意保険契約というのもあり、日弁連と保険協会との間で協定が成立しているようですが、その場合でも態様、程度によっては非弁活動の疑いが生じる場合もあるわけです)。

保険会社はスポンサーのようなものですから、財布の中も無限ではないし、そもそもスポンサーがいないかもしれない。請求金額が例えば5000万円で、加害者の財布には100万しかなかったとします。スポンサーの財布にも1000万円しか入っていなかったとします。その場合、1100万円は回収できますが、残りの3900万円は回収できません。

この残高は一般債権として残りますね。債務免除になるわけではありません。もし、加害者側からお金持ちの親族がでてきて、加害者
の依頼によって2000万円を親族が支払えば(保険会社のように)、残高は1900万円になります。

後は、月賦支払いのようにして毎月支払っていくという和解契約(示談)も可能ですね。

昨年夏、海のスポーツ事故でしたが、女性がサーフィンと衝突してけがをしてしまったのですが、加害者は18才の青年でした。青年は貯金もなく、仕事もしていない学生でした。保険契約はなく、交通事故の場合のように自賠責もないので結局、この場合のスポンサーは保護者ということになります。

この場合も被害者は損害額等を計算して内容証明で請求し、無事、示談書を作成して一件落着しています。

以上のケースは単純なケースですが、基本パターンですからしっかり理解しておく必要があります。
法律関係を図に書いて、当事者やその他の関係者とはどのような権利義務関係にあるのかを整理してみる必要がありますね。

(2001.2.12.メッセージ番号148.)

Q-9. 告訴状、訴状、答弁書の作成について。

訴状や答弁書等裁判所に提出する書類作成の業務は、弁護士法及び司法書士法によって弁護士と司法書士のみできるという定めになっています。告訴状作成業務でも、検察庁に提出する場合は、司法書士法の規定によって弁護士と司法書士だけが行えるという定めになっています。行政書士は、警察署に提出する告訴状作成は業として行えます。

もちろん、業とせず報酬を得なければ弁護士法74条の構成要件には該当しないことになりますから、弁護士や司法書士でない者がボランティア・無報酬で家族や知人・友人のために訴状や答弁書等を作成してあげるケースはままあると思います。特に、弁護士過疎地域の場合、そういうことはよくあることではないかと思われます。

さらに、裁判所に提出する書類を作成するという、いわゆる代書を超えて訴訟代理行為を弁護士以外の者が行おうとする場合は、簡易裁判所に限定されますが、民事訴訟法54条第1項の定めにより、支配人等の法定代理人以外の者であれば簡易裁判所の許可を得て訴訟代理人になるケースはあります。

司法書士の場合であれば、2003年4月1日から、一定の条件を満たした司法書士であれば、簡易裁判所に限定してのことですが、訴訟代理人としての活動が業として行えるようになれます。しかし、地方裁判所以上の上級審での訴訟代理行為は従来通りできません。

この場合は、裁判所に提出する書類の代書業務を通じて本人訴訟の後方支援ということになります。

もし、行政書士が、司法書士のように裁判所に提出する書類の代書を通じて本人訴訟の後方支援を、やむを得ず行う必要性があるという場合であれば、司法書士や弁護士と相談しながらボランティア活動として行わざるを得ないと思います。弁護士過疎地域においては、ままあり得ることだろうと思いますが、十分実力をつけてから、司法書士や弁護士と相談しながら行わないと、ボランティア活動であっても、かえって本人に損害を発生させ迷惑をかけてしまうようでは困ります。

どんな分野の仕事であれ、定型的かつ容易にできるケースもありますが、同時にバリエーションもあるわけで、相手によっても相当な変化が予想されます。常に定型的かつ容易なケースばかりに遭遇するというわけにはいきません。相手方に弁護士がついて、弁護士と交渉するようになることも予想しなければいけません。経験も知識もなく、司法書士や弁護士との協議もなく、ボランティア活動とはいえども、安易に民事事件に関与するべきではないと思います。

もちろん、少額訴訟のようなケースであれば、書式が定型的で手続きも簡単ですから本人自ら書ける場合が多いと思います。こういう場合には、本人自身でできるよう、無料でアドバイスしてあげるといいと思います。

交通事故の場合でも、訴訟になるケースとならないケースがありますね。時系列で手続の流れを整理し、どこの手続は弁護士でなければいけないのか。どこの手続なら行政書士でもできるのか。弁護士・司法書士・行政書士の役割分担はきちんと理解しておく必要があります。

この役割分担を確認する作業は他の分野においても大切なことで、行政書士として理解しておくことは当然の義務です。この確認作業を「職域論争」と錯覚する方もいますが、弁護士法、司法書士法、社労士法、税理士法等の法律を理解することと「職域論争」とは大きな違いがあります。

「行政書士業務の範囲の確認作業」は、たとえば、法改正の過程でおこなう日弁連と日行連との間で行われる「職域論争」とは全く異なるわけです。

また、行政書士の役割をもっと拡大するべきであり、そのための法改正案をみんなで考案し改正を実現させよう。というような立法論的議論は、これもまた「職域論争」ではなく、立法政策論として大いにするべき建設的な議論であると考えます。

(2001.2.12.メッセージ番号151.)

Q-10.  

行政書士として生活の糧を稼ぐためには、まず、どのような分野の仕事が有効でしょうか。教えて下さい。将来性ではなく、とりあえず目先として。記帳業務、損害保険代理店業務と抱き合わせの建設業許可関係業務、クーリングオフ等なんてところが、行政書士専業で行くための近道だと思っているのでが、実際はどうなのでしょう?

なんといっても地域差・地理的条件やその人のキャリア(経験)、人脈、性格、経済力等の差異の問題が大きく、一般論としてどの分野が有望かは断言できません。大都市部・政令指定都市級都市部とその他の中小都市とでは産業構造もかなりの違いがあるわけです。

ただ、行政書士の主力業務分野というものはあります。

入管法、国籍法、建設業法及び入札関係の会計法、交通事故処理関係では民法不法行為法や自賠責法、労災法、保険法等、相続関係では家族法等、宅建業法、車庫法、道路運送車両法、道路運送法、貨物自動車運送事業法、倉庫業法、会社設立関係の会社法、NPO法、記帳会計業務関係の商法や企業会計原則・会計学等、風俗営業法、農地法、都市計画法、建築基準法、国土法、内容証明の郵便法、産廃業関連法令、環境関連法令及び条規、独禁法、著作権法、種苗法、知財流通媒介業務ということであれば特許法等も入るでしょう。告訴状作成や事実調査業務の関係でいえば刑法や刑事訴訟法、そして消費者保護法、墓地許可手続、小型船舶登録法等。

一般的には、従来型主力業務から各人が選択してゆくことになります。

しかし、これからは人によっては、「アンチ・ダンピング法を専門にしよう」とか「知財のライセンス契約や譲渡、金融担保等のための契約実務を専門にしよう」とか考える人も出てくるかもしれませんね。TLO法を専門にする人も出てくるかもしれません。TLOは、全国にまだ28しか設立されていませんから、母校や自治体、地元商工会等と連携して設立する行政書士が出てきても不思議はありません。自治体法務コンサルタントを専門にしようと考える方も出てきそうです。

地域差について言えば、東京でも23区と多摩地区では全然違ってきます。23区でも新宿区と墨田区では経営環境がかなり異なっています。同じ墨田区内でも、商店街か住宅街かでかなり異なってきますし、駅前かどうかということも大きな差異です。インターネットを活用しての広域営業ノウハウもありえますが、基本的にはそういうことがいえると思います。

ということで、(1)開業予定地の調査(2)自分のキャリアや人脈、経済力も含めた過去の分析(3)行政書士になった動機と将来の目標の再確認、そういうことをきちんと押さえて、長期・中期・短期の三段階の人生設計をする必要があると思います。

なんでもかまわない。食べてゆければいい。ということであれば、新人の方たちに勧められるものとしては、決して簡単なものばかりともいえないのですが(相続手続や破産等がからんでくる場合など)、車庫証明や自動車登録の手続をお勧めします。新人でも、車庫証明だけで年間、数千万円稼いでいる方もいますし、自動車登録だけでも1億円近く稼ぐ人もいます。将来性は不透明ですが。

飲食店経営でも同様だろうと思いますが、経済力が十分にない個人商店でやる場合、洋食・和食・中華なんでもありでメニューも盛りだくさん、というやりかたよりは、中華だけに絞ったり、または中華でもラーメンに絞ったやりかたの方が経営効率や品質管理、サービス向上には有効なわけです。

この中華料理店が軌道にのったら、2店舗目は洋食、3店舗目は和食にすればいいのではないでしょうか。経営的には3店舗全部を中華に統一したほうが効率はいいのですが、しかし、中期・長期の経営計画は行政書士になった動機いかんによりますね。10億円あっても満足しない人がいるかと思えば、年収400万円でも、好きなことのできる人生が歩めるなら満足できるという人もいるわけです。

話をもとにもどしますと、もしあなたが簿記ができる方であれば、会社・法人設立と営業許可プラス記帳代行業務(PC会計)もいいと思います。語学の好きな方なら外国人問題に入りやすいでしょうね。

「記帳代行、損害保険代理店業と建設業許可の抱き合わせ」という点については、Q-3.を参照してください。

私の場合は、ホームページのトップで記載している業務が主力業務となっています。

(2001.2.12.メッセージ番号154.)

Q-11. 示談書作成代理と示談交渉代理の違い。

示談(和解)や遺産分割協議、離婚のように紛争性・事件性が伴いやすい事案には注意を要します。

行政書士が業務として許容されている業務範囲は、紛争性・事件性のない場合の法律事務であり、上記のケースでは、当事者合意後の書類作成ということになります。つまり、示談書・和解契約書、遺産分割協議書・離婚合意書等の代理作成であり、いわば公証人と類似した立場と業務態様で行うわけです。

この場合の書類作成は、当事者双方の代理人として作成するわけですが、民法108条但書きにより双方代理禁止の例外事例として行うことができます。当事者双方の委任を受け、双方を代理しなければ双務契約の契約書を作成することは不可能なわけです。:刑罰で業務独占が担保されている行政書士の契約書類作成というのは、タイプ・印刷業者する自由業務としての契約書類作成(国語的に校正はするだけで原稿通りにタイプ・印刷して作成する行為)とは業務態様の質が全くことなっているわけです。平成14年7月1日施行の改正行政書士法でもそのことが明確化されました(月刊日本行政2002.7月号21頁参照)。

しかし、示談書の作成代理ができるからといって、示談交渉代理もできる、というわけにはまいりません。示談交渉代理は、紛争・事件の解決のための手続であり、当事者の一方の利益を守るために代理人として活動するものです。

最近のことですが、示談交渉代理や離婚交渉代理を途中で放棄したという方からメールをいただきました。行政書士が交渉代理人として全面に出てきたので、相手方も弁護士をやとったわけです。その行政書士は弁護士と直接対決することになったわけですが、弁護士から非弁活動禁止の警告を受け途中放棄したということです。

当事者合意後の示談書作成代理と紛争中の示談交渉代理とでは、事件性の有無という点で明白に違いがあるということを確認しておきたいと思います。

ちなみに、日本の公証人制度は英米系諸国の類似制度とはかなりの違いがあり、公証人制度の国際比較研究も重要であると思われる。

(2001.2.12.メッセージ番号157.)

Q-12. 入管申請取次者であるのに本人申請をする場合というのは。

申請取次行政書士として準申請代理権があるのに、何故、同伴して本人申請形式で手続をするのか?という質問ですが、本人申請をする場合も多々あるということで、常に本人申請で仕事をしているというわけではありません。

ただし、インターネットを利用しての広域業務の場合は本人申請となるケースが圧倒的に多いということは事実です。

ここでは、地元入国管理局管轄内での通常の手続きの場合に限定してお話しますが、本人申請を選択するケースというのは、依頼者が日本国内法人や日本人経営者であっても、許可対象は外人ですから、中にはその立証書類等に不実記載や偽造文書がまじっているという場合もありえるわけです。その危険性があると判断した場合には、本人申請を選択し申請者と同伴するようにしています。

委任代理形式ですと、意思表示の代理となる場合もあり、刑罰規定に抵触するケースでは共謀共同正犯に問われる可能性もでてくるわけです。現実に、ここ数年、毎年のように申請取次行政書士が刑罰規定に反したとして逮捕されています。

みなさんも、相手をよく観察する目を持ち、時には相手を選ぶ、仕事を選ぶ勇気も必要です。ケースによっては、代理申請と本人申請の使い分けも必要だろうと思います。

(2001.2.12.メッセージ番号158.)

Q-13. 新人時代の副業あるいは兼業(他士業外の)で多いのは何ですか。

行政書士は、他士業との兼業者だけでなくその他との兼業者も実に多い資格です。全国に35、000名の行政書士が存在しますが、行政書士専業者でかつ行政書士業務だけで生計を立てておられる方は、個人的推定で恐縮ですが、10%程度ではないかと思います。

他士業外との兼業で多いのは、損害保険代理店、宅建主任(あるいはプラス宅建業者免許保有会社経営者)、入管申請取次者、経営コンサルタント会社の代表取締役や個人の経営コンサルタント、予備校や塾の講師、著述業、探偵、NPO法人理事、自治体議員や委員等というところでしょうか。

私もそういう意味では兼業者になってしまいます。入管申請取次者、NPO法人理事ですから。

新人時代の副業は様々でしょう。家庭教師、塾講師、宅建主任、タクシードライバー、警備員その他様々な副業があると思います。

行政書士登録をいつするとよいか、という問題と関連しますが、人により十人十色で何とも言えないところですが、私はよく

「法律実務の未経験者が行政書士登録したような場合は、1年程度は、会計士補のように、行政書士補(補助者という意味ではありません)になったつもりで、アルバイトをしながら、理論や実務を実践的に勉強するといいかもしれない」

と、言っています。

もちろん、初年度から仕事に恵まれて勉強している暇もない、というようなラッキーな方もたまにいます。簡単な話が、1、000万円を資本金のような感じで用意できる方で方向性と事業計画さえしっかりしていれば初年度から相当程度の仕事の受注が見込めるはずです。自分が実力不足であったとしても、今ならかなりのベテラン補助者も雇えますし、また、ベテランの営業マンも補助者として雇えます。広告宣伝費にも十分な資金を投入できます。

行政書士の独立・開業といえども「起業」ですから、やはり、開業準備段階での経済力に、最も左右されてしまう傾向は否めないわけです。

私の場合、昭和62年の独立開業ですが、開業のための自己資金は登録・入会金10万円のほか約20万円程度の貯金しかなく、狭く古い安マンションの家賃11万円ですら支払いが危ぶまれるという状況での開業でした。

無謀ともいえる状況の中での独立開業でした。若かったんですね。怖いもの知らずでした。それにしても、家族に対しては無責任だったといえるかもしれませんね。そのかわり、命がけで頑張りました。当初は体力だけが財産です。補助者を雇うかわりに、自分が補助者をも兼ね、一人二役の感じで動きました。

当時を振り返ってみて、親戚や友人は苦労したな、と誉めてくれますが、自分としては苦労したという感覚がなく、逆に、毎日が充実していたように思います。挑戦につぐ挑戦、勉強につぐ勉強の連続でした。自由業が性にあっていたのかもしれません。

また、私の場合は運がよかったともいえます。すばらしい人々に出会え、彼らに励まされ、支えられ、なんとか今日までやってこれました。経済力がない場合は人間関係が財産ですね。

(2001.2.13.メッセージ番号179.)

Q-14. 実務研修について。

行政書士会では、行政書士実務研修所の設置や行政書士試験制度のあり方について議論されているところです。

現在の行政書士試験の合格率は10%前後で、試験内容も必ずしも実務に即したものになっているとはいえません。

しかし、行政書士資格の社会的機能は法務サービス全般に関連しており、英国の事務弁護士に近いものがあります。

実際、弁護士過疎地域での行政書士に対する期待は大きく、また、全国的にも中小零細企業や外国人のための法務・会計のアドバイザーとしての責任も大きいといえます。

つまり、行政書士資格の機能や社会的ニーズと行政書士試験制度及び実務研修制度との間には大きなズレが生じており、有意な人材の有効活用にも大きな障害が出てきているわけです。

そこで、行政書士会も本格的に試験制度や研修制度の見なおしに着手しているわけです。

従来の行政書士実務研修の経緯を振り返ってみますと、昭和62年に東京法経学院で全国初の本格的通学制長期実務研修制度と行政書士試験受験準備通学講座が開設され、その後、平成5、6年頃になりますと、LEC、Wセミナーのような大手受験予備校も同様の実務研修講座を開催するようになってきました。

この5、6年を見ますと、行政書士会においても本部や支部が実務研修会を積極的に開催するようになってきました。各単位会発行の広報誌や日行連発行の月刊日本行政でも実務情報の記事を積極的に掲載する傾向にあります。日行連や単位会のホームページのコンテンツもしだいに良くなってきています。ただ、まだまだ本格的実務教育体制を整えるには至っていません。個人的にはインターネット、ブロードバンドを活用した、e-ラーニング・システムの導入などの検討も必要だろうと思っています。そうすれば、将来設置される日本のロー・スクールや外国のロー・スクールと提携して一部単位の交換や授業の交換、レンタルも可能になってきます。信州大学大学院のロー・スクールと提携できれば面白そうです。

新人諸君は、とりあえず本部・支部の研修会には積極的に参加するべきです。

より重要なことは、インターネットの活用です。実務情報の80%はインターネットで入手できる時代になりました。いずれは、100%入手可能になる時もくるでしょう。各省庁や自治体、行政書士等専門家、経営コンサルタント会社等のホームページや専門のMLは大きな武器でありかつ情報源です。私のホームページにある「情報源」からだけでも相当の情報を入手できるはずです。そして、さらに実務図書や役所配布資料の利用ですね。

実務情報源としては、本部・支部の研修会、インターネット、実務図書・役所配布資料の3点セットで十分です。

行政書士会が本格的な実務研修機構を完成させ、行政書士試験制度も大幅に改革すれば、なおさら3点セットでよくなります。無駄な費用と人間関係上のリスク回避になります。

人間関係上のリスクということで余談。

10年前頃から、行政書士有志による任意の実務研修団体を専門分野別に設立する動きも目立ってきました。現在、東京だけでも、少なくとも15団体はあるようです。

しかし、過半の団体は行政書士会内の派閥的色彩もあるようで、新人等の会員に専門分野の実務情報を与えるかわりに、指導者の行政書士会本部役員就任を支持しかつバックアップする、という事実上の交換条件的な「現代型ギルド団体」になっている組織も中にはあるやに聞いております。勉強会であるにもかかわらず、役職・ポストで序列や上下関係をつくっている任意団体の場合には一応の用心が必要であるかもしれません。比較上のことですが、組織はシンプルに事務局だけとか、世話人だけがいるような任意団体の方が安心といえば安心ですね。

純粋に新人のための実務研修を実施している団体を探すのはなかなか難しいとは思いますが、結局は、いずれの団体に参加するにせよ、用心しながら組織とは距離をおいて、学ぶべきところは学び実務の研鑚に励むということだろうと思います。

用心というのは、具体的には、先輩や他人に依存することなく、自立心を旺盛にして、技術・ノウハウは、自分流で独自に開発するくらいの姿勢が大事だということ、そして人生における最大の敵は、自分自身の中にある安易な依存心や羨望、嫉妬心、恐怖心であるということです。新人時代であるからこそ、そういうこともしっかりと自覚しておかれるべきと思います。

気がつけば誰かの子分になっていた、というような話がけっこう士業界にはあります。どこの士業界にも派閥はあります。しかし、自由人、専門家、法律家の道を歩み出した以上、一国一城の主としての自覚、独立自尊の精神、起業家精神、行政書士に上下無し、そういう心構えで、孤独かもしれないけれども、明るく堂々とプライドを持って前進してまいりましょう。

(2001.2.13.メッセージ番号191.)

Q-15. 自宅から独立した事務所を持つべきか。

最近では、事務所や住居用マンションの家賃がだいぶ安くなってきていますので、確かに、住居とは別に、独立の事務所を持つチャンスであることは事実ですね。コピー機やパソコン等のOA機器も本当に安くなりました。

Q-13.でも書きましたが、当時の自宅は安マンションでしたが、それでも家賃11万円の支払いは大変という中での独立開業でしたから、独立の事務所を持つなどは夢のまた夢でした。当時、ワンルームマンションを事務所用に借りるとしても、10万円の家賃で入居時に70万円は必要でした。管理費も含めれば、2件で22万円は家賃で毎月消えてしまいます。年間、264万円の家賃となってしまいます。ローンで買うにしても、当時の地価は高額でとても手が出なかったわけです。いまなら、金利も低く、大都市圏商業地域の地価も1990年度比で20%以下ですから、借りるよりもローンで購入した方がいいかもしれませんね。いずれ地価は上昇してくるはずですから。

独立開業後2年目で運良く、最初の独立事務所をささやかなものながら駅前に持つことができました。もちろん、駅前ならどこでもいい、というわけではありません。オフィスビルや金融機関、郵便局、商店街のある繁華な街の駅前でないと効果は半減します。

当時のことを思い出しますと、事務所を「自宅兼用のホームオフィスのままでゆくか」、あるいは「独立事務所を自宅とは別に持つか」という問題は、「物件を借りるか買うか。どこに事務所を持つか」、という問題とあわせて新人時代の最大の問題だったかもしれません。

人によっては、行政書士登録・入会前に事務所予定地を考えておく必要もあります。東京都行政書士会会員には、自宅は千葉、埼玉、神奈川にあるが事務所は東京という方がけっこうたくさんいます。東京の多摩地区や23区内の住宅地に自宅がある方でも、事務所は23区内の商店街やオフィスビル街、繁華な街の駅前に持つ、という方も多くいます。例えば、風俗営業許可申請を専門にしようとするなら、繁華街や警察署の近所で事務所を開設するのが合理的で、住宅街で開業してもかなり厳しいものがあるからなんですね。繁華街といっても規模に差があり、地元の繁華街よりも隣県の繁華街の方が規模が数段大きければ隣県で登録・入会した方が営業的にはいいわけです。

それから、他士業、特に税理士や司法書士、弁護士の集まる街というのも一つの目安になります。全国司法書士・弁護士01マップという貴重なデータがありますので、この情報を分析して自分なりに読みこんでみてください。タウンページを参考にする手もあります。いわゆるマーケッティング、市場調査の基本ですね。基礎自治体にも地元の産業構造や事業所統計などがあります。このような情報からだけでも、どこに事務所を設置すると合理的で効率的かがわかってきます。デジカメや住宅地図などを持って実地調査するのも楽しいですね。

最初から独立の事務所所を構えてもいいと思います。経済力があれば別ですが、余裕がない場合は、専門分野の異なる者同士(他士業者でもいいです)の共同事務所が無難ですね。お金が貯まったら、同じビル内でもう一室借りて、今度は提携で協力しつつ事務所を分散してもいいし、共同の会議室兼応接室にして共通の秘書や補助者を雇ってもいいと思います。そうこうしているうちに、ビルの過半を借りてしまったという行政書士が現実にいます。

もちろん、事務所はSOHOでもいいわけです。補助者として手伝ってくれる家族がいるのであれば、ホームオフィスもいいですね。ホームオフィスで成功されている大ベテランも少なくありません。

また、あえて弁護士01地域でホームオフィスを構えて成功している大ベテランもおられます。ただし、そういう方たちは、弁護士並の知識と経験があり、弁護士や税理士と提携している場合がほとんどです。

(2001.2.13.メッセージ番号196.)

Q-16. 建設業経理事務士について。

建設業経理事務士の検定試験は(財)建設業振興基金03−5473−4570が主催していますので、詳しい案内書等は郵送してもらってください。

ちなみに、同財団で発行している「建設しんこう」という月刊誌があります。業界情報誌としては購読料が安く、内容もいいと思います。

ところで、建設業経理事務士は1級から4級まであり、1級保持者は公認会計士や税理士とともに建設業経営コンサルタントを公式に名乗ることができます。

2級以下でも建設会社の会計業務はPC会計ソフトを使ってできます。建設会社の簿記は商業簿記ではなく建設業簿記ですから、建設業界中心に仕事をしようとする行政書士にはお勧めです。

仮に会計業務はしないという方でも、建設業許可申請書類で中心的な立証書類・事実証明書類である財務諸表は行政書士が作成しなければいけないわけですし、付加価値サービスとして経営分析をした上での経営アドバイスをしようとする方や経審・入札手続などを取り扱う方はできるだけ2級程度の知識は持っていた方がいいように思います。

ちなみに、経審についてですが、中小零細の建設会社でも最近は入札手続はしないが近所の図書館や学校、文化施設等公共施設の改築・リフォーム等の一定の規模以下の公共工事を請け負いたい、という希望が増えています。

この場合は、自治体等から「随時契約」で請け負い、経審必要ないのですが、営業の有力な方法あるいは信用付けという意味で、できるだけ経審はやっておいたほうがいいと思います。公式ランク表を会社案内に掲載して、該当の施設や契約課などに会社案内を提出しておけばそれなりの効果があるはずです。

できれば、会計記帳業務を中心とした経営会計顧問にもなることをお勧めします。毎月の顧問収入は事務所経営の安定に効果的です。

ちなみに、商業簿記でも一部科目が違うだけのことですから、商業簿記でもいいと思います。

(2001.2.13.メッセージ番号208.)

Q-17. 行政書士の税務書類作成と会計記帳業務について。

税理士法51条の2は「行政書士が行う税務書類の作成」という規定があり、かつ税理士法施行令14条の2でも「行政書士が税務書類の作成を行うことができる租税」という条文もあります。行政書士業務の根拠法令は行政書士法だけでなく、税理士法にもあるということは明記されるべきことだと思っています。

税理士法51条の2は「行政書士は、行政書士の名称を用いて他人の求めに応じ、ゴルフ場利用税、特別地方消費税、自動車税、軽自動車税、自動車取得税、事業所税その他政令(税理士法施行令14条の2で規定する不動産取得税等)で定める租税に関し税務書類の作成を業として行うことができる」と規定しています。

また、財務諸表(いわゆる決算書等作成業務)については、日本税理士会連合会発行の「税理士法逐条解説」の18頁で、「いわゆる財務書類については、もともと租税法の要請のみにより作成されるものではないので、申告書類等の添付書類として提出を要請されるとしても、ここでいう「申告書類には含まれない」としており、財務書類(財務諸表すなわち決算書)作成は税理士の独占業務ではないということを明言しています。

逆に、昭和55年の改正税理士法では「記帳代行業務」を独占業務ではない自由業務として規定し、税理士でなくても誰でもが記帳代行業務ができることを条文で明確化しました。

行政書士のいわゆる会計業務というのは、基本的には許認等可申請書類に含まれる添付書類(事実証明関係書類)の一つとして財務書類(決算書類)の作成手続であり、あるいは経営分析、経営指導を目的とした計算書類作成業務ということもできます。さらには、税理士法51条の2で規定されている税務書類作成業務も含めていう場合もあります。

ただし、営利法人の会計業務の場合は、法人税や消費税等の納税申告手続がありますから、本人申告でしてもらうか、提携税理士に税務申告代理をしてもらうことになります。

収益事業のないNPO法人や公益法人(宗教法人など)の会計業務であれば税務申告の手続はありませんので行政書士だけでも完結することはできます。

私の場合は、親友に税理士がいますので、顧問契約書(顧問委嘱状)には、「税務申告及び税務調査の立ち会い担当は税理士○○、経営会計指導及び決算事務の担当は行政書士清宮寿朗」というような記載をしています。

会計業務や相続手続を専門にする方は、早い段階から業務提携する税理士や司法書士を探しておくとよいでしょう。税理士や司法書士から学ぶことは沢山あります。役割分担で仲良く提携してゆきましょう。

(2001.2.19.メッセージ番号284.)

Q-18. 営業(1)「開業挨拶」について。

開業挨拶は重要です。東京法経学院での行政書士実務研修講座では毎年「営業戦略」というテーマで、6時間を使って講義をしていましたが、そこでも開業挨拶は重視して講義していました。皆さんも、ぜひ実行してみてください。開業挨拶は、事務所移転の時にもしますから。

訪問先ですが、ターゲット業界の企業はもちろんのこと、駅前の不動産屋さんや損害保険代理店、税理士事務所、弁護士の法律事務所、司法書士事務所、弁理士事務所、協同組合事務所、国会議員や自治体議員、委員、町会長、商店会長、専門分野の異なる行政書士事務所、警察の風俗営業許可申請担当窓口、専修学校や専門学校、ビルのオーナー、病院の婦長さんや事務長、セレモニー請負会社、大学の就職課や留学生クラブ、TLO、地元の商工会事務局、ホテル、マスコミ支社、翻訳事務所、貿易会社、ゲーム機器のリース会社や外資系企業、外国政府系事務所等々、訪問する所はいくらでもあります。

社会勉強を兼ねて計画的に挨拶回りをするといいでしょう。訪問予定リスト(情報記入蘭つきのリスト)を作成し、住宅地図にカラーマーキングして訪問計画を練ります。

開業案内を郵送した後に訪問してもいいと思います。挨拶回りのポイントは、何気なく訪問し、好印象を残すことです。清潔感と誠実さのイメージが大切です。名刺交換及び現場職員に顔の売りこむのもポイントです。名刺のほか訪問先分野別に開業案内書を数種類作成し手渡すのも効果的です。訪問先ごとに外観をデジカメで撮影し記録保存しておくのもいい手ですね。脈のありそうな訪問先には再度訪問しますが、その時には現場のボス(女性であることが多い)に500円程度の茶菓子などの手土産などを持参するといいかもしれません。

さらに大事なことは、訪問によって得た情報を時間をかけて整理・分析し、潜在的顧客可能性度でランク別に再編成することです。私は、Aノート、Bノート、Cノートに分類しました。

Aノート・リストの訪問先には2周間内に再度訪問し、かつ季刊の「事務所ニュース」を送付しました。Bノート・リストの訪問先には、暑中見舞いや年賀状の送付だけにとどめ、Cノート・リストの訪問先については、来年に再度訪問することにしました。

私の場合には運よく、最初の訪問で数多くの得意先に恵まれました。建設会社の中にはすでに行政書士事務所が関与しているケースもありましたが、そういうケースでも地元の行政書士ということで変更していただいたり、建設業許可関係以外の仕事をくださったりしたものです。

また、駅前の不動産屋さんと親しくおつきあいさせていただくようになってからは、ビル等のテナントさんの営業許可手続の紹介が一気に増えたものです。

自治体議員が、後援会幹部経営者を紹介してくださることも少なくありませんでした。

現在であれば、インターネットが普及しており、地元の自治体や外郭団体「中小企業センター」、「商工会議所」等のホームページからも参考となるデータが豊富に入手できます。

例えば、墨田区のホームページのデータを見てみましょう。

墨田区のデータの「事業所数及び従業者数」を見ますと、製造業者が7033件。建設業者が1,204件あります。不動産会社が、788件。運輸・通信会社が618件。

墨田区の人口データによれば、人口が226,130人。外国人が7,145人となっています。

以上のデータから、仮に墨田区に活動地域を限定しても、どのような法務サービス(従来型主力業務の法務サービスですが)を選択するといいか、あるいはどのような潜在的ニーズがあるか、概略は想像することができると思います。

建設業関係、外国人関係、風俗営業許可関係、会計業務、人事・労務管理関係、知的財産流通契約業務などに絞られてくると思います。このような基礎データに基づく実務研鑚計画や営業計画の立案も大切であろうと思います。

(2001.2.19.メッセージ番号285.)

Q-19. 事務所ニュースについて。

「下町かわらばん」(事務所ニュース)の季刊発行も有効でした。もちろん、内容しだいですが、インターネットがFAX並に普及するまでは、やはり紙ベースの事務所ニュースも有力だったと思います。

私の開業当時はワープロも高価でしたから購入できず、開業案内もそうでしたが事務所ニュースを作るときにも友人にワープロを借りて作ったものです。印刷するときもコピー機がありませんでしたから、コンビニでコピーしました。B4、B5の両面に記事を書き込み、B5サイズ6頁ものにしました。ファイリングしやすいように、2穴のパンチも入れておきました。郵送料もバカにならないので、Aノート・リスト・メンバーにはできるかぎり訪問して手渡しました。地元の町会や同窓会などの集まりにも積極的に参加して、「下町かわらばん」と名刺を配布したものです。

最近は、FAXはもちろんのこと、PCやコピー機、インターネットが相当普及していますので事務所ニュースの制作・印刷は数段楽になったはずです。

また、ML等で遠隔地の仲間同士で記事原稿を分担し、それを各自が編集するということも可能となっています。


福岡の武原広和事務所ニュースはその実際例ですが、好印象で大変よくできています。武原さんのように、ホームページで公開するのも有効ですね。

また、「業務案内」のページと「事務所ニュース」のページの二つのURLを、e-mailのメッセージの末尾に、e-mailアドレスとともに併記しておくのも一手です。日常のメール送信で何気なく広報してしまうというわけです。

発行回数は、四季報の4回でもいいし、暑中見舞い号・年賀号の年2回でもいいですね。

また、A4サイズ1枚の「事務所ニュース」を毎月FAXで顧客・友人ネットワークに送信する方法もあります。前田尚一弁護士のBusiness Law Letterがその例です。内容はけっして難しいものではなく、前田先生のお人柄がにじみ出ている、暖かな雰囲気の「お手紙風」の事務所ニュースですね。これなら誰でも、一人でも継続してやれそうです。

それから、東京の森口秋雄事務所ニュースは業界では最初にメルマガを利用して発行した事例ですね。

事務所ニュースもいろいろです。しかし、基本的には、中・長期的な視点で潜在的・顕在的顧客をネット化し、啓蒙していくということです。

啓蒙というのは、中小零細企業経営者宛てであれば「経営革新」に関する様々な情報提供や経営改善の提案等のことですが、そういう記事を取材し情報発信することで、自分自身をも啓蒙し経営革新させることになります。

(2001.2.19.メッセージ番号288.)

Q-20. 行政書士の契約実務と代理について。

契約実務は弁護士、行政書士の実務の基本であり、特に、紛争予防法務を専門とする行政書士の中心業務と言っても過言ではありません。

契約実務の分野は私法上のみならず、国及び自治体と国民・企業間における契約実務という観点からもみれば、公法との関わりも深いといえます。

私法上のものでも、中高層のビルやマンション建設の多い地域では、近隣住民関係者と建築主・施工者との間で作成する「新築工事に関する協定書」の「協定書案」を近隣住民関係者側から提示することも増えており、民法や建築基準法、関係条例、指導要綱等に精通し自治体とのパイプのある行政書士に「協定書案」の作成や協議立合及び書記を依頼するというケースや、また、介護保険サービスの指定業者用の「契約書・重要事項説明書」やパンフレット等の作成依頼や専門的アドバイスを求められるケース、知的財産・技術移転等に関する契約作成や守秘義務の厳格な行政書士に契約締結交渉代理(事件性のないケースで)を求められるケース、国際ビジネス法務としての契約実務に関与するケースなどが目立ってきています。かわったところでは、インターネット上の「遊法」のような「契約実務支援サービス」サイトが登場してきており、契約実務の広域化の現象もみられます。

契約実務の分野は、国際ビジネス法務)及び国内ビジネス法務(又は紛争予防法務)に分けて考えてゆくのがわかりやすいと思います。

契約実務における「未来ビジョン」は、是非とも持っていただくとして、当面は国内ビジネス法務(紛争予防法務)の基本の確認です。

契約の基礎知識については、下記のサイトや「営業マンの法律知識」(日経文庫)を参考にされるとようでしょう。その上で、さらに本格的な実務書を揃えていただければと思いますが、契約実務に関する実務書の定番「契約書式の作成全集」(自由国民社)の改訂2003年度版が2002年5月30日に出版されました。知的財産権に関する契約書式モデルも充実してさらに便利になっています。民法債権法実務の基本書として新人諸君にもお勧めします。

英文契約実務の入門書としては、「英文契約100Q&A」(商事法務研究会)、「よくわかる契約書・契約の英語」(荒竹出版)、実務参考図書としては、「貿易英語300文例」(日本実業)がいいでしょう。

関西企業法務研究会の契約書集なども参照してください。

契約モデルは、日本法令基本的契約書モデル一覧を見るだけでも大変な種類のものがありますのでこちらも参考にしてください。

行政書士実務、交通事故処理や相続手続、知的財産権媒介業務といえども、その基本は契約実務です。契約実務(民事法務)の方向性、ビジョン(他士業者とのネットワーク論やNPO法人活用論も含めて)をしっかり見定め、研究計画を立て実行してゆけば、行政書士の未来は明るいといえます。

契約の基礎知識に関するサイト1.

契約の基礎知識に関するサイト2.

契約の基礎知識に関するサイト3.

契約の基礎知識に関するサイト4.(収入印紙税法との関連)

(2001.2.21メッセージ番号355.) 

 行政書士試験MLでの演習。

> > 1. 未成年Aが有限会社B工務店との間で建築工事請負契約を締結することになった。
> > Aの代理人行政書士Cは、契約締結に際して、Bにどのような添付書類を要求するべきでしょうか。
>
>  設計図、仕様書、見積り内訳書、工事行程表など?なんか、答えになっていないような気が・・・・

必要最小限のものとしては、やはり、Bの商業登記簿謄本で会社の目的(工務店でも造園業や電気工事業などいろいろありますから注意ですね)や建設業許可証のコピーもみて確認したいし、代表者の確認が必要ですね。会社の印鑑証明も必要でしよう。1.の場合は、B工務店の代表者が相手という場合でした。

> > 2. Bの代理人となった行政書士Dは、Cに対してどのような添付書類を要求するべきでしょうか。
>
>  Aの法定代理人の同意書及び行政書士Cに対する委任状?
>  これまた、全然、自信なしです。(涙)

そうですね。

必要最小限のものと考えても、あと、建築予定地の土地の登記簿謄本等や戸籍謄本、住民票、個人の印鑑証明書(氏名、住所、生年月日も確認できます)も欲しいですね。

契約実務は、契約書を単に起案するだけではないということと、民法総則がいかに重要であるかを理解していただければ幸いです。

(2002.9.11.行政書士試験ML.メッセージ番号1549.)

>> 3. 双方行為であるAB間の工事請負契約の最終的な契約書類をAの代理人行政書士Cが代理して作成する場合、AB双方の代理人として作成すれば、民法108条の双方代理禁止の規定に該当するので代理して作成することはできない。〇か×か。

> これも×だと思うのですが、自信がありません。
> 民法108条の双方代理は、両者の不利益にならない場合は例外だった
> と思います。「最終的な契約書類」がすでに合意している内容の確認
> のものなら不利益はないと思うのですが。

そうですね。民法108条但書に該当しますので双方代理で契約書の作成ができます。ただし、実際上は、相手方にも代理人がいるところから、どちらの代理人が双方代理で作成するのか、という問題も発生します。

私の場合は、双方の代理人は立合人として署名するだけにしています。比較的高額になる契約の場合、いずれの当事者も相手方の代理人ではなく本人と直接対面して署名押印してもらいたいと思うのが人情ですね。

(2002.9.12.行政書士試験ML.メッセージ番号1572.)

 

●行政書士の代理について。


Q  行政書士法第1条の3第2号で、行政書士が代理人として契約その他に関する書類を作成することができることが明確化されたが、どう理解すればよいか。

A  そうですね。「契約その他に関する書類」ということで、契約書のほか、許認可等の申請書類の作成についても代理して作成することができると、明確化されたということす。

明確化という意味は、改正以前から、行政書士は依頼者と委任契約を締結して代理していたということも意味しています。

具体的には、月刊「日本行政」の2000年9月号35頁「代理申請事例の調査について」を読んでいただくとわかります。在庫があれば、一般の方でも購入できます。

一部引用してみましょう。

「企画開発部では平成12年度事業の一つとして「代理行為の確立」を目指しています。現行の行政書士法には、代理規定が明文化されおりませんが、第1条の3に「官公署に提出する手続を代わって行い、又は・・・・を業とする」と規定されており、代理申請の行為そのものが排除や禁止されているわけではありません。また、個別法に特別な定めがない場合は、自ら申請を行うか郵送や代理人選任を行うか等の申請行為の選択権は、申請者が有しています。したがって、依頼者の申請権擁護の要請に応えるため、民法の委任規定に基づき、申請や届出等の業務を申請者に代わって代理人の名の基に代理申請を行っている会員も多数おられると思います。以下省略」

この調査の結果報告が、日本行政の2001年5月号33頁に掲載されています。「代理申請事例の調査結果報告」というところです。

ここでも日行連企画開発部の記載がありますので、一部を引用してみましょう。

「行政書士法には代理規定が明文化されていないことにより、一部会員の中には行政書士には代理申請ができないとの誤解が存在しており、代理申請について自己規制している状況が見受けられたところから、この代理申請ができないとする誤解を解き、事例集・紹介をとおして、行政書士における代理行為を顕在化させることを目的とした」と説明しています。

その上で、委任状や申請書のサンプルを紹介しています。

契約代理には、契約締結交渉の代理行為と契約書類作成の代理行為がありますが、契約締結交渉の代理については、改正行政書士法では規定していませんね。改正弁理士法4条3項では、「契約の締結の代理若しくは媒介」を明文化していますが。

具体的には、和解契約(示談)交渉代理はできませんが、示談書作成の代理はできるということになります。

もっとも、示談交渉の場合にはすでに紛争性・事件性があるのですが、事件性・紛争性のないケース、たとえば雇用契約や売買契約締結などの交渉代理については、明文化はされていませんが、排除又は禁止はされていません。これは改正以前からのことです。売買契約締結のための交渉で、仮に紛争がおこれば、その時点で契約締結交渉は決裂するわけですから、紛争性のあるままでの交渉(決裂後の交渉)の続行というケースはあまり考えられません。

また、1条の3は非独占業務で行政書士でなくても誰でもできる行為ですね。1条の2は独占業務ですが。


Q これまで、行政書士は、提出手続きを代わって行う「使者」であったと聞いているが、今後は、契約書に代理人として署名し、契約文言の修正等を行うことができることになるのか。

A 上記のように改正以前から許認可等の申請についても代理人として業務していた事例は多数あり、事件性のないケースでの契約締結代理や契約書類作成代理も改正前より業務としてやっていたんですね。

それから、「業務根拠先例・法令等」の(5) http://www5a.biglobe.ne.jp/~seimiya/senrei-1.htmを一応アップしますと、

「提出代行業務とは、当該書類の提出手続代行行為と解され、その業務形態は、

(1)提出書類の内容の概要について説明、もしくは内容の調整協議等必要な打ち合わせ行為

(2)提出書類についての質問を受け、回答または説明する行為

(3)提出書類の補正並びに行政庁よりの指示伝達に関する行為

(4)免許証、許可証、認可証等の受領確認行為等であり、この解釈により、業務を遂行されたい。

(昭和56年9月16日、日行連会長回答)

ということで、代行といっていますが、実態は申請行為の代理行為でした。

また、そもそも旧行政書士法には、「使者」とも「代行」とも書いてありませんでしたね。「提出する手続を代わって行い」と規定されていました。これは、代理とも読めますし、上の会長回答は代理として解釈している可能性がありますね。

Q 行政書士が代理権を授与された契約代理業務について、行政書士以外の者を復代理人として選任することは政書士法施行規則第4条に反すると考えられるが。


A 1条の3は、非独占業務なんですね。1条の2の業務であれば、行政書士の独占業務ですから、行政書士以外の者を復代理人に指名できませんが、非独占業務については、そもそも誰でもできる業務ですので、1条の2と1条の3とは区別して考えていただければと思います。

それから、委任状は、そもそも官公署に提出するために作成するものではなく、申請者と行政書士との間で合意した委任事務の態様や権限の範囲等を明確化し証書化するためのものです。

官公署に提出することが法令等で法定されている場合には(行政指導で提示を求められる場合もありますが、この場合には強制力はない)、委任契約書とは別の代理権の授与表示を明文化した単独行為の文書を提出してもいいわけです。

委任契約は諾成契約ですから、仮に双方行為である委任契約書を作成しなかったとしても、委任契約自体は口頭によっても成立し効力が発生します。もちろん、委任契約書は、申請者と行政書士間における将来の紛争予防のため、できるだけ作成しておきましょう。

なお、行政法上の代理は、行政庁を他の行政機関が代理することで、民法上の委任契約に基づく代理とは全く異なる制度、概念です。

たとえ、許認可等の申請行為を代理する場合であっても、その代理権は申請者と行政書士間における私人間の委任契約に基づいて授与されるものです。

参考 墨田区の告示 「区長の職務を代理する吏員の指定」  ◆昭和62年02月03日 告示第27号